<本から音楽が聞こえてくる!・・・「船に乗れ!」> | 先生が教える小学校と勉強:小学生子育てプロママ養成講座

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 この日曜日、東京から戻ると雪模様。

 

 気温も低く、明日はかなり早く家を出ないといけないなあ、と思いながらも、観てきたばかりの舞台全編を通して聞こえていたオーケストラの音楽が、頭の中に響いていました。



 「先生が教える小学校と勉強」の風路でございます。

 

 「船に乗れ!」。

 

 上・中・下、三巻にわたるこの小説をご存じの方も多いと思います。

 

 藤谷治氏のこの小説。惜しくも本屋大賞は逃しましたが(この年の本屋大賞は、「天地明察」でしたね。たしか。)第7位ぐらいにくい込んでいたと思います。


 大人になった主人公の津島サトルが、音楽高校時代の青春の日々を振り返る形で展開されるこの物語り。

 

 青春小説かと思って読み出すと、なかなかどうしてちょっと苦めの展開もあり、好みは分かれるかと思いますが、手応えを感じる話ではあります。


 

 全編から、クラシック音楽が溢れ出し、あまりこういったジャンルの音楽に詳しくなくても、それなりに入っていける展開です。



 これを「交響劇」という形で、舞台化するというので、どのような形になるのか興味があり、その舞台を拝見(拝聴)しに行って参りました。

 

 舞台の上には、オーケストラ席。その前に少しの空間となだらかなスロープの舞台袖に至る道。バックには、大きめのスクリーン。

 

 クラシックの楽曲に日本語の歌詞を乗せて歌う曲が次々と繰り出されて、これは単なるミュージカルとは一線を画す構成。

 

 若手とはいえ、今のミュージカル界を代表するようなプロの俳優さんたちも、たいへんだったろうなあ、と感じました。

 

 それぞれの役の上での高校生が担当する楽器の代表的な曲に日本語が乗って歌うようになっており、それを各所にちりばめながら、物語を展開させて行きます。
 

 
 例えば、主人公のサトルの担当楽器はチェロですが、大人のサトルとも関係が続き彼の親友となる同級生、伊藤慧は、フルートの担当

 

 この伊藤慧役は、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」でベンヴォーリオ役や「エリザベート」でルドルフを演じたことのある平方元基さんという若手のミュージカル俳優さん。

 

 伸びやかなソフトな声の持ち主で、たいへん歌唱力のある方ですが、なかなか手応えがあったのではないかと、推察される曲がのっけから登場します。

 

 舞台がスタートし、中心メンバーが出会った直後、フルート奏者の彼が歌うのが、フルート曲の中でも最高峰と言われている名曲、バッハの「フルートソナタロ短調 第1番 第1楽章」。

 

 本来ならハープシコードの伴奏が付くこの曲に、人が言葉を乗せ歌うと、おそらく♯や♭の臨時記号がたくさん付いた譜面に沿って、上がり下がりのある旋律を歌い上げるようになる。

 
 

 平方さんはこの曲を、きれいに歌いこなされていましたが、このように言葉を乗せて歌うだけでなく、当然、ストーリー展開に意味のあるクラシック音楽そのものも、必要な場面に展開されるんですね。

 
 

 主人公のサトルが、後々たいへんな展開となるバイオリンの南枝里子の前で、初めて弾いてみせたのが、バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番 アルマンド」。(プロローグでは「同 プレリュード」)。


 メンデルスゾーンの「ピアノ三重奏曲第1番第1楽章」は、サトル、南、ピアノの北島先生が、サトルの祖父で、この音楽高校の理事である松野家の居間で演奏しました。

 
 他にもブランデンブルグ協奏曲第5番第3楽章や、バイオリンソナタ第5楽章「春」、チェロソナタ第5番第3楽章などが次々と登場。


 

 読んだだけでも全編を通して、クラシック音楽が溢れ出し、舞台化されたものでクラシックを「見て」感じるという体験もできる「船に乗れ!」。


 お読みに(ご覧に)なってみませんか?


 

 今回のお話は、テーマは国語、いや音楽かな?


 

 参 考

 

 クラシックと言えば

 

 <定番のあの曲は、この作曲家のこの曲だった!>

 

 舞台と言えば

 

 <今回の「ヴェニスの商人」は、猿之助さんが魅せてくれました!>