今回は、シットオントップカヤックで釣りをする者にとって、もっとも恐ろしい出来事の一つ
沈
を考察してみます。
文章だけですので、お暇があれば読んでみて下さい。リスクアセスメント、危険予知に繋がればという観点で書きます。
あの、かなり長文になりましたので、先に御断りしておきますよ。
フフ(^_−)−☆ギダの戯言に
アナタは付いてこれますかな?
ではでは先ず
シットオントップカヤックにおける沈とは その構造上、艇体内部に浸水しにくい船舶である為、通常、沈は
転覆
の状態を意味します。
今回は、防水構造が失われて艇内に浸水し海中に沈没した状態ではなく、単に転覆した状態に関してギダ的に考察してみます。
んでっ(^o^)/
先ず、沈に至る状況についてです。
よくあるケースは、上陸しようとして海岸に接近した際、大きな波に持ち上げられたカヤックがコントロールを失い、転覆してしまうといった状況
他に、沖合で釣りやツーリングなどをしている際、急激な海況変化による波や風でカヤックのコントロールを失い、転覆してしまうといった状況
まれに、近くを通過した行会い船の引き波や海上にある各種の構造物に衝突し、その影響でカヤックのコントロールを失い、転覆してしまうこともあります。
その他に、わりと平穏な海況にあっても、カヤックの後部トランクに積んだ物を取ろうとしたりクーラーに魚を入れようとしたりして背後に振り向いたとき、重心コントロールを失い、転覆してしまうこともあります。
次に、上記の転覆に至るケースの共通項
カヤックのコントロールを失う!
から転覆に至るまでについて、考えてみます
カヤックのコントロールを失うという状況は多くのケースにおいて、カヤックの方向制御が失われるところから始まります。
カヤックの方向制御は、パドリングもしくはラダー(プロペラなどの推進機能を持つカヤックに必須)によって行いますが、上述のコントロールを失うケースにおいて、パドリングやラダーの応力を無効にするような作用が働くと、方向制御を失うことになります。また パドリングやラダーの操作を間違えた場合も同様の状況を生み出す要因になります。
方向制御が失われ波などの応力方向に対してカヤックが横方向に向くと、次に重心制御が失われます。
カヤックの重心を主に制御しているのは、カヤックに載っている人です。
通常は、カヤックの乗員が体重を移動して 転覆を防ぐ方向に重心を制御しています。
しかし、ひとたびカヤックが方向制御を失いさらに横波によって急激に傾斜していくと カヤックの重心に大きな影響力を持つ人が 重力で下側の舷側に滑り落ちます。(貨物船や漁船では、積荷が荷崩れした状況と同様です)
上記四つ目の、物を取ろうとして沈する〜は、自ら重心を大きく崩し、重心移動の雪崩現象を起こしたことによる沈!言うなれば「ウッカリ沈」になりますね(沈は沈です、笑い事ではすみませんよ)
もし「カヤックの重心」が片方の舷側に大きく移動してしまえば、カヤックの反対舷が高く持ち上がり
押してくる波のチカラで
くるりんっ!
って、簡単にひっくり返ってしまいます。
ハイ(°▽°)沈の完成です。チ〜ン_| ̄|○
なんて、洒落にならないジョークですいません。.°(ಗдಗ。)°.
それから(^o^)/ 次ぎに
カヤックに限らず、船舶全般に言われている転覆にまつわる格言的な言葉で
追い波は危ない!
船首を波に立てて進め!
