「婚活」に見る結婚観の変化 2 | 愛される女になりなさい

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『婚外恋愛』に悩んでいるあなたへ。

婚活の是非や、実際に婚活をしている人が、社会現象化するまで多数に及んでいるのか? という問題はともかく。

「婚活」という結婚への姿勢に、私は非常に興味を持ちます。


「婚活」という言葉が、「就活」になぞらえて生まれた造語であることを考えると、その結婚への姿勢が、これまでの世代とは違っていることがわかります。

単純に置き換えれば、将来の結婚相手は「就職先」であり、結婚相手を探す自分は「求職者」となります。

自分の希望に合った就職先をリサーチし、企業研究を重ねて説明会に参加し、エントリーをする。

一方で自己分析を十分に検討して、自分の強みであるアピールポイントを明確にしておく。

実際に面接となれば、志望動機や就職後の展望とともに、それらに絡めて、就職先にとって、自分自身がいかにメリットのある人材であるかを伝えること。

そして、コミュニケーションや危機管理の能力、リーダーシップ、状況判断力、柔軟性、情熱、個性・・・・・そういった、自己の意識向上を図らなければなりません。

要するに、魅力のある人間になることが必要です。


また、婚活のおもしろいところは、自分自身が求職者であると同時に、逆の立場で考えてみると、結婚相手にとっての「採用企業」でもあるのです。

自分の将来設計に見合う人材を慎重に見極め、家庭という共同体をともに守ることのできる伴侶を選び抜く作業でもあります。


そういった過程を結婚に持ち込むというのは、これまでにはなかったことではないでしょうか。


私の周りで、実際に「婚活」を積極的に行っている人はいないので、たまに見かける婚活ブログを参考に見てみると、上記のような「就活」に似た手法が取られているのを目の当たりにし、個人的には、複雑な気持ちになります。

出会いのきっかけは多種多様であったとしても、「婚活」というくらいですから、初対面の瞬間から、相手を結婚の対象として意識していることになります。

自分の将来を預ける相手としてふさわしいかどうか、一種「値踏み」をするように、スペックのチェックが重要であるようです。

職業や年収、見た目(容姿、特に顔。ファッションセンスなど)、家族構成、趣味など・・・・・どこを最重視するかは人それぞれなのでしょうが、就活で言えば、履歴書の段階で取捨選択されることが非常に多いと思います。

たとえば、年収が高いとか低いとか、顔が好みであるかどうかで、スタートラインにすら立てないのです。

結婚を意識していない段階の恋愛であれば、相手の年収はさほど問題ではないし、顔が好みでなくても、長く友人関係を続けているうちに、内面に惹かれていくということも珍しくはありません。

しかし、「婚活」の場合、チェックポイントのうち、どうしても譲れないところでバツ印をつけてしまうと、お互いによく知っていけば、実は相性のいい相手であったとしても、それを知りうることができません。


プロフィールや第一印象をパスしたとしても、次から次にチェック項目をクリアしていかなければなりません。

実際に話してみて、価値観やフィーリングが合うか、ちょっとした仕草や空気感の印象はどうか、結婚観や将来への展望が一致するかなど、慎重に見極めなくてはなりません。

それは、一次面接、二次面接と、選考を重ねていく過程にも似ています。

恋愛結婚であれば、交際期間の数年をかけて、お互いを知り合っていくものだと思いますが、「婚活」では、これらの重要な判断を、ごく短い期間のうちに行わなければなりません。

ですから、たった数度のデートの間に、「料理のオーダーの仕方が気に入らない」とか「仕事の話ばかりでつまらない」とか「受け答えが素っ気ない」などの些細な理由で、結婚相手としての可否が決められてしまいます。

ちょっとした動作のひとつ、言葉遣いの端々で、端的に、その人の本質を見抜くことができればいいのですが、単純に、合否を決めるための行動テストが常に行われているような感覚にもなります。


そうやって、面接通過が叶わなかったかのごとく、「この人は違う」と、不合格の烙印を押されて、次の段階に進めないということが多く見られます。

就活がうまくいかないときにも感じることですが、面接を受けても不採用になることが続くと、自分の全人格を否定されたような気持ちになって、落ち込むものです。

婚活においても、「この人ともまた違った」と、結婚相手にふさわしくないと判断したりされたりすることが続くと、自分が必要とされていない人間のように思えて、疲弊してしまうようです。

相手から断られるのはもちろんのこと、自分から断るばかりだったとしても、「いつ幸せになれるのだろう」「本当に結婚できるのだろうか」と、焦りが募ってきます。


見合いの場合でも、数度の面会で将来を決めなくてはならないという厳しさがありますが、婚活は、仲介者がいないことや、結婚を目的としながらも、恋愛という過程を踏むことが求められる点などから、見合い結婚と恋愛結婚の両方の難しさを兼ね備えているようにも思えます。



(次回に続く)