症例と解説 | かわせカイロプラクティック -5ページ目

症例と解説 | かわせカイロプラクティック

症状に対する私なりの考え方や症例の解説などを書いています。

一般の方にとって血糖値の問題が判明するのは健康診断で高血糖になっている時です。そして通常、低血糖の事が問題にされるのは糖尿病で血糖値を下げる薬を使っている人でしょう。しかし実際は健康診断で血糖値に異常が無くても、ましてや糖尿病ではなくても、血糖値の異常があり、低血糖を起こしている謂わば「隠れ低血糖」の人がとても多い事がよく知られるようになってきました。
隠れ低血糖には、食後高血糖から食後低血糖に転じる反応性低血糖や、長時間何も食べない時(特に就寝中)に起こる空腹時低血糖があります。日中に低血糖になる人は食後の眠気やだるさを感じる事が多く、夜間低血糖の場合は朝起きられなかったり、熟睡できない事による日中の倦怠感やうつ症状がでる事が多いでしょう。恐らく起立性調節障害も夜間低血糖の症状だと思います。
低血糖から高血糖に急上昇する時のアドレナリンやノルアドレナリンの作用によって緊張やイライラなどの交感神経症状がでる事もあります。もしそれが夜間に起これば悪夢を見たり、食い縛り、寝汗をかいてうなされたり、起床時の頭痛などの症状が出ます。
食後低血糖の最大の原因はインスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性です。インスリン抵抗性を改善するには、慢性炎症、肥満/過食、運動不足/筋肉不足、腸内細菌異常/短鎖脂肪酸不足、酸化ストレスなどにアプローチします。その他、イノシトール、マグネシウム、カルシウム、ビタミンD3、Rリポ酸などはインスリン抵抗性改善効果があります。恐らくこの中で最も効果的なのは運動をして筋肉をつける事じゃないかなと私は思います。
糖尿病ではない人の空腹時低血糖の最大の原因は副腎疲労です。副腎疲労を改善するには、慢性的な低栄養状態、慢性炎症、ストレスなどに対してアプローチをする事が重要です。特に長時間何も食べなかったり摂取カロリーが不足している慢性的な低栄養を無くすことが最も重要でしょう。慢性的な低栄養の原因として食欲不振が関わっている事が多く、その原因として、機能性ディスペプシア、ヒスタミン、コレシストキニン、オルトレキシア、痩せ願望などがあります。このタイプの人が断食や厳しい糖質制限をすると悪化するでしょう。

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コレシストキニンは満腹中枢を刺激し食欲を抑制する働きがあるホルモンです。主に消化に時間がかかる脂肪やタンパク質を食べた時に小腸から分泌されます。コレシストキニンは膵酵素や胆汁の分泌を刺激して脂肪やタンパク質の消化を促しながら、消化能力を超えた量の食べ物が一気に胃から十二指腸に送り込まれないようにするために、胃排出(胃から十二指腸へ食べ物を排出する事)のスピードを遅くする働きもあります。

もし消化力が悪いために未消化の食べ物が腸内に小腸に長く留まっていると、コレシストキニンの分泌も続きます。その間は満腹中枢が刺激され、胃排出も抑制されたままになるので、食欲が無くなったり胃もたれをおこします。またコレシストキニンには噴門(胃の入り口)を開く作用もあるので、胃食道逆流症(GERD)の原因にもなります。プロテインを飲むと胃が苦しくなるから飲みたくないという訴えをよく聞きますが、恐らくこれもコレシストキニンの働きによるものでしょう。

コレシストキニンによる食欲抑制を解除するには膵酵素や胆汁の分泌を良くします。特に胆汁の分泌を良くするアプローチがポイントになります。私の場合はARテストでしっかり調べてから必要なサプリメントをアドバイスしています。自己流でサプリメントを飲む事はお勧めしていません。

