できるだけ安く会社設立する裏ワザ Ⅱ | 起業・経営の法律コーディネーター

できるだけ安く会社設立する裏ワザ Ⅱ

今回は、起業家の方だけではなく、投資家の方に是非ご提案したい「美しい」裏ワザです。


前回「デラウェアで会社設立の死角」  でも書きましたが、シリコンバレーの「Y Conbinator」(略して「ワイコン」)というインキュベーターのことが一部の日本のIT起業家の間で話題になっています。


ワイコンでは、2万ドル以下の少ない金額(シードマネー)を起業の初期段階において投資し、3か月程度の期間を区切って、創業者を起業のための仕事に専念させ、同時に様々なアドバイスや支援を行ってもらえるということ。
2万ドルなので、日本円に換算すると156万円程度の少額投資ですが、要は、創業者に対して3か月分の生活費を出すから、とにかく3か月事業に専念して頑張ってみなさい、ということではないかと思います。


このワイコンの投資ですが、Cinvertible Notes すなわち日本の会社法でいうところの「新株予約権付社債」という手法で行われています。(後日、その会社の株式に転換することができる貸付にあたります。)


デラウェア会社法においては、このような内容の投資であっても、契約書のみを交わす形式で行いますが、日本の会社法では、「新株予約権」の部分について会社の登記簿に登記することが義務付けられています。


そして、新株予約権の登記をするときには、一回の登記申請につき登録免許税9万円が必要となります。新株予約権の登記は会社設立の登記と同時にはできません。


たとえば、日本で株式会社を設立して、直後にワイコン方式(新株予約権付社債)で100万円の投資を受けたとします

登録免許税などの実費はいくらかかるでしょうか?

答えは、登録免許税等だけで29万円です。100万円の投資を受けても、登録免許税等で30万円近く使ってしまうのでは、全く意味がありませんよね・・・。
これでは、日本ではシリコンバレーのような起業環境が整うことは夢のまた夢・・・。


そこで、ウチの会社法知恵袋・アルガ司法書士といろいろ話をしてみた結果、次のようなワイコン式エコシステム会社設立の裏ワザを考案してみました。


①まず、インキュベーター(投資家)が、合同会社Aを設立します。(登録免許税6万円)

②会社分割(新設分割)により、合同会社Aから分割して株式会社Bを設立します。(登録免許税6万円、公証役場手数料は不要)
会社分割と同時に、新株予約権を発行(新株予約権部分について別途の登録免許税不要)

合同会社Aからベンチャー創業者へ、株式会社Bの全株式を譲渡する契約を締結。
 合同会社Aから株式会社Bへ、株式会社Bの全新株予約権を譲渡する契約を締結。

④ベンチャー創業者が、Convertible Note (新株予約権付社債)で出資を受ける際には、③で得た新株予約権をインキュベーター(投資家)に交付すれば良い。


先ほどの例では、設立と新株予約権で29万円の登録免許税等がかかりましたが、この裏ワザでは、12万円で同じ結果を得ることができます。


最初に設立する合同会社Aは、いわばベンチャー起業の卵を産み出す「マザー」にあたる会社。
次々と卵を産み出すことができるので、1度設立すれば以後何度でも使えます。
ですので、2回目以降からは、実質、6万円の登録免許税のみで、会社設立してそのうえ新株予約権*まで発行できます。


*この新株予約権は、貸付を受ける際に交付するため、ということを想定しています。
ストックオプション用であれば、将来の税制適格について考慮が必要ですので、別途の発行が必要。


ご興味をお持ちいただけましたら、是非、直接メッセージ等でお問い合わせくださいませ!!