私は、名古屋拘置所で収容者の人たちに食事を配ったり日頃のお世話をしながら


受刑生活を送っておりました。


その中の一人として、


”名張毒ぶどう酒殺人事件”の奥西勝死刑囚のお世話もしておりました。


平成19年頃に再審請求が棄却され、ご本人は、かなり落ち込んでおられました。


私や刑務官も、概ね娑婆に出られるものと信じておりましたので、正直ビックリしまし


た。


棄却された日から、奥西さんの食事の喫食状況を確認しておくようにと刑務官から


指示があり、1週間ほど行動なども注意させていただいておりました。


幸いにも、体調を崩されてしまうことはありませんでしたが、しばらくの間は、紙折作


業をすることはできませんでした。


★紙折作業とは

ブログの中でも書いておりますが、長期にわたり係争している方や死刑囚の方が

作業の請願をすると許可がおり、拘置所内で作業することができるものです。

作業をすることにより、僅かながら報酬を得ることができ、拘置所内での買い物ができます。


話は戻りますが


奥西さんは、独居房で生活をされており、その居室にある棚には、支援者の皆さん


から送られた絵手紙が飾られておりました。


また、結婚された時の奥さん?との写真も飾ってありました。


この光景を目の当たりにしますと、本当に奥西さんが殺人犯なのか?と疑問を抱き


ました。


私たちには、とても穏やかに接していただけたので、本当に、この方が・・・・と思いま


した。


朝食時には、本来収容者には公平におかずを盛らなくてはなりませんが、作業もし


ておられますし、奥西さんとは名前の一部に共通点もありましたので、ご本人も私を


親しく感じていただけた部分もあり、朝食のおかず(きな粉・のり佃煮・鰹の角煮)を


多く盛って差し上げると、とても喜ばれました。


特に、きな粉は、たいへん喜ばれました。


奥西さんのような長期収容者は、定期的(3か月ほど)に居室を変わっておりまし


た。


これを定期転房(ていきてんぼう)といいます。


この転房の際に、綺麗に掃除をさせていただきますので、奥西さんの居室は、比較


的綺麗な中で生活していただいておりました。


私がお世話をさせていただいた、この8階フロアは、当時57名収容できました。


また、あの時のことの思い出として、私がテレビのニュースで妹さんが元気そうに映


っていたことをお知らせすると、とても喜んでおられたことを思い出します。


(但し、本来は収容者との会話は禁止されておりましたが、刑務官の目を盗んで紙折作業の話をする際に、こっそり話たりしたものです)


今、新たに再審請求されておりますが、一日も早く正しい判決が下されることを願っ


ております。


今日も、奥西さんは、娑婆に出られることを目標に頑張っておられることと思います


ので、くれぐれも体調をくずされないことも合わせて願っております。


追伸

居室の中の様子について、個人情報の部分に抵触するかもしれませんが、奥西さんを誹謗中傷するようなことではありませんし、奥西さんは、私の発言なので怒ることは無いと信じておりますので悪しからず。