厚生労働省「三菱自動車のアスベスト死亡事件・東京地検訴訟」記者会見のときは、
広告利権のないはずのNHKも、記者クラブの幹事会社のくせに、当日逃亡した。

1年前に僕が原告で、父の労災死亡の三菱自動車側の企業責任を問う提訴をしたときの話だ。






●「"事なかれ主義"は今も顕在!?」
隠ぺいの"家元"三菱自動車が#アスベスト被害者遺族に口止め料か

http://www.cyzo.com/2011/12/post_9245.html
(最初に本件を取材報道したのは、サイト版の「サイゾー」だった。
スクープ狙いで先行していた「週刊朝日」は311もあったのか、途中で降りた)


この自動車業界のアスベスト疑惑報道では、記者会見に参加したリベラル系の有名記者の属する毎日新聞、東京新聞、北海道新聞も、結果としては報道できなかったので、NHKだけを責める気はないが、日本の大手マスコミが、いかに閉鎖的な構造になっているか、よくわかる。






特に、05年の「クボタショック」スクープ報道で、世間に忘れられていたアスベスト問題を再び注目させ、自身も新聞協会賞を受賞した毎日新聞の某編集委員(岩波新書「アスベスト」の著者)とは、インタビューも受け、詳細資料も渡していたが、今に至るまで、動きがない。


さすがの彼も「自動車とアスベスト」について、深く報道できるだけの資料が集まらないのだろう。と言いたいところだが、実は違う。911、311報道でも露見しているが、かれら記者クラブに拘束されるある種の「御用記者」は、ネタは常に仕入れているが、それを報道するかどうかは、かなり自分たちの「商売」と政治判断に頼る傾向があることが知られている。


とくに、毎日新聞ほどのマスコミになれば、三菱グループと自動車業界の広告の全体の中で占める割合は巨額であろうし、サラリーマン記者である以上、報道後の「制裁」がその後どう新聞社と人事的に関係者に及ぶかは、組織人ならば察しはつくだろう。






・せっかく過去の「隠ぺい企業」イメージも薄れ、グリーンなエコカー路線に切り替えよう
している矢先に、

「アスベスト自動車」という、
「苦悶に満ちた死者」をつくりだす「死神自動車」のイメージ


を印象付けられては、三菱自動車だけでなく、数千億円を投入し救済し、やっと2兆円規模まで回復したグループ全体としてはたまったものではないだろう。



毎日新聞の名誉のためにいうと、新聞系の簡単なインタビューは、朝日新聞、共同通信、読売新聞、産経新聞、日経新聞からも受けているので、なんらかの「報道見合わせ」は記者クラブ系産官学利権マスコミの特性なのかもしれない。


ちなみに、NHKはいわゆる国営放送局だが、報道面を担当する子会社NHKエンタープライズ社の大株主に、あの世界最大規模の広告代理店電通が収まっっている。

(大手代理店が扱ってる自動車産業、グループ企業の巨額の宣伝費用のなかには、311の事故直後の新聞各社報道の「首都圏電源ストップか?」騒動でも露見した、大掛かりなクライアント対策コストも含まれているのは、この業界の常識だろう。)


マスメディアの言論の自由度ランキングでは、
日本は2014年度59位!
何と先進国のなかでは、最下位!

次の60位がアフリカのモーリタニア(エボラが蔓延した国)という有様なのだ。

(*裁判中、読売は事実報道をしたという話もきいたが、確認はできていない)




特集を組んだ「選択」は書店売りをしていない
 タブーのあるマスコミに批判的な、3万人読者会員制のオピニオンマガジンだ。




「三菱重工、国内自動車業界で初のアスベスト被害への関与を認め、遺族に謝罪、補償金支払いに応じる。後継の三菱自動車も東京地裁の和解勧告に応じて、加害者責任は否認するも、遺族に解決金を支払う」


本来なら、こういうスクープニュースになるだけのバリューはあるのだが、未だ大手マスコミの報道はない。日本のジャーナリズムなど、この程度なのだ・・・w


今回の紛争は、将来、自動車業界とアスベストの関係を知るうえで、あるいは、石綿被害の訴訟が起こるたびに、被害者、遺族、司法、行政、自動車業界にとって、補償金額を決定する場合に無視できない重要な参考事例となるだろう。


