南スーダンに派遣された陸上自衛隊のPKO(国連平和維持活動)をめぐり、国会が紛糾している。稲田防衛相はトンデモ答弁を繰り返して立ち往生。それでも安倍首相は、「戦闘」が起きている現場でのPKOを継続し、憲法違反を強行するつもりだ。トランプ大統領の誕生で日米同盟強化の方針から、政府はより大きな軍事的役割を果たすと言い出している。民主党政権時代の元防衛相・北沢俊美氏はこうした事態をどう見ているのか――。

■防衛省を政治的保身に利用、信頼失墜は当然

――防衛大臣時代の2011年8月に、南スーダンへのPKO派遣にGOサインを出された。政権交代や15年9月の安保法制を経て自衛隊の任務は拡大。16年11月から駆け付け警護が付与されました。ところが、派遣そのものに「違憲」の疑いが強まり、大問題に発展しています。

情勢を見る限り、陸自は撤収しなければならない状況にあると見ています。経過を説明すると、首都ジュバへの派遣決定は確かに私が防衛大臣の時でした。(11年8月に訪日した)潘基文国連事務総長(当時)から強い要請があり、派遣すべきか議論を重ねた。防衛省としては、PKO参加5原則にかなう状況であれば平和貢献になると結論を出したのですが、自衛隊の派遣が許される平和で安定した地域はジュバしかない。ジュバには韓国をはじめ、各国が手を挙げていた。ジュバ以外への派遣となれば、引き返す状況になりかねない。それで、防衛省内では速やかに決定し、ジュバで進めましょうという流れができた。それが端緒になったんです。

▼PKO参加5原則
①紛争当事者間の停戦合意
②紛争当事者の受け入れ合意
③中立性の維持
④上記の原則が満たされない場合の撤収
⑤武器の使用は必要最小限度

――国会で追及されていますが、16年7月時点でジュバは戦闘下にあり、現場部隊の日報にハッキリと「戦闘」の記述があった。にもかかわらず、PKOを継続し、駆け付け警護にまで踏み込んだ。稲田防衛相は「憲法9条の問題になる言葉(=戦闘)は使うべきでないから〈武力衝突〉を使っている」などと、メチャクチャな答弁を繰り返しています。