パーフェクト牝馬の復活だ! 今週の天皇賞(秋)を盛り上げる1頭が、約7カ月ぶりに復帰する10戦10連対の4歳牝馬ダイワスカーレット。牡馬の一線級相手にも互角以上の競馬を繰り広げてきた能力は、休み明けでも鈍ることはない。すべてを知り尽くした安藤勝己騎手(48)とのコンビで、豪華メンバーの頂点に立つ!!
デビューから10戦7勝2着3回。完璧な成績を誇るダイワスカーレットがターフに帰ってくる。いきなり、この激戦区への参戦だ。
「強い相手が集まるところを使いたいと思っていました。少しでも状態に不安があれば、エリザベス女王杯(11月16日、牝馬限定GI)まで待つこともできましたが、その必要もありませんから」
トレセン全休日の27日朝、厩舎で松田国英調教師は久々の不安を打ち消し、あえて強敵相手に復帰することにも強気な姿勢を貫いた。その不敵な自信には、確固たる裏付けがある。
「産経大阪杯の強さを見ていただければ、2000メートルでの強さがお分かりいただけるでしょう」
今季初戦の前走は3/4馬身差の危なげない逃げ切りだが、メンバーを見ればその価値が分かる。メイショウサムソンを筆頭にGI馬が3頭、他にGI2着馬も3頭いた。さらに、2着馬エイシンデピュティはその後に宝塚記念をV。3カ月半ぶりでこの相手に勝つのだから、もはや牝馬の枠を超えた馬と言っていい。
その産経大阪杯を勝った後に左前脚管骨の骨瘤(こつりゅう=炎症を起こした骨がコブ状に隆起すること)を発症して休養入り。春のGIシリーズを棒に振ったが、放牧を終えて9月5日に帰厩してから十分に調教を消化してきた。毎週追い切りに跨る安藤勝己騎手も楽観的だ。
「変わりないのがいいところだね。フットワークも前と同じ。追うごとに体も絞れてきたよ」
この後はジャパンC(11月30日)には向かわず、有馬記念(12月28日、中山、GI、芝2500メートル)一本のローテーションとなっている。松田国師が「対戦成績(3勝1敗)を見てほしい」と強く意識するライバル・ウオッカとの戦いにも、はっきりと決着をつける構えだ。
勝ち方が派手ではないため、不当に評価は低い。しかし、歴史的名馬シンボリルドルフの主戦だった岡部幸雄・元騎手も「わずかな着差で勝つ先行タイプは能力が伝わりにくいが、こういうタイプこそ強くて、安心して見ていられる」と証言する。ディープスカイやウオッカに人気は譲っても、結果は譲れない。初めて経験する長い直線の東京でも押し切った時、ダイワスカーレットは堂々と現役最強馬の称号を手に入れる。
出典:SANSPO.COM