※思い出のコミック(2) 『凄ノ王』 | たまらなく孤独で、熱い街

※思い出のコミック(2) 『凄ノ王』

凄ノ王 1 (1)永井 豪
凄ノ王 1 (1)


 

 

 

『凄ノ王』は79年7月から81年4月まで少年マガジンに連載され、作者は「ストーリーを最大限にスケールアップできたところで、未完のままで終わらせたい」という狙いが当初からあったようで、事実少年マガジンでは「凄ノ王」誕生とともに連載は唐突に終わる。

しかしながら、数年後に角川書店の雑誌に続きが始まり、単行本としても少年マガジン版を含めて『凄ノ王伝説』として7巻にまとまったが、これも未完のまま。

そして96年に「少年マガジン版」に「角川書店版の一部」と「オリジナル」をくっつけたものが、『凄ノ王・超完全完結版』として刊行されたが、とてもじゃないが満足できるエンディングではなかった。

『凄ノ王』の完結は夢と終わったのだった。


朱紗真悟は何の取柄もないような平凡な高校生。

美剣千草が作った「超能力クラブ」で雪代小百合と知り合う。

一方、同じ高校には瓜生麗を中心とする超能力グループがいた。

ある日、朱紗と雪代が裏山でデートをしていると、同じ高校の不良どもに襲われ、二人は暴行されるが、そこに助けに現れたのが瓜生麗グループ。

暴行を受けている間、朱紗は超能力が欲しいと願うのだが、いざ瓜生が超能力を封じたペンダントを与えようとすると、彼らを殺してしまうからいらないと叫ぶ。ここのところは泣けました。と同時に、ここの朱紗のセリフで『凄ノ王』に完全に引き込まれました。

少し長いが引用すると・・・

瓜生「朱紗、腕力ではお前は奴らには勝てん。だがお前には眠っている超能力がある」

朱紗「俺の持つ超念動とはどれほどのものなのだ。瓜生、あんたほどの力があるのか」

瓜生「ある。いや、私以上だ。朱紗真悟、君は超能力の巨人なのだよ」

朱紗「それならだめだ。俺はそのペンダントを持つ訳にはいかない」

瓜生「何故だ、朱紗」

朱紗「俺がもしそのペンダントを持ったなら、俺は奴らをひとり残らず殺してしまうからだ!」

その後、朱紗は「部団連合」やら「ノスフェラトウ(不死団)」などに訳もわからず狙われるが、彼らや瓜生麗、美剣千草の目的は一切わからなかった。

そして朱紗真悟の内部でも変身が起こる。

それはすなわち破滅へのカウントダウン。