なんて、実際に経験するまではよく分からない言葉がありますね。
これ、沈を防ぐ上で、重要な意味を持つ言葉なので、ちょいと考えてみます。
んでっ( ̄▽ ̄)/
二番目の船首を波に・・は、カヤッカーなら自然にやってる動作だと思います。
シチュエーションとしては、行会い船の大きな引き波が自艇にドンドン迫ってくるのを察知したとき、カヤックの向きを波に向けてやり過ごすアレですよ。
「エ〜いま釣れそうな感じだったのに、ちぇっ!」
というシーンが思い浮かぶアレですね〜
では、一番目の言葉を考えてみますね。
もし、自宅の庭や平地でカヤックをゴロンッ!と転がしても安全で傷つくことがない場所があるならば、次のような実験をしてみると実際に海上で転覆を経験する前に追い波は・・の意味の怖さがよく分かると思います。
その方法ですが、右利きの人は右手で艇尾を腰より少し高く持ち上げ、左手を下側に回して船底のキールを持ち、カヤックを回転させる方向に左手を引きます。
すると、カヤックは船首のキールを支点に傾き始め、右弦前方を下にしながらわりと簡単にゴロンとひっくり返ろうとします。
くれぐれも、大切なカヤックを壊さないように注意して下さい、完全にひっくり返るまで回さなくても、途中でカヤック自体が自然に回転し始める角度が分かると思いますので、バタンと倒れる前に回転を止めて元に戻して下さいね。
もし実験するならば各自の責任においてお願いしますよ。
実際に平穏な海上で沈脱訓練をやってみると安定感の高いカヤックを真横にローリングさせて転覆するに至るまでは、大きな体重移動が必要なことが分かります。
まさか、自分がこんなにバランスを崩すことなんてナイナイなんて、グレートな海をなめてはいけません。
追い波🌊を受けて沈するときは、実験のように、例えて言うなら柔道の回転技を掛けられるように、柔よく剛を制すのごとく効率良くひっくり返されているのですね〜(*_*)ア〜コワイ〜
ハイ、ここまで沈はどうして起きるのか?について長々と考えてみました。
沈に至るまでの一連の作用を知り、いざというときに沈を回避する方法を考え、より安全で快適な航海に役立てていただければ幸いです。
って( ̄Д ̄)ノ
海が荒れるようなら出港しない。
風が出てきたら、直ぐに帰港する。
海況の情報収集につとめる。
というふうに、限りなく沈から回避するのが一番ですね。
臆病者〜😆っと笑われるくらいが、ちょうど良いのかもしれません。
ここでもう一つ、最近、流行りのプロペラ推進式のカヤックは、シケに弱いんじゃない⁉︎
なんてことについて考えてみたいと思います
正確にはパドル推進と比較すると、プロペラ推進はシケに弱い、が正しいかと思います。
その心はっ! ←ふるっ!このフレーズ分かる人
まず一番目の理由( ̄Д ̄)ノ
プロペラ推進方式のカヤックは、追い波を受けながら進む場合、ラダーによる方向制御が失われやすくなるからです。
ちょっと、カヤックの方向制御についてのおさらいですが
パドル推進方式ならば、カヤックが停止していても向きを変えることが可能なことは、カヤック乗りには周知の事実です。
カヤック?知らね〜 ƪ(˘⌣˘)ʃ って方に簡単に言いますと
パドルなら、片舷側のみ前進方向に漕げば少し進みながら回頭するし、さらに、反対舷側も後進方向へ前進側と交互に漕げば、その場回頭もできます。
ところがラダーによる方向制御は、カヤックが進むときの水の流れをラダー側面に受け そこに発生した水流のチカラでカヤックの向きを変えていますので、停止しているカヤックはラダーで向きを変えられません。
ここから少し難しくなりますが
カヤックの後方から来る水の流速とカヤックの速度が等速になってしまうと、ラダーに当る水の流れは無くなり、カヤックの方向を変えるチカラは発生しなくなります。また、それはカヤックが停止している状態で、ラダーをいくら操作しても方向は変わらないということと、ほぼ、同意でもあります。
ただし、ここまで書いといてなんですけどね〜追い波で進むカヤックのラダーが効かない最大の理由は、カヤックの後部が波に持ち上げられることでラダーが水から空中に出てしまうからってことなんですね。
水流を受けるラダーの面積が空中に露出することによって少なくなるに連れ、ラダーの効きが悪くなることは、説明するまでもありませんね。
第二の理由は、プロペラ推進式カヤックはプロペラ構造物が水中にあるため、追い波を利用したサーフィン効果が得られず、スピードが上がらないので波に追い付かれるってことがあります。
なぜかっ!
