貴公俊の付け人殴打事件以降、メディアへの対応や協会内での仕事ぶりが豹変した貴乃花親方(45)。ある親方によれば「平身低頭といった感じ」だそうだ。しかし、だからといって自身の行いがすべて水に流れるわけではない。

 貴乃花親方は3月場所初日を無断欠勤。翌日からも、「貴ノ岩の容体が予断を許さないため、常に医師と連絡を取り合う必要がある」という理由で、欠勤や早退を繰り返していた。それが弟子の事件が発覚するや、役員室に常駐するようになったのだから、いったい、貴ノ岩の容体うんぬんは何だったのか。これでは「弟子をダシにしてズル休みをしていた」と、自ら白状したようなものだ。

 暴行事件の「加害者」をめぐる扱いでは、ダブルスタンダードが明らかになった。昨年の秋巡業で貴ノ岩が日馬富士に殴られた際は、すぐさま鳥取県警に被害届を提出。協会に事前連絡がなかったことをとがめられるも、公平な裁きが必要と執拗だった。

にもかかわらず、今回は貴公俊を休場させたくらい。ケガの程度は異なれど、日馬富士と同じく、「殴って傷害を負わせた加害者」に変わりはない。被害者の貴西龍は「自分も悪かった」と貴公俊との和解を明かしたが、それで暴行の事実が消えるわけでもない。

 貴乃花親方の主張に従えば、加害者が自分の弟子であっても警察に届けるのが筋。他人の弟子は警察に突き出すが、自分の弟子なら許せるのか。

 貴ノ岩を殴った日馬富士は引退し、師匠の伊勢ケ浜親方は理事を辞任した。それを貴乃花親方は弟子の謹慎だけで逃げ切ろうとしている。
 結局、貴乃花親方が可愛いのは、わが身だけということになる。なお、同親方は23日午前、内閣府に提出した告発状の取り下げを示唆した。