入院172日目 day 22


白血球 (朝)15000 (夜)15200
赤血球 (朝)2380000 (夜)2340000
ヘモグロビン (朝)7.1 (夜)6.9
血小板 (朝)15000 (夜)22000
PT (朝)31.3 (夜)28.3
PTコントロール (朝)9.9 (夜)10.1
PT活性% (朝)22.0 (夜)26.3
PT-INR (朝)2.88 (夜)2.50
APTT (朝)102.8 (夜)79.5
APTTコントロール (朝)27.7 (夜)28.7
フィブリノーゲン (朝)136 (夜)153
フィブリン分解産物 (朝)16.4 (夜)13.3
総蛋白 (朝)5.1 (夜)5.4
アルブミン (朝)3.7 (夜)4.0
尿素窒素 (朝)57 (夜)59.5
クレアチニン (朝)0.55 (夜)0.55
ナトリウム (朝)150 (夜)153
カリウム (朝)4.1 (夜)3.8
クロール (朝)119 (夜)118
カルシウム (朝)8.9 (夜)9.2
LDH 1069
AST (朝)761 (夜)562
ALT (朝)317 (夜)246
γ-GTP 33
総ビリルビン (朝)6.6 (夜)6.9
抱合ビリルビン 4.6
CRP 5.5
ヘパプラスチンテスト 20.3
アンチトロンビンⅢ 71.5
タクロリムス 22.8

朝・夜二回採血をした。

ヘモグロビンは出血による喪失(鼻出血・上部下部消化管出血)が最大の原因と考える。
凝固系の低下は昨日から横ばいだが、まだ血を固める力はない。
腎機能は横ばい。
肝機能の数値は改善してきている。
黄疸の数値もほぼ横ばい。
タクロリムスの血中濃度は肝障害によって予想より上昇をしているので、明朝まで一旦中止し、明日の採血を見て、薬剤部と相談の上再開を調整する。

VODに対して…

水分バランスの管理と抗凝固療法(フラグミン継続・プロテインC)をはじめた。

腎障害・肝障害→凝固因子の低下が起こる。
消化管出血が昨夜から見られたが、今のところ血圧低下や脈の上昇はみられていない。しかし、出血が続いていて持続的な輸血が必要な状態である。

重大臓器の出血に対して…

①フラグミンは一旦中止
VODのこともあり、プロテインCは継続する方針。

②血小板・新鮮凍結血漿(凝固因子が入っているもの)の輸血を続ける

③貧血に対しては赤血球輸血を続ける

④経口摂取はやめる

⑤鼻出血に対しては圧迫と必要に応じて耳鼻科の先生に診てもらう。

⑥内視鏡検査、治療(小児外科)は現在は適応にはなっていないが、出血が続く時などは再度検討する。

ますば出血の管理(消化管出血・鼻出血・肺・脳などの出血がおさえられるか)に重点をおいて、全身管理をしながら肝機能の回復を待つ方針である。

重大な大量出血や、頭、肺などの重大臓器からの出血が起きた場合に急変する可能性がある。

以上が医師からの話。


2:20 体温36.7 鼻血・嘔吐
5:00 嘔吐
7:00 体温36.7
8:30 ラシックス
10:10 体温36.6
14:40 体温36.6
14:50 嘔吐
19:10 体温36.8
夜は眠っていても吐いてしまうので起きてしまっていた。
喉の渇きを訴えていたけど、よく耐えてくれていたとの夜勤看護師Sさん談。

昨夜から飲水禁止になり、喉の渇きで泣きながらも必死に耐えていたhide…
つい最近までは口が痛くて飲み込む事も出来ずにいたが、口や喉の状態が落ち着いて、やっと飲み込む事が出来るようになったと思ったら、今度は飲水禁止…大好きなゲームも、テレビやDVDも見ず、遊ぶ気力も体力もない。私たちが普段当たり前にしている事さえ我慢しなければならないで、必死に自分の欲求と闘っているhideを見ていたら、とうとうたまらなくなり、クリーンルームで医師や看護師の目も気にせず泣いてしまった私…ただhideには見つからぬように…
この一年半近くの間、決してhideの前では泣かないと誓い、また家族や友人知人、医師や看護師の前でもほとんど涙を流す事なく来た私。でも、強いんじゃない。強がっていただけ…