胆汁の分泌が悪い人のサイン

  • 胆汁にはコレストロールの排泄作用があるため、胆汁の分泌が悪いと痩せているのにLDLコレステロール値が高くなる事があります。
  • 胆汁には便を柔らかくしたり腸の蠕動運動を高めて便通を良くする働きがあるため、胆汁の分泌が悪いと便秘になる事があります。
  • 胆汁には小腸や胆管での殺菌作用があるので、胆汁の分泌が悪いとSIBO(小腸内細菌増殖症)になる事があります。SIBOになると小腸で発生した大量のガスによりお腹が苦しくなります。
  • 胆汁にはビリルビンという色素が含まれているため、胆汁の分泌が良いと便の色は黄みを帯びた茶色になります。しかし胆汁の分泌が悪いとこのような健康的な色にはなりません。
  • 胆汁の分泌が悪いと脂肪を吸収できないため水に浮く脂肪便となる事があります。また脂肪便のために便臭がする事があります。
  • 胆汁の分泌が悪いと血清ビリルビン値が増加し、ビリルビンの末梢神経刺激作用により強いかゆみを生じる場合があります。
  • 胆汁の分泌が悪く「うっ滞」した状態が続くと肝臓が悪くなります。

 

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一般的には「食事を充実させればサプリメントは必要ない」とされています。ですからサプリメントをたくさん飲んでいる人は家族や友人から心配されたり忠告されたりする事もあるでしょう。また必要なサプリメントが多い人は、一時的ならいいけどずっと飲み続けるのは嫌だと思う人もいるでしょう。
 
必要なサプリメントが多い人は、食事が充実していなかったり、遺伝的に不足する栄養素が多かったり、ストレスに弱い人です。ですから、食事を充実させたり、ストレスを減らすか心理療法でストレス耐性をあげたりすると必要なサプリメントは減ります。しかし、遺伝的な問題をカバーするサプリメントや老化をカバーするものは使い続ける事をおすすめしています。
 
問題が解決すれば減らせるサプリメント →(1)~(3)
使い続ける事をおすすめしたいサプリメント →(4)~(8)
 
(1)食事から十分に摂取可能だが不足しがちな栄養素
 例:マグネシウム、葉酸、コリン、イヌリン、タンパク質など
 食事を充実させればいつでも不要になる
 
(2)ストレスによって枯渇しやすいもの
 例:ビタミンC、メチオニン、メチル葉酸、マグネシウム、亜鉛、NAC、グルタミン、ベタインHCL(胃酸の代わり)
 ストレスが無くなるか、心理療法によってストレス耐性がつくまで続ける。ストレスが強い日だけ摂取しても良い。
 
(3)期間限定で使うべきもの
 例:除菌するためのハーブサプリメント類、鉄
 これらは飲み続けると良くないので、必要が無くなったら中止する。
 
(4)更年期や老化などの問題を補うもの
 例:ビタミンD3、ビタミンK2、NAC、CoQ10
 
(5)遺伝的な問題をカバーするための栄養素
 例:亜鉛、ビタミンB6、メチル葉酸、NAC、ホスファチジルコリン
 
(6)飲まなくても良いがパフォーマンスを上げるために役に立つもの
 例:BCAA、クレアチン、グルタミン
 スポーツ選手などは積極的に使う必要がある
 
(7)病気のために不足するもの
 例:胃の切除:メチルコバラミン
 例:コレステロールを抑える薬を使っている人:コエンザイムQ10、ビタミンD3
 
(8)ベジタリアン、ビーガンに不足しやすい栄養素
 例:ビタミンB12、コリン、メチオニン
 

起立性調節障害の実態はおそらく副腎疲労でしょう。なので当院における起立性調節障害のアプローチは副腎疲労症候群とほぼ同じです。しかし起立性調節障害と診断されて当院にくる子供は特に低体重と貧血が目立ちます。身長と体重から算出するBMI指数では18.5未満で「痩せ」という判定になりますが、起立性調節障害の子供は17未満の「痩せ気味」や16未満の「痩せすぎ」の子も珍しくありません。起立性調節障害における疲労感は、エネルギーの消耗を防いで今以上に痩せないようにするための防御反応であると考えられます。

起立性調節障害ではちゃんと食べて標準体重に近づける必要があります。しかし多くの場合、食欲が無く食べられない、あるいは食欲はあるけど食べると胃腸が苦しいといった問題があります。また貧血の子供に何の準備もなくいきなり鉄剤を補給すると体調は悪化する事もあります。最初にやるべき事は、食欲が無い原因や食べると胃腸が苦しくなる原因にちゃんとアプローチする事が必要です。

