登場する人物、団体、名称はすべて架空のものです。


この小説は


”Obsessed with you”との連動小説となっています。


初めてごらんになる方は


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日曜日の朝、


目が覚めると、


見慣れない天井が広がっていた。



あれ?



隣に目をやると


俺に背中を向けて寝る里奈の姿があった。




あぁ、そうか・・・。




「恭祐も一緒に来て」という


里奈の誘いに乗じて、


俺は里奈と一夜を共にしたんだ。





酒が入っていたせいだろうか、


簡単に誘いに乗ってしまったな・・・



今更ながら浅い罪悪感を感じながら、


ゆっくりと上体を起こすと


里奈が


「ウゥン」と覚醒を始め、とろりと目を開いた。




「ごめん。起こした?」



俺が謝ると



「うぅん・・・」



とまどろんだ笑みを浮かべて


里奈がゆっくりと上体を起こした。



ハラリとタオルケットがはだけたが、


里奈はキャミソールを着ていた。




あぁ、、行為の後、


すぐに寝ちゃったけれど


里奈はきちんと下着を着けたのか…。



俺はと言えば…


体にまとわりつくタオルケットの感覚で


自分が一糸纏っていない格好であることが分かり、


少し気恥ずかしくなった。




「シャワー浴びた?」




俺の問いに、里奈は


うぅんと小さく首を横に振った。




「じゃ、浴びてくる?


俺、里奈の後でいいよ」



そう言うと里奈は




「ありがと


じゃ、先に浴びてくるね」



と言ってベッドから降り、


上から俺に軽く口づけすると


里奈はまずキッチンに入っていった。



首をのばして里奈の様子をのぞいたが


ここからではよく見えない。



かちゃかちゃと音がして、


直後香ばしい香りがここまで漂ってきた。



しばらくして、里奈がこちらに戻ってきて、


湯気が立つマグカップを1つもつ里奈の手元に目が行った。




「はい、コーヒー。」



「おぅ、サンキュ」



里奈は俺にカップを手渡すと



「じゃ、シャワーお先」



と、背中を向けて


浴室に入っていった。




里奈がぱたんと浴室の扉を閉めるが早いか、


俺は手の中にあるコーヒーを


ベッド脇の小さなテーブルに置いて


立ち上がり、


床に散乱している服から


急いで自分の下着を探して、身に付けると


ふぅっとため息をひとつついた。




テーブルからコーヒーを拾いあげ、


ベッドルームを出ると、


昨夜はきちんと見渡しもしなかった、


こぎれいなリビングルームが広がっていて


俺はその空間の中で一番目立つ、


心地よさそうなソファーに


腰を落とした。




そして、脇のテーブルに置いてある


置時計に目をやると


10時を回っていた。




しばらくすると


細かい雨が床を叩きつけるような音と、


ぴちゃぴちゃと水を打つような音が聞こえてきて


里奈がシャワーを浴び始めたのが分かった。




俺は熱いコーヒーを


少し口に含みながら


自分が目が覚めた後に感じた罪悪感を


思い出していた。




いや・・でも・・・


こうやって時間を過ごしていけば


里奈のことをもう一度


心から愛せる時が来るのかもしれない





そう自分に言い聞かせた時だった




どこからか聞き覚えのない


メロディーが流れだした。




俺はその音の発信元を探しながら


きょろきょろとあたりを見回していると


里奈の鞄が目に付いた。




携帯か・・・




俺は屈むようにして


床に無造作に置かれた里奈の鞄を


覗き込むと


鞄の暗がりの奥で


携帯が発光しているのが分かった。




メロディーは意外と長い間


流れ続けた。


それは「どうしても出てほしい」と訴えるような長さで


俺がそれをシャワーを浴びる里奈に


伝えようか悩んでいると


諦めたように鳴りやんだ。




しばらくして


里奈がTシャツと短パン姿で


シャワーから出てきて、


俺はすぐに携帯が鳴り続けていたことを


里奈に伝えた。




里奈は



え?ホント?



と言って


片手で髪を拭きながら


もう片方の手で急いで鞄を探ると


携帯を取り出して、開き


いくつかボタンを押して、


着信履歴を確認しているようだった。




彼女はディスプレイを見ると


眉間に深くしわを寄せ、


アァっと不快感が籠ったような溜息をついた。




俺には見せたことがない、


そのあまりにも嫌悪感でいっぱいの表情を見て


俺は思わず




「どうした?」




と尋ねた。




続く

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