科学論 要素還元主義からホーリズムへ(1) | ドヤ顔BLOG

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~要素還元主義と科学~

「Cogito, ergo sum (我思う、ゆえに我あり)」
という名言で知られるデカルトによって要素還元主義が生まれた。

彼は世界は常に「部分の総和が全体とイコール」だと考えていた。
すなわち、数学等でおなじみの「線形性」を仮定した。

要素還元主義とはある複雑な事象を理解しようとするとき、
その事象をいくつかの単純な要素に分割し、
それぞれの単純な要素を理解することで元の複雑な事象を理解しようという考え方である。

この考え方はもちろん先の「部分の総和が全体とイコール」という前提が必要となる。
分割した単純な要素の和=複雑な事象

これはまさに近代科学の土台である「分析と総合」そのものだ。
このパラダイスのもとでいわゆるニュートン力学などが発展し、経済学もその流れを引き継ぐことになる。

ところが段々とアノマリーが見つかってくる。
要素還元主義的な考え方では説明できない事象がどんどんでてきた。
よくその例として挙げられるのは、ローレンツによるバタフライエフェクトの発見だが、もっと身近な例として

1)言語
個々の単語の意味は、全体の文章から決まる。しかし全体の文章の意味は、個々の単語の意味を分かっていないと決まらない。

2)生物
個々の細胞をいくら丹念に調べても全体としての生命活動は明らかにならない。

3)市場


の3つが挙げられる。

この3つの例でわかるように「部分の総和が全体とイコール」ではなく「部分と全体とが互いに関連しあっている」という
「自己言及性」こそが重要となる。

自己言及性をもつ事象を扱うのは難しい。

全体は部分から構成され、一方で部分は全体の影響を受けている。そういう相互のフィードバック系を扱うのが複雑系である。