食欲不振や食べると気持ち悪い原因には脳内のヒスタミンによる満腹中枢や嘔吐中枢の刺激や、ストレスや炎症による機能性ディスペプシアがあります。鉄を摂取していても鉄不足になる原因は活性酸素、それからカンジダや細菌などがあります。

栄養療法

メチル化が不十分な状態(低メチル化)ではヒスタミンの分解が低下するため過剰なヒスタミンによって満腹中枢や嘔吐中枢が刺激され食欲が低下します。また、低メチル化ではシナプス間隙のセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質が減少するため不安が強くなったりやる気が起きなくなります。メチル化でよく使うサプリメントはメチオニン、SAMe、亜鉛、メチルコバラミン、メチル葉酸、P5Pなどです。

しかしメチル化にいきなりアプローチしても成功しません。栄養療法においては基本的な事からスタートします。具体的には、水分と電解質の補給(細胞の健全な働きに必須)、酸化ストレス対策、解毒、細胞膜の修復、ミトコンドリアの活性化、リーキーガット、腸内細菌など腸内環境の改善、消化を良くする(胃酸・消化酵素・胆汁などの分泌)など。鉄が不足している人には酸化ストレスを減らしたり腸内環境を整えてから補給を開始します。

心理療法

親が子供の事でイライラしやすかったり、子供の事を憂いて落ち込んだり、受験や定期テストなどで「今さえ乗り切れってくれれば・・・」と期待していると子供の起立性調節障害は悪化します。子供は親から落ち着かせてもらうという体験を繰り返す事によって自分で自分を落ち着かせる事ができるようになります。しかし親の自律神経が落ち着いていなければ我が子を落ち着かせる事はできないでしょう。その場合は親もセラピーを受けて自律神経を落ち着かせる必要があります。

子供の心理療法でまず取り組むべき事は、ストレスのない状態ではしっかり落ち着いている状態を目指すセラピーです。それができてから身体志向のトラウマセラピーを開始します(考え方や感情にアプローチする従来の心理療法だけではあまり効果がない)。トラウマセラピーは回数をかなりかけて非常にゆっくり取り組む必要があります。短期間でやろうとすればするほど逆効果です。スロー・イズ・ファスト(ゆっくりやるのが早い)が大切だという事を親子でしっかり理解しておく事が大切です。

 

こちらのページで起立性調節障害について詳しく解説しています

 

 

ストレスホルモンであるコルチゾールの働きには①抗ストレス作用、②抗炎症、③免疫抑制、④血糖上昇作用があります。なので、副腎疲労とは、ストレス、炎症、免疫異常、低血糖などが長期間続いた結果起こる症状です。
 
よって副腎疲労の解決方法として、①ストレスケア(仕事などのストレスを減らす、休養を増やす、睡眠時間の確保、心理療法でストレス耐性を上げる)、②炎症対策、③免疫系(主に腸管免疫)へのアプローチ、④血糖値の安定化などがあります。この中でもストレスケアが最も重要かもしれません。
 
■栄養療法
 
栄養療法においては基本的な事からスタートすべきです。具体的には、水分と電解質の補給(細胞の健全な働きに必須です)、酸化ストレス対策、解毒、細胞膜の修復、ミトコンドリアの活性化、リーキーガット、腸内細菌など腸内環境の改善、消化を良くする(胃酸・消化酵素・胆汁などの分泌)など。ビタミンC、パントテン酸、亜鉛の3つは、副腎疲労に効くとして良く知られていますが、これらは栄養療法の基本的な事をする過程でよく出てくる栄養素でです。
 
副腎疲労の人が絶対にやってはいけない事は、断食、糖質制限、摂取カロリー不足。これらは低エネルギーとなり副腎の負担が増大します。炎症や免疫異常の原因として活性酸素、リーキーガット(腸漏れ)、腸内細菌異常、病巣感染(おもに副鼻腔、顎骨、口蓋扁桃)、肥満などがあります。副腎疲労の人は、水分と電解質(塩分、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど)が不足しやすいので注意しましょう。水分と電解質は何よりも優先して取り組まなければならない課題です。
 
