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コレシストキニンは満腹中枢を刺激し食欲を抑制する働きがあるホルモンです。主に消化に時間がかかる脂肪やタンパク質を食べた時に小腸から分泌されます。コレシストキニンは膵酵素や胆汁の分泌を刺激して脂肪やタンパク質の消化を促しながら、消化能力を超えた量の食べ物が一気に胃から十二指腸に送り込まれないようにするために、胃排出(胃から十二指腸へ食べ物を排出する事)のスピードを遅くする働きもあります。
もし消化力が悪いために未消化の食べ物が腸内に小腸に長く留まっていると、コレシストキニンの分泌も続きます。その間は満腹中枢が刺激され、胃排出も抑制されたままになるので、食欲が無くなったり胃もたれをおこします。またコレシストキニンには噴門(胃の入り口)を開く作用もあるので、胃食道逆流症(GERD)の原因にもなります。プロテインを飲むと胃が苦しくなるから飲みたくないという訴えをよく聞きますが、恐らくこれもコレシストキニンの働きによるものでしょう。
コレシストキニンによる食欲抑制を解除するには膵酵素や胆汁の分泌を良くします。特に胆汁の分泌を良くするアプローチがポイントになります。私の場合はARテストでしっかり調べてから必要なサプリメントをアドバイスしています。自己流でサプリメントを飲む事はお勧めしていません。
胆汁の分泌が悪い人のサイン
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起立性調節障害の実態はおそらく副腎疲労でしょう。なので当院における起立性調節障害のアプローチは副腎疲労症候群とほぼ同じです。しかし起立性調節障害と診断されて当院にくる子供は特に低体重と貧血が目立ちます。身長と体重から算出するBMI指数では18.5未満で「痩せ」という判定になりますが、起立性調節障害の子供は17未満の「痩せ気味」や16未満の「痩せすぎ」の子も珍しくありません。起立性調節障害における疲労感は、エネルギーの消耗を防いで今以上に痩せないようにするための防御反応であると考えられます。
起立性調節障害ではちゃんと食べて標準体重に近づける必要があります。しかし多くの場合、食欲が無く食べられない、あるいは食欲はあるけど食べると胃腸が苦しいといった問題があります。また貧血の子供に何の準備もなくいきなり鉄剤を補給すると体調は悪化する事もあります。最初にやるべき事は、食欲が無い原因や食べると胃腸が苦しくなる原因にちゃんとアプローチする事が必要です。
食欲不振や食べると気持ち悪い原因には脳内のヒスタミンによる満腹中枢や嘔吐中枢の刺激や、ストレスや炎症による機能性ディスペプシアがあります。鉄を摂取していても鉄不足になる原因は活性酸素、それからカンジダや細菌などがあります。
栄養療法
メチル化が不十分な状態(低メチル化)ではヒスタミンの分解が低下するため過剰なヒスタミンによって満腹中枢や嘔吐中枢が刺激され食欲が低下します。また、低メチル化ではシナプス間隙のセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質が減少するため不安が強くなったりやる気が起きなくなります。メチル化でよく使うサプリメントはメチオニン、SAMe、亜鉛、メチルコバラミン、メチル葉酸、P5Pなどです。
しかしメチル化にいきなりアプローチしても成功しません。栄養療法においては基本的な事からスタートします。具体的には、水分と電解質の補給(細胞の健全な働きに必須)、酸化ストレス対策、解毒、細胞膜の修復、ミトコンドリアの活性化、リーキーガット、腸内細菌など腸内環境の改善、消化を良くする(胃酸・消化酵素・胆汁などの分泌)など。鉄が不足している人には酸化ストレスを減らしたり腸内環境を整えてから補給を開始します。
心理療法
親が子供の事でイライラしやすかったり、子供の事を憂いて落ち込んだり、受験や定期テストなどで「今さえ乗り切れってくれれば・・・」と期待していると子供の起立性調節障害は悪化します。子供は親から落ち着かせてもらうという体験を繰り返す事によって自分で自分を落ち着かせる事ができるようになります。しかし親の自律神経が落ち着いていなければ我が子を落ち着かせる事はできないでしょう。その場合は親もセラピーを受けて自律神経を落ち着かせる必要があります。
