えっと、現役女子高生、SAKIさん応援 を兼ねての


番外編を執筆中。





登場する人物、団体、名称はすべて架空のものです。


この小説は


”Obsessed with you”、


”Forbidden Affection”との


連動小説となっています。


初めてごらんになる方、お読み直しなさりたい方は


→ 小説インデックス をご覧ください







あー・・・明日で最後かぁ・・・。


私は自分の部屋の壁の隅にあるカレンダーを見ていた。


うぅん。正確に言うと


カレンダーの○が付いているところ。


2月5日金曜日。



進学や就職を控えた私たち3年生は


今月5日を最後に自由登校になり、


実質的に春休みに入る。



この5日は彼と私の特別な日。


高校生活最後の英語の授業がある日。


桧山先生の授業が受けられる最後の日。



実は私、九条美桜はみんなに内緒で


私の高校、翔陽高校の英語教師、


桧山恭祐先生と交際している。



2年生の秋頃から


1年ちょっと、みんなには秘密で付き合ってきた。


皆には言えなくてやきもきしたこともあったけど


秘密だったからこそ


私たちの絆を深める時だってあった。



そんな高校生活の中で


誰の目も気にせずに


桧山先生を見つめていられるのは


唯一、英語の時間だけだった。



だからそんな高校生活が終わってしまうのは


何となくさみしいし


しかも卒業してしまったら


桧山先生の授業を受けたくたって


もう絶対に受けられない。



つまり、彼の雄姿(?)を見られるのも明日で最後。



だから明日は私にとって特別な日。


それに乗じて私は明日を


私たちだけのバレンタインデーにすることにした。



今までバレンタインデーなんてくだらないと思っていたけれど


去年からその日は特別な日になった。


私も普通の女子高生なんだなって思う。


桧山先生は私に


今まで感じたことのないときめきを感じさせてくれて


自分がこんなにも幼いんだって感じることもあるけれど


こういう一面があったんだと


なんだか幸せでもある。



恋って不思議。


あ、とにかく今年のバレンタインは


先生つつき合い始めて2度目のバレンタイン。


去年は何となく照れ臭かったけれど


今年はまた違った気持ち。


1月に今年のカレンダーをぱらぱらとめくって


今年のバレンタインは日曜日なんだ!


先生とデートできるかな!!



って喜んでいたんだけれど


聞いたら先生はその日、何かの研修で


土曜日から日曜日の夜遅くにかけて出張らしい。


ウィークデーは先生、もちろんお仕事だし。。。



で、考えた挙句、2人の記念日になるかもしれない


2月5日を自分たちだけのバレンタインデーにすることにした。



だから先週末、私はお小遣いをはたいて


セレクトショップで先生に似合いそうな


素敵なスクエアドットのネクタイを買って


さっき、先生の大好きなマッドチョコケーキを焼いた。



そのプレゼントは明日朝、


すぐに持っていけるようにもうラッピング済み。


準備は万端!!