■休養 / ストレス低減
 
これが副腎疲労の人にもっとも重要かもしれません。大きなストレスがかかっている人の場合、真っ先に取り組むべき事は、ストレスを減らし、休養する時間と安心・安全を確保する事です。例えば、仕事が忙しすぎる、介護疲れ、育児疲れ、パワハラなど、あまりにも大きすぎるストレスが降り掛かっている場合は、休職する、退職する、職場の移動をお願いする、他の人に介護や育児を頼むなど。これらをせずに副腎疲労を解決しようとしてもまず成功しないでしょう。
 
■ストレス耐性を上げるための心理療法
 
まず取り組むべき事は、ストレスのない状態ではしっかり落ち着いている状態を目指すセラピーです。それができてから身体志向のトラウマセラピーを開始します。(考え方や感情にアプローチする従来の心理療法はあまり効果がないでしょう)。トラウマセラピーは回数をかなりかけて非常にゆっくり取り組む必要があります。短期間でやろうとすればするほど逆効果になります。スロー・イズ・ファスト(ゆっくりやるのが早い)が大切だという事をしっかり理解し下さい。
 
かわせカイロプラクティック

クレアチンはGAMT(グアニジノ酢酸メチル基転移酵素)というメチル化酵素によって合成されます。クレアチンはATPとともに細胞のエネルギー源となるクレアチンリン酸の構成成分です。

クレアチンは特に筋肉に多く存在し、激しい運動をするアスリートなどは筋肉中のクレアチンが不足気味になるので、クレアチンのサプリメントの主な愛用者はアスリートです。ちなみに私も筋トレをゴールドジムで週5~6日やっているのでクレアチンを飲んでいます。

しかし、クレアチンはアスリートだけでなく、一般の方でも大きなメリットがあるサプリメントなのです。

例えばクレアチンは脳機能改善にも大きな効果があり、脳内のクレアチン量が増える事によって精神的ストレスや睡眠不足に強くなったり認知機能が向上します。

メチル化の仕事の70~80%はクレアチンの合成とホスファチジルコリンの合成です。つまりクレアチンは、健全な細胞の営みのために非常に重要な物質なのです。低メチル化の人はクレアチンとホスファチジルコリンのサプリメントを摂取する事で、メチル化の仕事の70~80%を減らす事ができ、そのぶん他の事にメチル基を使う事ができるようになります。

クレアチンのサプリはクレアチンモノハイドレードというタイプが安くて一般的ですが、鼓腸や下痢などの症状が出やすい人はクレアルカリンというタイプをおすすしています。

ただし、サプリメントマニアの人にとても多いのですが、ネットで仕入れた情報で心惹かれるサプリメントを専門家のアドバイスなしに追加するのはおすすめしません。私の場合はちゃんとARテストでは検査してからアドバイスしています。

メチル化に必要な事は、食事中のタンパク質から取り入れたメチオニンが、メチオニン→SAMe→SAH→ホモシステイン→メチオニンと代謝しながらサイクルしていく事です。このサイクルの事をメチル化サイクル(メチレーションサイクル)といいます。メチル化とは、このサイクルの途中にあるSAMeに含まれるメチル基を使った化学反応です。このサイクルが滞るとメチル化も停滞してしまいます。


このメチル化サイクルを順調に回転させるために必要な栄養素は以下の通りです。でも、これらのサプリメントを全部とればいいかというと違います。人によって必要なサプリメントは違ってきますので、私の場合はARテストでその人に必要なサプリメントを選んでいます。

  • メチオニン
  • 亜鉛
  • ビタミンB12またはメチルコバラミン
  • 食事性の葉酸またはメチルコバラミン
  • ベタイン(=トリメチルグリシン)
  • ビタミンB6


メチル化サイクルを阻害するものとして以下のようなものがあります。

  • 活性酸素→対策として心理療法、NAC、亜鉛、銅、マンガンなど
  • 炎症→対策としてクルクミン、腸粘膜の修復、オメガ3など
  • 鉛と水銀→対策として解毒が必要
  • アセトアルデヒド(飲酒やカンジダからの代謝物)→対策としてカンジダの除菌、飲酒の制限
  • メチオニンの取りすぎ(少なくても駄目ですが過剰な高タンパクも駄目です)


