外国証券の注文動向は100万株の売り越し  買いポジションを減らしたほうがいい | シカゴファンドの投資戦略

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外資系証券、外資系銀行で長年、辣腕ディラー、トレーダ、ファンドマネジャーとして活躍。日経225先物、オプション、e-ワラント、為替、国内外株、債券、商品先物などの動きを分析し投資を行っている。http://blog.livedoor.jp/chicago555/

13日の米株式相場は、原油相場の急落を嫌気した売りが広がり、大幅反落した。ダウ工業株30種平均は前日終値比258.32ドル安の1万8066.75ドルで終了した。ナスダック総合指数は同56.63ポイント安の515526で終わった。出来高は前日比1293万株増の10億3432万株。同日のニューヨーク原油先物相場は、米国産標準油種WTIの清算値が前日比1.39ドル安の1バレル=44.90ドルに急落した。売り材料は国際エネルギー機関(IEA)が同日発表した石油市場月報。「供給が需要を上回る余剰状態が少なくとも来年前半まで続く」と予想し、需給悪化の長期化への警戒が強まった。米株式市場では、シェブロンなどエネルギー関連株に売られ、相場の下げを主導した。先週末に高まった9月利上げへの警戒感は、米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事が12日の講演で早期利上げには「説得力がない」と述べたことで、いったんは沈静化。13日時点のCMEグループが金利先物に基づき算出した9月利上げの確率は15%にとどまっている。ただ、米景気の回復の動きが鈍い中で「将来の経済失速に備えて、利下げ余地を確保するために、FRBは9月利上げに動くのではないか」との疑心暗鬼も強い。欧州中央銀行(ECB)が8日の定例理事会で追加緩和策を見送ったほか、日銀が金融政策の「総括的な検証」に動く中、市場では金融緩和策の限界が意識され始めている。さらにFRBは遅くとも12月には利上げに踏み切るとの見方から、世界的な長期金利の上昇を伴いながら「株式市場も不安定な値動きが続く」とみられていた。
外国為替市場ではドルが上昇。主要通貨に対するドルの動きを示す指数は8月以来の高水準となった。オーストラリア・ドルやカナダ・ドルといった高利回り通貨が下落。鉄鉱石先物が7月以来の安値に下げたほか、原油先物はバレル当たり45ドルを下回った。
米国債は下落。10年債利回りは3カ月ぶり高水準となった。バンク・オブ・アメリカがまとめた調査によれば、投資家は手持ちの現金を増やしており、その規模はここ15年で最高に迫っていることが分かった。MUFGセキュリティーズアメリカのシニア米国債トレーダーは「中央銀行の手段がある意味で出尽くしたとの新たな見方が出ている」と述べ、これまで需要を支えてきた金融政策から「当局が手を引く恐れがあるとの懸念がある」と続けた。ヘッジファンド運用会社エリオット・マネジメントは、投資家が長期債を売り払うべきであり、主要7カ国(G7)の国債でも安全な資金の避難先ではないと警告した。
金先物相場は6月以降で最長の5営業日続落。ドルの上昇を背景に、代替投資としての金への買い意欲が減退した。TDセキュリティーズのシニア商品ストラテジストは、「年内に利上げの可能性があるとの観測が強まりつつある」と指摘。「12月の利上げは十分にあり得るということが、金市場に打撃を与えている」と述べた。
原油先物市場ではWTI先物が大幅反落。国際エネルギー機関(IEA)が世界的な需給バランス見通しを修正し、現在の供給超過が2017年に持ち越されるとの見通しを明らかにした。14日発表の米エネルギー情報局(EIA)統計では、先週の原油在庫が400万バレル増加したことが明らかになる見通し。
欧州株式相場は下落。朝方は上昇していたものの、鉱業株やエネルギー株が売られ下げに転じ、指標のストックス欧州600指数はほぼ1カ月ぶりの安値に沈んだ。ストックス欧州600指数は前日比1%安の338.72で終了。朝方には一時0.6%高となる場面もあったが、米国市場の寄り付き後に上げを消した。過去4営業日の下落率は3.4%と、2カ月ぶりの大きさ。中央銀行が景気刺激策としての金融政策の活用に以前ほど積極的でなくなったとの懸念が投資家の間にあるほか、シティグループの指数によると、今月に入りユーロ圏の経済指標は再び市場予想を下回り始めた。