子供の心理療法でまず取り組むべき事は、ストレスのない状態ではしっかり落ち着いている状態を目指すセラピーです。それができてから身体志向のトラウマセラピーを開始します(考え方や感情にアプローチする従来の心理療法だけではあまり効果がない)。トラウマセラピーは回数をかなりかけて非常にゆっくり取り組む必要があります。短期間でやろうとすればするほど逆効果です。スロー・イズ・ファスト(ゆっくりやるのが早い)が大切だという事を親子でしっかり理解しておく事が大切です。
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クレアチンはGAMT(グアニジノ酢酸メチル基転移酵素)というメチル化酵素によって合成されます。クレアチンはATPとともに細胞のエネルギー源となるクレアチンリン酸の構成成分です。
クレアチンは特に筋肉に多く存在し、激しい運動をするアスリートなどは筋肉中のクレアチンが不足気味になるので、クレアチンのサプリメントの主な愛用者はアスリートです。ちなみに私も筋トレをゴールドジムで週5~6日やっているのでクレアチンを飲んでいます。
しかし、クレアチンはアスリートだけでなく、一般の方でも大きなメリットがあるサプリメントなのです。
例えばクレアチンは脳機能改善にも大きな効果があり、脳内のクレアチン量が増える事によって精神的ストレスや睡眠不足に強くなったり認知機能が向上します。
メチル化の仕事の70~80%はクレアチンの合成とホスファチジルコリンの合成です。つまりクレアチンは、健全な細胞の営みのために非常に重要な物質なのです。低メチル化の人はクレアチンとホスファチジルコリンのサプリメントを摂取する事で、メチル化の仕事の70~80%を減らす事ができ、そのぶん他の事にメチル基を使う事ができるようになります。
クレアチンのサプリはクレアチンモノハイドレードというタイプが安くて一般的ですが、鼓腸や下痢などの症状が出やすい人はクレアルカリンというタイプをおすすしています。
ただし、サプリメントマニアの人にとても多いのですが、ネットで仕入れた情報で心惹かれるサプリメントを専門家のアドバイスなしに追加するのはおすすめしません。私の場合はちゃんとARテストでは検査してからアドバイスしています。
メチル化に必要な事は、食事中のタンパク質から取り入れたメチオニンが、メチオニン→SAMe→SAH→ホモシステイン→メチオニンと代謝しながらサイクルしていく事です。このサイクルの事をメチル化サイクル(メチレーションサイクル)といいます。メチル化とは、このサイクルの途中にあるSAMeに含まれるメチル基を使った化学反応です。このサイクルが滞るとメチル化も停滞してしまいます。
このメチル化サイクルを順調に回転させるために必要な栄養素は以下の通りです。でも、これらのサプリメントを全部とればいいかというと違います。人によって必要なサプリメントは違ってきますので、私の場合はARテストでその人に必要なサプリメントを選んでいます。
メチル化サイクルを阻害するものとして以下のようなものがあります。
またメチオニンがSAMeに変化するためにはミトコンドリアが作り出すATPが必要なので、ミトコンドリアを活性化してATPを作り出すために以下のような栄養素が必要になります。ただし、ミトコンドリアを活性化させると活性酸素も増大するので先に活性酸素対策をしておく事が重要です。
メチル化に取り組む前に取り組むべき事は以下のような栄養療法の基本的な対策を先に完了しておくことです。これらの対策を先にしていないと、サプリが吸収されない、栄養素が細胞内に届かない、毒素や活性酸素などがメチル化サイクルを阻害するなどして効果がでません。
メチレーションをちょっとかじった程度の人がよくする間違いは、メチル化にいきなりアプローチする事です。例えば、MTHFRなどメチル化に関係の深い遺伝子に遺伝子多型があったら、すぐにメチル葉酸を摂取するなどです。そのようにすると失敗する可能性が高くなります。また栄養療法の基本的な事をするだけで遺伝子多型があったとしてもメチル化の問題がなくなる事もあります。
葉酸サプリは特に要注意のサプリメントです。
飲み始めて体調が悪化したと感じる人はそれほどいないかもしれませんが、実は自分が悪化したと体感できないだけで、実際は悪化している人もいるでしょう。
では、どんな人が葉酸で悪化するのでしょう?
それは細胞の状態が良くない人です。もっと具体的に言うと、炎症、活性酸素、毒素、細胞膜のダメージ、水分や電解質の不足、エネルギー不足などがある人です。
体調が悪い人はそのような状態ですので、いきなり葉酸を飲むのはやめたほうが良いと思います。まず他のサプリメントで細胞の状態を良くして体調の底上げをする必要があるでしょう。
では、どうして細胞の状態が良くない人が葉酸を摂取すると悪化するのでしょう?