またメチオニンがSAMeに変化するためにはミトコンドリアが作り出すATPが必要なので、ミトコンドリアを活性化してATPを作り出すために以下のような栄養素が必要になります。ただし、ミトコンドリアを活性化させると活性酸素も増大するので先に活性酸素対策をしておく事が重要です。

  • ビタミンB郡
  • マグネシウム
  • コエンザイムQ10


メチル化に取り組む前に取り組むべき事は以下のような栄養療法の基本的な対策を先に完了しておくことです。これらの対策を先にしていないと、サプリが吸収されない、栄養素が細胞内に届かない、毒素や活性酸素などがメチル化サイクルを阻害するなどして効果がでません。

  • 水分と電解質の補給(細胞の健全な働きに必須です)
  • 酸化ストレス対策
  • 解毒
  • 細胞膜の修復
  • ミトコンドリアの活性化
  • リーキーガット、腸内細菌など腸内環境の改善
  • 消化を良くする(胃酸・消化酵素・胆汁などの分泌)


メチレーションをちょっとかじった程度の人がよくする間違いは、メチル化にいきなりアプローチする事です。例えば、MTHFRなどメチル化に関係の深い遺伝子に遺伝子多型があったら、すぐにメチル葉酸を摂取するなどです。そのようにすると失敗する可能性が高くなります。また栄養療法の基本的な事をするだけで遺伝子多型があったとしてもメチル化の問題がなくなる事もあります。

葉酸サプリは特に要注意のサプリメントです。

飲み始めて体調が悪化したと感じる人はそれほどいないかもしれませんが、実は自分が悪化したと体感できないだけで、実際は悪化している人もいるでしょう。

では、どんな人が葉酸で悪化するのでしょう?

それは細胞の状態が良くない人です。もっと具体的に言うと、炎症、活性酸素、毒素、細胞膜のダメージ、水分や電解質の不足、エネルギー不足などがある人です。

体調が悪い人はそのような状態ですので、いきなり葉酸を飲むのはやめたほうが良いと思います。まず他のサプリメントで細胞の状態を良くして体調の底上げをする必要があるでしょう。

では、どうして細胞の状態が良くない人が葉酸を摂取すると悪化するのでしょう?

葉酸は細胞分裂を促進させるのに最も重要な栄養素です。ですから、細胞の状態が良くない人が葉酸サプリを摂取すると、状態の悪い駄目な細胞が増えてしまうからです。

それが顕著な病気がリウマチです。ですから、リウマチに使われる薬は葉酸の代謝を阻害し細胞分裂を阻害します。そのようにして状態が悪い細胞が増加しないようにしているのです。

そして葉酸は細胞分裂だけでなくメチル化にも必須の栄養素です。

メチル化は細胞の状態を良くするためにも必要な化学反応です。ですから私達の身体は、葉酸を細胞分裂よりもメチル化のために優先的に使用しています。それは細胞分裂よりもメチル化が重要だからです。そして、メチル化にアプローチするという事は細胞分裂もある程度刺激する事になります。

ですから、順序として、水分と電解質の補給、酸化ストレス対策、解毒、細胞膜の修復、ミトコンドリアの活性化、リーキーガット、腸内細菌など腸内環境の改善、消化を良くする(胃酸・消化酵素・胆汁などの分泌)など、栄養療法の基本的な事を行って細胞の状態を良くしてからメチル化に取り組む必要があります。

それから、葉酸を摂取するなら、食事からの葉酸(食事性葉酸)か活性化型の葉酸(メチル葉酸やフォリン酸)からにすべきです。

非活性の合成葉酸(日本で一般的に推奨され販売されている葉酸サプリ)は、メチル化を抑制し細胞分裂は促しますので私は絶対におすすめしません。流行りでNow社のB50を飲んでいる人がいますが、やめたほうが良いでしょう。

 

当院のホームページです

 