でもこれはまだ先生には内緒。


だって先生の驚く顔が見たいから。




明日お仕事が終わったら


先生の家で待ち合わせようって約束だけしてある。



先生、どんな顔するかな…。



わたしは先生の喜ぶ顔を思い浮かべて


ドキドキ、ワクワクしていた。



__________________


朝、私はいつもより早く起きた。


だって卒業式を除けば


これが高校生活最後の日。




いつも以上に身なりを整えて


私は登校した。




最後の授業だけあって


授業は授業のようではなくて


殆ど先生との雑談のようになっていた。



そしてそれは英語の授業も同じだった。



学校で一番人気の桧山先生だから


みんないろいろとおしゃべりしたくて


先生は私と目を合わせる暇がない。



ちょっとさみしい。



先生がチョークで黒板に書いている後ろ姿を見つめたり


教科書の英語をすらすらと音読する


先生の声を聞いたり、


みんなが教科書に目を落としている隙に


先生と目配せしたり・・・



最後、そんないつも通りの授業を期待していたのだけれど。




でも、そうじゃなかった。


なんだか期待外れ。



中には先生と離れたくないって


泣き出しちゃった人もいて。



先生はそんな生徒の相手をずっとしてた…。




しょうがないか…


うん・・・先生はみんなの先生だもん。




でも・・・



でもっ、



今日は学校が終わったら


先生を独り占めできるから・・・


いいんだ・・・・。




結局最後の授業は


先生と話すことも目が合うこともなく


あっけなく終わってしまって、


惜しまれながら教室を出ていく


先生の横顔を見ながら


拍子抜けしていたけれど


それと同時に今夜に思いを馳せていた。




そう。今夜会えるから・・・。




最後のHRの後、


亜由美たちが


「いまからみんなで遊びに行こうよ」



なんて話しかけてきたけれど


ごめん、今日は絶対に外せない用事があるの、


春休み中に会おう


と断った。



亜由美は


もしかして例の年上の彼氏とデート??


なんて冷やかしてきて


私が そんなところ て答えると



「ほんと、その彼氏にいつか会わせてよねー」



ってくぎを刺された。



私はそんな楽しそうな彼女たちとさよならをして


電車に乗って先生の家の最寄り駅に向かった。



電車を降りて先生のマンションの


最寄りのスーパーでいつも買う以上に


たくさんの食材を買い込んだ。



だって、今日は特別な日だから、


おいしいごちそう作るんだもん。



先生が帰ってくるのはまだまだ先だけれど


もう待ちきれなくて


私は先生の家の扉を合鍵であけて中に入った。



相変わらず先生の部屋は整然としていて


感心する。



私はソファーにコートと制服のブレザーを脱ぎ捨てて


キッチンに立つと腕まくりをした。



買ってきたものをどんどん取り出して


料理をしているうちに


あっという間に時間が過ぎて


いつの間にか夜の7時を過ぎていた。



もうすぐ先生が帰ってくる。



テーブルのセッティングはOK!!


そして・・・プレゼントも・・・準備できてる!!!



私はソファーのわきに置いたプレゼントの袋をちらりと見て


一人ニヤニヤしてしまった。




それから30分が過ぎて


壁の時計が7時30分を指していた。



あれ?


どうしたんだろう?


いつもよりも少し遅いのかな?



しばらく呑気にテレビを見ながら待っていたものの


さすがに8時近くなって


根拠のない不安に襲われ始めた。



何かあったの?


先生、私との約束を忘れてる?



先ほどまでとは違って


今度は時間が過ぎるのが


とてもゆっくりに感じてもどかしくなる。



そして時間は8時30分を少し過ぎた。



絶対に変。



私はかばんの中の携帯を急いで取り出して


開いてみたものの、


着信もメールもない。



どうしよう。


何かあったのかな…。



先生の迷惑になるといけないから


先生の携帯にはめったにかけたことがなかったけれど



どうしようもなくて


私はとうとう先生の携帯にダイヤルした。




しばらく何も音がしない時間が流れた後、




―お掛けになった電話は電波の届かないところにあるか


電源が切れているためかかりません―




そうアナウンスが流れて


私は押し間違いかもと、もう一度かけ直してみた。


だけど、結果は同じだった。




どうしよう。。。



急に溢れだした焦燥感で


私は思わず先生のマンションを飛び出した。




とにかくじっとしていられない・・・。


私は駅に向かうことにした。



駅までの道で


先生に出会えたらいいのに・・。




そんなことを期待しながら


だけれど何となく、


そうならないような予感がしつつ、


それでも私は駅に向かった。



予感の通り、


やっぱり先生に会うことはなくて・・・


結局駅前まで来てしまった。



私は駅前のたくさんの人の中で


肩を落として途方に暮れた。




もう一度マンションに戻って待つしかないのかな…。


不安でいっぱいの心を抱えたまま、


来た道を振り返ったその時、





目の先に喫茶店があって


偶然、本当に偶然、




その喫茶店のガラス張りの壁のすぐ向こうに先生の姿を見つけた。



そしてその先生に向かい合うように座っていたのは・・・



校内でも美人だと言われている、現国の杉浦美鈴先生だった。






後編へ続く





あぁ。。朝が来るまでに


この話を完結させたいです!!!


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