S看護師が泣いている私に、

『今のhideちゃんは我慢せず、辛い時は辛い、喉が渇いた時は飲みたいと教えてくれてますよ。(以前のhideは痛かったり辛かったりしても我慢してしまっていたので、今回の移植の課題はいかにhideに我慢させず、自分の気持ちを伝えてもらうかだった)だからお母さんも我慢しないで泣きたい時は泣いて良いんですよ。』


と体を擦りながら優しく語りかけてくれた途端、嗚咽が止まらなくなってしまった…


発病以来辛い治療をし、たくさん我慢して、耐えてきたhideの事を考えていたら、小さいのにこんなに頑張っている。何も悪い事してないのに、いつになったらこの辛さから解放してあげられるのだろう?鼻血も止まらず、顔も服も布団も血だらけ…そんなhideを見ていられなくなって、代わってやりたくても代わってやれない、何もしてやれない無力さが入り交じって、なかなか涙が止まらなかった…


でもひとしきり誰かの前で泣いた事で、少し落ち着く事が出来た。今まで人前で泣く事はいけない事だと思っていた。だから必死に平然を装ってきた。でも、独り隠れて泣くだけではダメな時もある事を知った。


医師や看護師に心配をかけてしまったけど、看護師Sさんにとても感謝している。おもいきり泣かせてくれてありがとう。

病棟入口で入院患者の小さい子の相手をしていたkazuの声が、hideのいるクリーンルームまで聞こえた。するとkazuの生声が聞きたいとhideが言った。しかし、12歳以下であるkazuは病室には入れない。そこで、迷惑を承知の上で、入口から大きな声でkazuにhideを呼んでもらう事にした。

『hide~っ!!』

と呼ぶと、

『は~いっ!!』

と力強い声で返事をしたhide。残念ながらその声はkazuに届くには至らなかったけど、あんなに大きな声で返事をしたのは久し振りだったので、さすがはkazuパワー!


時々喉の渇きに耐えられなくなり、大きな声を出したり、暴れそうになったが、今のhideは凝固の力が非常に弱く、それをされてしまうと、様々な部位からの出血が大変な事になる場合があるので、いくつか約束をする事にした。

①嫌な事や我慢出来ない事があっても、大きな声で騒いだりはしない。

②暴れたり、叩いたり、ぶつけたりしない。

お約束の必要性、重要性を何度も説明し、理解はしてくれたけど、ストレスもかなり溜まっているので、分かってはいても、つい大きな声を出してしまう…その時はまず優しく『お約束は?』と声をかけると、すぐにトーンを下げていた。お互い同じセリフの繰り返しでイラっとしてしまいそうになりながらも、hideの気持ちに同調してあげてなだめるを繰り返していた。

夜、医師に喉渇いちゃったからお茶飲みたいな~って言うと、

『今は飲めないけど、一晩我慢してもらって、吐いたり気持ち悪くなったりしなかったら、小さな氷一粒から始めてみようか?』

と言ってもらった。理解はしつつも、やはり喉の渇きに耐えられず、

『先生には内緒で少しだけお茶飲んじゃおうか?』

と言い出すhide…

『今我慢出来ずに少しだけでも飲んでしまって、これから先ずっとお口から飲んだり食べたり出来なくなって、鼻からチューブになっても良い?』

と聞くと、

『鼻チューブは嫌!!』

って言って少し落ち着いた。

夜中も眠りは浅く、一時間おきにナースコールでウンチが出た事を教えていたので、睡眠がとれていないようだった。

何度か大きい声で

『喉が渇いた!』

と言う事があったけど、『お母さんとのお約束』を伝えると、その都度納得していた。


愛息子フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病闘病記-20070720-1

愛息子フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病闘病記-20070720-2

愛息子フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病闘病記-20070720-3


























『お茶と氷をコップに入れて飲みたいー!!』

『シリンジで飲むのー!!』

『ぐちゅぐちゅぺするー!』

『水飲みたい!』


飲水の希望強くあり、機嫌悪い。飲水について医師や母からも説明されるが啼泣して飲水を希望している。

細胞内液の水分が足りずナトリウムの低下あり、白メインが12時からST3にカリウム、ビタミン剤が入ったものへ変更されているものあり。HR110-130台で経過。SpO2は酸素3L吹流しをし、99%前後で経過。入眠後は91%に低下することあり。物音にて覚醒し、回復している。Air入りは弱め。肺雑なし。左鼻出血続いている。自分でティッシュでぬぐっている。10%ボスミンにて対応しているが、外したいと希望あり、入れたり外したりを繰り返している。外した時は鼻出血続くことなし。右目尻の出血は続くことなし。

