明治・大正期に活躍した著名人夫婦17組の


逸話が書かれた本です。


桂春団冶、夏目漱石、島崎藤村、大逆事件の


幸徳秋水など。


その中で、ワタシがいちばんおもしろかったの


は、谷崎潤一郎夫婦の話ですね。


あの有名な佐藤春夫との「細君譲渡事件」を


詳しく知ることが出来ました。


本のはなし ホンの少し


谷崎潤一郎は、足繁く通っていた芸者に求婚


したところ、自分の妹と結婚してほしいと頼まれ


て、その妹 千代と結婚します。


しかし、谷崎は娘が生まれたのにも関わらず、


千代に冷たく当たり、その頃谷崎の家をよく訪れ


ていた友人 佐藤春夫は、彼女を不憫に思い、次


第に愛情を傾けるようになります。


いったんは、千代を佐藤に譲ることを決めた谷


崎でしたが、ある事件をきっかけにそれを翻し、


2人は絶交します(これがいわゆる小田原事件


です)。


その後10年の時を経て、2人は和解し、谷崎、千


代、佐藤の3人連名で、新聞に「谷崎の妻である


千代を佐藤に譲り渡す」旨の声明書を掲載し、晴


れて千代と佐藤は結ばれます。







佐藤春夫と千代の仲が谷崎潤一郎の知るところと


なってから、実際に結ばれるまでの10年間は2人


にとっては耐えに耐えた期間かと思いきや、佐藤は


この10年の間に、同棲と結婚を1回ずつしています。


これには、何なんだー?とあきれてしまいました。



よく、最近の人たちは我慢するということを知らなくて、


簡単に離婚する、とお怒りになっている年配の方が


おられますが、いえいえ、最近の人のほうがよっぽど


我慢強いと思いますね。


谷崎潤一郎、佐藤春夫だけに関わらず、本書に登


場する夫婦たちは、いとも簡単に離婚し、次から次


へと配偶者を変えていきます。


しかも、配偶者の友人など、身近な人と。


ま、著名人であるので、一般の人とは違うのかも知


れませんが。



さてさて、妻を譲り渡すという声明書が新聞に掲載さ


れたとのことですが、これはかなりセンセーショナル


なことだったのではないでしょうか。


新聞ぐらいしか情報源がなかった当時では、紙面を見


るまで知らない人が大部分だったと思いますから、見た


人はさぞかし驚いたのではないでしょうか。



テレビやインターネットが発達した現在では、新聞が情


報を先導することはほとんど無くなってきています。


他のメディアに押されて、情報源として役割が日増しに


薄くなってきている新聞ですが、今も昔と変わらず、立


派な働きもしています。


そう、チラシを運んでくれているのです。


ワタシは、スーパーの価格チェックはもちろんのこと、家


を買い換える気も無いのに、不動産広告で部屋のレイア


ウトをシュミレーションしてみたり、求人広告に載っている


「クルー」とはどんな仕事なのか?と想像してみたり、い


やいや、今も新聞は十分楽しめます…。



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