それは、追い波によって高く持ち上げられたカヤックが、重力(位置エネルギー)によって下方向に滑り始め速度が上昇してきたとき
足で漕いでいるプロペラ推進力によって発生する速力が滑走速力に負けてしまうと、今度は水中に入っているプロペラ機構が抵抗となって、カヤックに滑走力を与えている波の速度以上に艇速が上がらなくなり
しまいには波のピークに追い越されてしまうからサーフィンできね〜よってことなんです
上記、二つの理由を踏まえて、ペダル推進方式のカヤックが沈に至るまでの状況を考えてみます。
まず、追い波よりスピードが出せないため 大きな追い波に追い付かれたカヤックの後部が高く持ち上がり方向制御が失われる状態が発生します。
さらに、カヤックの艇尾が高く持ち上げられた状態で追い波から柔道の技に例えた回転(転覆)方向にチカラが働きます。
ロール方向に傾き始めたカヤックのデッキの上で、重力に負けた貴方が下方の舷側に滑り落ちると・・
ちーーーん
いっ(*_*)いや沈でした。
ぐらっとし始めてから、多分1〜2秒でひっくり返るので、限界点を超えるまでの時間はアッというま!
ヤバいと気づいても回避するのは、ほぼ無理です。
もし、プロペラ推進機の抵抗力は以外と大きいってことに疑問を持たれる方がおられれば その抵抗力を確かめるのは簡単です。
プロペラ推進機を水中にセットして、パドリングだけで前進してみて下さい。
プロペラの向きにもよりますが、なかなかの抵抗力を感じると思います。
状況が許せばペダルから足を離して、回転するペダルに足が当たらないようにしてみて下さい。
その状態でパドルを漕ぐと、ペダルが回転し始めますが、パドリングでペダルをぐるぐる早く回すには、かなりチカラが必要なことが分かると思います。
以上のことから、プロペラ推進機は外力によって前進させようとしたとき、抵抗となってしまうことがあるという理由が、ご理解いただけると思います。
さてっ(^O^)/
ここまで、長々と沈するまで!について書いてきました。
あ〜(^◇^;)長かった、もぉ〜いぃわっ!
っという一部地域の方々、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。ここで、お別れです。(地方に住む人にしか分からない、放送終了のフレーズですわー)
でもっ
今、実際に沈していて、波にほんろうされながら、この長文を読んでいる方がいるかもしれない。
その方はきっと、沈は解ったから!早く上がり方(再乗艇=沈脱)のこと書けよコノハゲー💢
っというふうに思っているかもしれませんので、もう少しだけ
再乗艇=沈脱について
書いてみます。
まず、平穏な海況で沈された方は、落ち着いてから周囲の状況を把握し、自分の身体にリシューコードが絡まってないか等を確認します。
要は、再乗艇の妨げになるものはないか?です。
次ぎに、ひっくり返ったカヤックの上に勢いつけて上半身を乗せ、反対舷を掴んだら、その手を離さずもう一度体重を海側にかけてカヤックを元に戻します。
カヤックが元に戻ったら、もう一度カヤックの上に勢いつけて上半身を乗せ、片方の手で反対舷の物を掴み、うつ伏せの状態で少しずつ重心を崩さないよう下半身をずり上げて乗艇します。
次ぎに、荒天時に再乗艇しようとしているアナタっ⁉︎
お待たせいたしましたm(._.)m
まず、カヤックを元に戻すのですが、そのときカヤックが打ち寄せる波と並行の向きで、アナタが波の下方に居る場合、上記の要領でカヤックを元に戻すことは安易にできるでしょう。
波によって沈した場合、カヤックと落水した乗員の位置関係は、概ね上記のとおりです。
したがって、そのままの位置からカヤックを復元させると、打ち寄せる波のチカラで復元しやすいという理屈です。
しかし、そのままカヤックの向きと乗込み位置を変えずに波の下方から再乗艇しようとした場合、また直ぐにひっくり返ってしまうので、カヤックを復元させた後は、波の方向に艇尾を向けてから再乗艇して下さい。
波が高いと不安定ですが、何度もトライして乗込みましょう。
でも、頑張ってもダメっぽいな〜ƪ(˘⌣˘)ʃ
って思ったときは、直ぐに海上保安庁に電話です。
118番
ですよ〜
お忘れなく!
最後に、数万円のロッドやリールがなんだ‼️
命より優先するものは無い。
何があろうとも
頑張って、生きて帰りましょう。
愛する人、家族、友達
そして、全てのカヤックフィッシャーのために。
ぁ〜きまったわ〜(*´Д`*)長かったけど。。
この長文(駄文)ブログを、愛するギダの
今は海底深くに眠る二本のロッドと
二つのリールに捧げます。