メチル化はセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の量に大きく影響します。

メチル化が不十分な状態である「低メチル化」と過剰な状態である「高メチル化」では、神経伝達物質の量が違うのです。

低メチル化タイプの人は、シナプス間隙(神経と神経の間の部分)に放出されたセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の再吸収が促進されます。そのためシナプス間隙の神経伝達物質が不足します。

 


※医師が処方するSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、その名の通りセロトニンの再吸収を阻害する事によってシナプス間隙のセロトニンを増加させます。(画像はウィキペディアより)

逆に高メチル化タイプの人は、神経伝達物質の再吸収が低下するため、シナプス間隙の神経伝達物質が過剰になります。このタイプの人は統合失調症や双極性障害の人に多いようです。

私の所には、精神疾患ではないけど不安やイライラが強い人や、人前で過剰に緊張する人や、やる気が出ない人など、多少なりともメンタルヘルスが低下している人が多く来院されます。そのような方々をARテストで検査すると低メチル化タイプが断然多いです。

メチル化の異常の原因には、栄養や遺伝が大きく関係していますが、ストレスも大きく関係しています。なぜなら、ストレスで発生したストレスホルモンはメチル化によって代謝・分解されるため、ストレスフルな状況ではメチル化の仕事量が増大し、メチル化に必要なメチル基を作り出す栄養素(メチオニン、葉酸、ビタミンB12など)が枯渇してしまうからです。またストレスによって発生した活性酸素がメチル化を抑制してしまいます。

またメチル化が担っている仕事にはエストロゲンの分解やヒスタミンの分解もありますから、エストロゲン過剰な女性やヒスタミンが過剰な人はメチル化の仕事量が増大するために、メチル基が枯渇しやすくなります。

対策としては、ストレスフルな状態でもメチル化に必要な栄養素が枯渇しないようにサプリメンテーションしながら、ストレスを減らしたり、トラウマセラピーによって自律神経を落ち着かせやすくする事が必要だと私は思います。

私の経験では、栄養素によるメチル化対策が不十分な状態でトラウマセラピーを行うのと、十分な状態でトラウマセラピーを行うのとでは効果がかなり違うように思います。

ただ、メチル化に取り組む前にやっておくべき重要な事があります。
それは以下の通りです。

  • 水分と電解質の補給(細胞の健全な働きに必須です)
  • 酸化ストレス対策
  • 解毒
  • 細胞膜の修復
  • ミトコンドリアの活性化
  • リーキーガット、腸内細菌など腸内環境の改善
  • 消化を良くする(胃酸・消化酵素・胆汁などの分泌)

これらの基本的な事を先にやらずにいきなりメチル化に取り組んでも効果はありません。

当院には難しい症状の方が多数来院されています。

そこで、はっきり言いますが、難しい症状ほど短期間で変化しません。症状によっては、少し変化を感じられるようになるまでに1年以上かかる場合もあるでしょう。ですから、難しい症状ほど焦らずゆっくり取り組む覚悟が必要です。

しかし残念ながら、回復を焦っている人ほど短期間で効果を判断して中止したり、治療院や治療法をコロコロ変える傾向があります。

私は、「1回目から効果を実感!」のような、短期間で良くなるかのような魅力的な謳い文句は使わないようにしています。逆に、難しい症状ほど「長くかかりますよ」とか「非常にゆっくりとしとしか変わりません」と説明し、焦っている気持ちをスローダウンさせるように導いています。

また、根拠なき自信で「もう大丈夫!きっと良くなります!」などと言う事もありませんし、自分をゴッドハンドのように演出する事もしないようにしています。なぜなら、難しい症状ほど魔法のような事はおきないからです。(暗示や洗脳のテクニックを使えば魔法のような事がおきるかもしれませんが、魔法はすぐに解けます)

もちろん、標準治療を否定して代替療法だけにゆっくり取り組むのは危険です。私も気になるようなら病院で診察・検査をしてもらうように勧めています。代替療法は医師による診察・検査・治療を不要にするものではない事を知ってください。

治りたい気持ちがなくては良くなりませんが、その気持ちが強すぎると焦りが出てきます。
そのような方に対して、すぐ良くなるかのようなセールストークは毒になります。焦っている人に対して必要なのは、まず"今ここ"を感じてしっかり落ち着くという事です。そして、私はそのようにクライアントを導いています。