若返りと減食・断食


 

 ある生物学者の実験によると、


クラゲを食物のない海水中に長くいれておくと、


はじめにその触手が吸収され、


次に体が収縮をはじめて小さくなり、


遂には発生の初期のように


少数の細胞の塊になってしまう。


 これは「逆成長」といわれている。


 このクラゲに再び食物を与えると


順次もとの成長したクラゲの姿にもどっていく。


 絶食、断食によって人間を含めた生物体はまず、


脂肪から次に筋肉や内臓組織が赤血球に逆戻りする



という現象が現れる。


 わたしが提唱する千島学説・第2原理



「血球と組織の可逆的分化説」である。


 通常では赤血球から脂肪、筋肉、内臓などの細胞


ができるのだが(千島学説・第1原理・赤血球分化説)、


断食や絶食をして赤血球を造る材料となる食物が


なくなると生きるために絶対必要な最小限の赤血球


をつくり出すため、体内の脂肪、筋肉、あるいは炎症部


の細胞などいま、必要としない部分の細胞を脳からの


自動指令によって赤血球に戻していく


 わたしは岐阜大学に勤務していた頃、


研究生や学生などとともに、動物について約10年余り、


食と血液の関連について実験を重ねて、


その過程を確認した。


 断食や減食をすると体の組織における自浄作用が


促進され、組織や器官にあった不要物が


きれいに清掃され組織全体が若返るのである。


 ことに消化器内も余分なもの、寄生虫、


大腸内の悪玉菌も退治される


 血液もきれいになる


 顔色もほのかに紅色を増す


いわゆる血色がよくなるのもそのためである。


 断食、絶食は体内の大掃除になるわけだ。



 また殊に肝疾患には断食治療が特効を示す


 現代医学では肝疾患には断食は禁忌とされている。


 断食をすると血液中に放出される不純物、


毒物質の量が急激に増加するため、


肝機能が不全になったものと考え禁止しているが、


これは現象を逆に見た大変な誤りだが詳細は別の機会に。


『生命と気血』、千島喜久男博士の「おもしろ随筆集」より

新生命医学会 http://www.chishima.ac/