葉酸は細胞分裂を促進させるのに最も重要な栄養素です。ですから、細胞の状態が良くない人が葉酸サプリを摂取すると、状態の悪い駄目な細胞が増えてしまうからです。
それが顕著な病気がリウマチです。ですから、リウマチに使われる薬は葉酸の代謝を阻害し細胞分裂を阻害します。そのようにして状態が悪い細胞が増加しないようにしているのです。
そして葉酸は細胞分裂だけでなくメチル化にも必須の栄養素です。
メチル化は細胞の状態を良くするためにも必要な化学反応です。ですから私達の身体は、葉酸を細胞分裂よりもメチル化のために優先的に使用しています。それは細胞分裂よりもメチル化が重要だからです。そして、メチル化にアプローチするという事は細胞分裂もある程度刺激する事になります。
ですから、順序として、水分と電解質の補給、酸化ストレス対策、解毒、細胞膜の修復、ミトコンドリアの活性化、リーキーガット、腸内細菌など腸内環境の改善、消化を良くする(胃酸・消化酵素・胆汁などの分泌)など、栄養療法の基本的な事を行って細胞の状態を良くしてからメチル化に取り組む必要があります。
それから、葉酸を摂取するなら、食事からの葉酸(食事性葉酸)か活性化型の葉酸(メチル葉酸やフォリン酸)からにすべきです。
非活性の合成葉酸(日本で一般的に推奨され販売されている葉酸サプリ)は、メチル化を抑制し細胞分裂は促しますので私は絶対におすすめしません。流行りでNow社のB50を飲んでいる人がいますが、やめたほうが良いでしょう。
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メチル化はセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の量に大きく影響します。
メチル化が不十分な状態である「低メチル化」と過剰な状態である「高メチル化」では、神経伝達物質の量が違うのです。
低メチル化タイプの人は、シナプス間隙(神経と神経の間の部分)に放出されたセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の再吸収が促進されます。そのためシナプス間隙の神経伝達物質が不足します。
※医師が処方するSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、その名の通りセロトニンの再吸収を阻害する事によってシナプス間隙のセロトニンを増加させます。(画像はウィキペディアより)
逆に高メチル化タイプの人は、神経伝達物質の再吸収が低下するため、シナプス間隙の神経伝達物質が過剰になります。このタイプの人は統合失調症や双極性障害の人に多いようです。
私の所には、精神疾患ではないけど不安やイライラが強い人や、人前で過剰に緊張する人や、やる気が出ない人など、多少なりともメンタルヘルスが低下している人が多く来院されます。そのような方々をARテストで検査すると低メチル化タイプが断然多いです。
メチル化の異常の原因には、栄養や遺伝が大きく関係していますが、ストレスも大きく関係しています。なぜなら、ストレスで発生したストレスホルモンはメチル化によって代謝・分解されるため、ストレスフルな状況ではメチル化の仕事量が増大し、メチル化に必要なメチル基を作り出す栄養素(メチオニン、葉酸、ビタミンB12など)が枯渇してしまうからです。またストレスによって発生した活性酸素がメチル化を抑制してしまいます。
またメチル化が担っている仕事にはエストロゲンの分解やヒスタミンの分解もありますから、エストロゲン過剰な女性やヒスタミンが過剰な人はメチル化の仕事量が増大するために、メチル基が枯渇しやすくなります。
対策としては、ストレスフルな状態でもメチル化に必要な栄養素が枯渇しないようにサプリメンテーションしながら、ストレスを減らしたり、トラウマセラピーによって自律神経を落ち着かせやすくする事が必要だと私は思います。
私の経験では、栄養素によるメチル化対策が不十分な状態でトラウマセラピーを行うのと、十分な状態でトラウマセラピーを行うのとでは効果がかなり違うように思います。
ただ、メチル化に取り組む前にやっておくべき重要な事があります。
それは以下の通りです。
これらの基本的な事を先にやらずにいきなりメチル化に取り組んでも効果はありません。
当院には難しい症状の方が多数来院されています。
そこで、はっきり言いますが、難しい症状ほど短期間で変化しません。症状によっては、少し変化を感じられるようになるまでに1年以上かかる場合もあるでしょう。ですから、難しい症状ほど焦らずゆっくり取り組む覚悟が必要です。
しかし残念ながら、回復を焦っている人ほど短期間で効果を判断して中止したり、治療院や治療法をコロコロ変える傾向があります。
私は、「1回目から効果を実感!」のような、短期間で良くなるかのような魅力的な謳い文句は使わないようにしています。逆に、難しい症状ほど「長くかかりますよ」とか「非常にゆっくりとしとしか変わりません」と説明し、焦っている気持ちをスローダウンさせるように導いています。
また、根拠なき自信で「もう大丈夫!きっと良くなります!」などと言う事もありませんし、自分をゴッドハンドのように演出する事もしないようにしています。なぜなら、難しい症状ほど魔法のような事はおきないからです。(暗示や洗脳のテクニックを使えば魔法のような事がおきるかもしれませんが、魔法はすぐに解けます)
もちろん、標準治療を否定して代替療法だけにゆっくり取り組むのは危険です。私も気になるようなら病院で診察・検査をしてもらうように勧めています。代替療法は医師による診察・検査・治療を不要にするものではない事を知ってください。
治りたい気持ちがなくては良くなりませんが、その気持ちが強すぎると焦りが出てきます。
そのような方に対して、すぐ良くなるかのようなセールストークは毒になります。焦っている人に対して必要なのは、まず"今ここ"を感じてしっかり落ち着くという事です。そして、私はそのようにクライアントを導いています。