本日の東京株式市場は大幅安の展開が見込まれる。昨日の米株式相場は反落。世界的に金融緩和による景気刺激策が弱まるとの思惑から売りが膨らみ、欧州から米国にかけて国債とともに下げた。S&P500種株価指数は7月7日以来の安値に沈み、全10セクターが下げた。シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は18%上昇して、6月以来の高水準。ダウ工業株30種平均の構成銘柄ではアップルのみが上昇した。バンク・オブ・アメリカの調査によれば、ファンドマネジャーは今月、弱気な見方から現金の保有を高めている。株式と債券の両方が過大評価されていると回答した投資家の割合は過去最高になり、現金と比較した株式の配分は4年ぶりの低水準近くに低下した。S&P500種構成企業の決算が6四半期連続で減益になると予想されている中、高いバリュエーションも引き続き投資家の悩みの種となっている。予想株価収益率(PER)は18.4倍と、2002年以来の高水準。本日の東京市場は買い材料のない中、世界の中銀の金融政策に対する不安感や原油価格の暴落、米国大統領選の懸念、重要イベントへの警戒感などからリスク回避の売りが先行する展開となろう。マイナス金利拡大への可能性から銀行株をはじめ、自動車、精密、電機等を筆頭に全面安が見込まれる。VIX指数は前日比で17%超の上昇となっている。バンク・オブ・アメリカがまとめた9月の月間調査によると、資産運用会社は現金資産の比率を5.5%に引き上げており、2001年11月以来の最高に迫った。調査回答者のうち、株式と債券は割高になっているとみる投資家は過去最高の54%に上ったという。マイナス金利は金融機関を疲弊させる。金融政策の指針となるテーラー・ルールを考案したジョン・テーラー米スタンフォード大学教授は、マイナス金利が効用よりも弊害が大きい可能性があると指摘した。 同教授は、「私の見解では、マイナス金利は役に立つというより害をもたらした可能性があるといことをわれわれは学びつつある逆効果の可能性があることは疑問の余地がない」と語った。生じ得る問題の一つは銀行の準備預金の一部について金利を徴収することによって与信が圧縮されることだ。日本銀行の黒田東彦総裁は先週、マイナス金利が銀行の金融仲介機能を損なったという説は否定したものの、長期金利の急低下が年金基金などの運用を困難にし、ある種のリスクを生じさせていることは認めた。
「債券売りは悪化する」とゴールドマンが考える3つの理由
10年物米国債の利回りはここ数日、日本とドイツの国債にならって急上昇を演じた。世界的な債券売りで、米10年債利回りは2営業日で15ベーシスポイントベーシスポイント上昇。同時に他の種類の資産も値下がりし、米当局が金融緩和を縮小するとの懸念が浮上した2013年の「テーパー・タントラム」との比較が取り沙汰された。ゴールドマン・サックス・グループのグローバルマクロ・市場調査共同責任者、フランチェスコ・ガルザレリ氏は、債券売りが続くとみている。ゴールドマンは米10年債利回りが2017年初めに向け現行水準より32bp程度高い2%に達すると予想。
その理由を3つ挙げる。
1)債券のバリュエーションはこのところ高過ぎる状態が続いている
英国の欧州連合(EU)離脱選択を受けた債券利回り急低下には成長減速という裏付けがない、とガルザレリ氏は指摘する。ゴールドマンは先進市場の経済活動が上向くと予想しており、投資家が国債に殺到しているのは奇妙だ。同氏は「今後数四半期に先進国・地域の経済活動はトレンドに沿ったペースで拡大し、消費者物価指数(CPI)総合でみたインフレ率はエネルギー価格のベース効果によって上昇し、米当局は利上げをするだろう。市場は年内についてすらこのような展開を過小評価している」と指摘した。
2)量的緩和(QE)政策は効果が薄れつつある
中銀による債券購入プログラムは国債利回り低下に寄与したが、その効果は薄れつつあるかもしれない、とガルザレリ氏は指摘。技術的制約と非伝統的政策のマイナス面が意識され始めていると論じ、最近の日本銀行と欧州中央銀行(ECB)の議論が非伝統的金融政策の限界を示しているとコメントした。「超長期債の利回り低下は実質金利低下の利点を打ち消すコストとゆがみをもたらした」とし、確定給付の契約を多く持ち債券に多くの資産を配分している欧州と日本の年金基金や生命保険会社にとっての問題を指摘した。
3)財政政策が待望されている
中銀の緩和拡大能力への疑問が増すのに伴い、政府主導の景気てこ入れ策に期待する投資家が増えている。欧州と日本では財政赤字にもかかわらず財政出動への期待が高まっており、米国でもそうだ、とガルザレリ氏は指摘した。同氏は「金利が名目上の下限に近い現在、財政出動は国内の最終需要を支えるのにより有効だと考えられている」と論じた。bloomberg