火の土にんにく


「にんにくは、生で食べない方がいいですよ」
「そう? でもちょっと食べさせて」
「胃が荒れますから」
「いいえ、私は大丈夫っ!」

そういって、強引に写真のにんにくの切れ端を食べたのは、今月12日。六本木で開かれた、岩手県産食材の商談会の席でした。

「火の土にんにく」といって、岩手県住田町で栽培されている在来種なのです。
栽培しているのは、この町のにんにく農家佐藤道太さん。

この町で受け継がれてきたけれど、生産性が低くて消滅しかかっている在来種。地元のおばあちゃんがとっていた、「最後の1キロ」を元に栽培しているのだそうです。

在来種って、「何が何でも生き残ってやる!」って意志を持っている。ばーちゃん→若者という経緯で生き残る話も、このごろよく耳にします。

にんにくの在来種って珍しい。
そういえば、山形の最上に「赤にんにく」があったっけ。
東北には在来のにんにくがまだあるのかもしれない……

「中国産や青森産より、マイルドな辛味が特徴です」
「だったら、食べても大丈夫なはず。喰わせろー!」
とかいって、いただいたのでした。なるほど。
生でもちゃんと食べられるじゃん(笑)。

ここ2~3日、訳のわからぬ頭痛に悩まされ、寝たり起きたりしていたのですが、
昨日は、なぜかダンナが朝から豚足を煮ていました(うちは全員でご飯食べられるのが朝だけなので、一番ゴージャスなのです)。
醤油に生のおろしにんにく入れたのに漬けて食べると美味いんだよな。
あ、胃の弱い人は真似しないで下さい。

なぜかおろしにんにくばかり食べてしまう。
すると脳みそがだんだんスッキリぃぃぃ♪
「頭痛薬飲んでも治らなかったのに、にんにくって強いんだな。スゴい」
人にもよると思うけど、薬に近いパワーを持っています。
ちなみにそれは青森産でした。

思えば子どもの頃、父がよく生にんにくに味噌を漬けてガリガリ食べていた。
横で見ていた私にも、「これ喰うど、悪い虫つかねんだ」って食べさせていたのです。
素直な良い子だった「かやのちゃん」は、「そーなんだ」ってガリガリ。

小1なのに、にんにく臭ぷんぷんで、学校行ったもんで、
「かやのちゃん、にんにく食べるなら、土曜日にしなさいね」って、担任の先生にたしなめられたことは、今も忘れない。

おかけでずーっと「悪い虫」どころか、「いい虫」もつかなくて、苦労したけど、
胃が丈夫になったのは、たしかです。

酒のツマミを女児にどんどん喰わせていた、父の「食育」。
いいんだか、悪いんだかよくわからないけど、
おかげで私は、「にんにくで頭痛を治すオンナ」になってしまいました。