入院170日目 day 20

体重 18.0㎏ 腹囲 57.1㎝・62.0㎝
白血球 8700
赤血球 2410000
ヘモグロビン 7.3
血小板 27000
PT 25.6
PTコントロール 9.9
PT活性% 28.5
PT-INR 2.40
APTT 89.1
APTTコントロール 27.7
フィブリノーゲン 198
フィブリン分解産物 57.4
Dダイマー 34.99
総蛋白 5.1
アルブミン 3.4
尿素窒素 32
クレアチニン 0.61
ナトリウム 140
カリウム 4.3
クロール 110
LDH 981
AST 513
ALT 245
γ-GTP 43
総ビリルビン 5.7
抱合ビリルビン 4.0
CRP 6.1
アンチトロンビンⅢ 71.2

hideのVOD(肝中心静脈閉塞症)の程度が中等症~重症であると考えられる。VODは自然に軽快する事も多いが、重症の場合は多臓器不全となり、命に関わる事があるので、今の段階で次の治療に入る事が必要となり、それについて医師と面談があった。


血小板輸血をしても上昇に乏しく、出血傾向、腹水・胸水貯留、体重増加、肝腫大、肝臓の圧痛、黄疸の悪化などの所見から肝中心静脈閉塞症(VOD)と考えている。
原因としては、2回目の骨髄移植、全身放射線の既往、ブスルファンの使用が考えられる。
肝臓の肥大によって血流が悪くなり、二次的に血栓が出来る。(血小板が消費され、輸血をしても血小板が増えない)
肝臓に入る血流が悪くなる為に、腹水、腹部膨満、体重増加などがみられる。

他臓器への影響

・胸水によってSpO2軽度低下、多呼吸。
・肝機能障害(AST 513 ALT 245)
・腎機能障害
・心嚢水
肝機能、腎機能は昨日から悪化傾向があり、抗生剤などをやめて負担を減らすようにしていき様子を見る。

現在の方針は

・水分を少し制限する
・アルブミンや輸血など濃いものを輸液する
・利尿剤を適宜投与して水分貯留を防ぐ。

治療としては
①輸液などで水分のバランスの管理を行なう。

②抗凝固療法…血小板輸血を最低限にする
ATⅢ(ノイアート)
プロテインC
③血栓溶解療法…tPA

今回プロテインC(アナクトC)の投与が可能となった為、使用する事を考えいる。
この製剤で改善乏しい時はtPAの投与を検討している。

活性化プロテインC(アナクトC)を末梢から24時間持続点滴で3日間投与していく。
効果としては、現在の血栓形成傾向を改善する事を期待している。
フラグミンも併用しており、出血のリスクを助長する可能性は強く、血小板も減少しており、出血傾向に十分注意が必要である。
また、薬剤投与によるアレルギー症状や出血によって致命的になる事も予想される。

といった話だった。
急に肝機能障害が悪化したのと、黄疸の数値が上げ止まりだったのは予想外だったようだ。

まずはプロテインCの効果に期待したい。

hideの体、耐えるんだよ!!hideの心はず~っと頑張っているの分かってるから、今更頑張ってとは言わない。
とにかく体に頑張って耐えてもらいたい。そして乗り越えて欲しい!
hideの笑顔をこれから先もずっと見ていたいから…



愛息子フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病闘病記-20070718-1



愛息子フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病闘病記-20070718-2


【両親と面談】

現状の確認

VODの病態:血小板輸血不応性と出血傾向、腹部膨満と体重増加が進み、肝腫大・肝の痛み、黄疸の悪化が進んできており、肝中心静脈閉塞症(VOD)の病態がメインと考えている。治療法として確立されたものはないが、

①水分バランス管理

②抗凝固療法:血小板輸血は最低限とし、ATⅢ、プロテインC

③血栓溶解療法:tPA(出血のリスクがより高い)

自然軽快することも多いが、重症の場合は多臓器不全に至り致死的になることもある。

患児の状況

VODによる肝腫大など、多臓器への影響も出ていて、胸水(SpO2低下軽度、多呼吸)・心嚢水(悪化はなし)。肝機能障害や腎機能障害が昨日から今日にかけて悪化がみられ、抗生剤等を整理して負担を減らすようにする。

治療の方針:水分の制限もしつつ、入れるものはアルブミンや輸血などの濃いものにする。利尿剤を適宜投与して水分貯留を防ぐ。今回白血球が立ち上がってきたのでグランは一旦中止する。

今回プロテインCの投与が可能となったため使用し、これで改善がない時はtPAの投与も考えているが、出血のリスクを考えるとプロテインCを始めて効果を期待したい。

改善がみられず呼吸障害・肝機能や腎機能障害がすすむと致死的になることもあり、今の段階で次の治療に入ることが必要と考えている。


現在のVODのレベルからは中等~重症と考えられる。

VODの治療として以前から試みられていたtPAは出血のリスクが高く、あまり進んできておらず、現在はプロテインCの投与によって凝固を抑えていく治療で改善が得られたとの報告が出てきていて、効果は期待したい。副作用としては、出血のリスクはあるが、病態が改善して血小板消費が抑えられれば、逆に止血効果はあると思われる。

現在の状況として、黄疸の上がり方は予想される範囲よりも少なかったが、腎機能や肝機能障害が気になるところであり、全身の重症な病態になると非常にシビアになる。

現時点ではVODの症状がはっきりしており、まずそれに対して対応していくが、移植後の様々な合併症が出てくる時期であり、今の病態には他の要素も加わっているのかもしれない。多くの合併症が重なって手がつけられない状態になることもあるが、今ははっきりしているVODに対して対処し、ひとつずつ対応していくようにしたいと考えている。


『グチュグチュペしてからファンタオレンジが飲みたい~。でもボクどうやって起きて飲めばいいの?』

体温:37.7℃→37.4℃ HR:130-140台で経過。SpO2:97%ベースであるが、寝ると94%前後にふらつくことあり。長くは続かず自然に回復する。2~3時間おきに飲水したいと訴えあり。医師に確認し、20mlずつファンタ、お茶、水などをシリンジで飲む。日中は飲んだあと嘔吐なかったが、17時に水を飲んだあと淡々血性のもの嘔吐あり。両目内出血見られている。腹満著明。BS低いため、50%ブドウ糖100ml追加される。また、白血球9000のため、グラン投与は中止となる。また現在持続のダイアモックスがほとんど効いていないと考えられるということで、9:30に持続のダイアモックスはoffとなる。10時から頓用のアルブミン50ml投与後、12:20にラシックス7mgivされる。反応尿見られるものの、やや乏しい。8-16時150ml+190g(便3回込み)茶褐色尿みられていたが、アルブミン、ラシックス投与後はやや薄い色になってきている。便は黄緑色の水様便少量ずつあり。日中は出血などみられず。


『のど渇いたー!ファンタが飲みたい!注射器で飲みたい!お茶が飲みたい!アイスが食べたい!』

体温37℃台前半 22時頃からSpO2:90%台前半にふらつきあり、22:30より酸素3L胸元吹き流しにて投与開始。→SpO2:98%前後まで回復するが、寝返りなどで口元から離れるとSpO2:93%前後になることあり。

VODの治療として、左手末梢ライン確保し、プロテインC(血漿分画製剤)持続投与開始。アレルギー症状なく経過。0時よりアルブミン持続投与開始。