時折嘔気は見られていたが、嘔吐なく経過している。しかし、14:50嘔気あり、吐血を50mlほど。暗赤色。日中は1回であり、0時以降は4回あり。13:50からFFP2単位投与開始している。18時頃に終了している。終了後はPC投与予定。FFP優先のため側管の同時刻に投与予定のカルベニン、アシロベックはskipとなった。プログラフは血中濃度が高いため、11:30に一旦中止となっている。明日の朝の結果で再開予定。

排尿チューブ内は褐色で浮遊物混じりの尿が日中は見られている。日中オムツに尿漏れ見られることあり。ラインがねじれていたため、直すと以降は漏れず。排便は頻回にあり。はじめは黒茶色の便であったが暗赤色と鮮血に近いものあり。水様便に粘血便混じりのもの。

腹囲は臍上60cm最大65cm(前日比+3cm)

体温36℃台で経過。BP90-100/sで経過。


『ぼくね~のどが渇いたの』

『水道の水を入れて欲しいの』


【身体所見】

胸部:両側下肺のair入り若干悪い、no murmur

腹部:膨満あり、肝腫大あり

四肢:edema±

8:30,20:20に10mgずつラシックスivしている。

心エコー:IVC=Ao(78mm)、心嚢液貯留5mm程度、胸水は左15mm、右8mm程度


#1 VOD

Bilは上昇

腹囲57cm(-0.5cm)

BW17.3kg(-0.7kg/2day)

横ばいと思われる。FDP、D-Dimerはともに減少傾向。GOT、GPTは減少傾向にあるが、VODのピークが終わって軽快傾向に向かうサインなのか、あるいは劇症肝炎様の病態なのかも想定しなければならない。


#2 消化管出血

タール便、吐血は3回(昨日とほぼ同量程度見られる)、tachycardiaなどは見られず、消化管内視鏡の適応はなく、血小板輸血、FFP投与で経過を見ている。


#3血尿

続いている。


#4 鼻出血

現在は止まっている。もしも出血が始まった際はボスミンガーゼなどで止血する。


#5 水分バランス・電解質バランス

心エコー上、前回と比較して、胸水、腹水の量が減少している。やや引けてきたものと思われる。FFP使用開始しており、アルブミンは中止で電解質バランスに関してはNaの値が上がってきており、側管からの抗生剤などをブドウ糖ベースとする。


『だってー!ぼくのど渇いたんだもん!はやく準備してきて!』


腹部膨満著明のため体動少なく、自力で体位交換するにも時間がかかる。

20時頃嘔気訴えあるも嘔吐は見られず。その後朝まで吐血等なし。口渇の訴え強く、母や医師、Nsに何度説明されてもl啼泣し、飲水希望あり。朝エコー実施後に医師より少量の飲水許可さり、シリンジでファンタ5ml摂取する。嘔吐や腹部不快出現なし。

夜間は酸素3Lマイクで吹流し、SpO2:97-98%ベースで経過。時折90台前半まで低下見られるが、長くは続かず。肺雑なく、air入り下肺改善傾向。本人呼吸苦訴えなし。HR:110-120台

左鼻出血はすでに止血しており、夜間新たに出血してくることなし。口唇内側に血餅付着しており本人時々触っている様子あり。出血防止のため触らないよう適宜声かけ行う。

OUT少なめで経過。18:40、1:30、8:30それぞれラシックス10mgiv施行。

260ml(尿量)+155g/16-0時 565ml(尿量)+519g/day 排便19回/day 暗赤色泥状のものに時折鮮血混ざっていることあり。排便は少しずつ頻回にあり、ほぼ1時間おきにNsコールにて呼んできている。0-8時までで8回。肛門周囲発赤やや増強。

0:30よりFFP投与開始。5:30に問題なく終了した。MAP、PCは持続投与中。BP:90/50台。アレルギー症状なし。