なぜなら、すでに
三菱で11名死亡、自動車業界全体では100名以上がアスベストで労災死亡認定がでているからだ。否認されている人、労災手続きを知らない人を含めると、その3倍は犠牲者がいるといわれている。


このブログの読者に、アスベスト事故の労災認定を受けた被害者、遺族の関係者がいたなら、是非伝えていただきたいことがある。

それは、最初に「サイゾー」が報じたように(すでに和解してるので、詳細は自分からは語れないが)、父死亡後、4ヶ月後の2011年3月、三菱自動車の前身の三菱重工(親会社)が早々に「企業責任を認め、補償金を支払いした」という事実だ。


実は、三菱自工との裁判前に、父が入社し自工が重工から分離独立するまでの就業期間中においては、

「自動車業界初のアスベスト死亡の企業責任を認める」「謝罪」と和解手続きが、遺族代表である僕と三菱重工本社との間で成立していたのだ。



つまり、自動車業界において、すでにアスベストの加害責任は三菱重工が認め、遺族に謝罪をしている。さらに詳細は言えないが、相当額の「補償金」を僕は頂いているので、今後、100名を超える同様の被害者、遺族は、労災に続いて「企業責任」を追及し「謝罪」と「補償金」を要望すれば、すでにナショナルメーカーの三菱において、前例が誕生しているのである。


なので、もしこれから自動車産業を訴訟して補償金、和解金を要望したいと思う関係者がいたならば、僕はいつでも企業交渉に支援協力できることをお伝えしておきたい。

後でも触れますが、特に、三菱自動車の11名の犠牲者の関係者の方は、是非連絡をしてください。









●話を戻そう。
311直後の混乱期に、双方早めに解決しようということで、三菱の長崎造船などで、「すでに90名規模の石綿被害者救済に応じて、社内制度を持っていた」ので、素早く重工が対応したとたん、三菱自工からは、手のひらを返したかのように、和解提案がでてきた。


しかし、三菱自動車側は、親会社の重工がすでに「企業責任」を認めていたのに、
ことさら「死亡事件の存在そのものに触れないで欲しいので、過去のブログなどを消去して欲しい」という要望を出し、当然のように「企業責任は否認する」
という条件で和解金を提示してきたのだ。


その条件のなかには、ここの「午後と紅茶の陰謀論」(当時)などの過去ブログの消去対応要請が含まれており、事実上の「事件存在の証拠隠滅」をめぐり先方の弁護士側と、出版人である僕は対立していたのだ。



「リーガルハイ」じゃないが、この訴訟は、和解提示後の訴訟だったので、事実上勝てる案件だったので、僕は、弁護士を立てないで、直接自分で訴訟手続きを進め、当初は簡易裁判所で済ませるつもりだった。調整が面倒で、三菱側弁護士の格下になり、足をひっぱりそうな弁護士は使っていない。(というか、実は5名ほど当たったが、石綿公害裁判経験者も含め、さすがに三菱とやりたがる人はなかなかいないのだ)






小さいながら、出版事業をしていると、なにかと訴訟案件はついて回るので、法務の事務手続きだけのために裁判所に顔をだし、落としどころを巡って、本来数日で解決する案件が、1年以上も引き伸ばされる日本の無駄ばかりの司法法廷システムには、本当に辟易している。


簡易裁判所の調停を拒否して、向こうが意外にも、やる気満々だったので、東京地検に提訴したのは、「事件そのものを封印」したかった自動車側に抵抗し、
「因果関係は別として、労災死亡だけで、100名以上が自動車業界で死亡している」
事実を、マスコミ報道で国民に伝えたかったからだ。



裁判官も「企業責任追及」をまじめにやれば、ゆうに10年を超えそうな、こんな根源的な事件
(アスベスト使用の曝露被害は、ナチスの戦車時代にさかのぼり、日本の自動車産業史と米国自動車業界の規制の推移や国連勧告、通産省の認識、通達、医療的見地、他のメーカーの裁判状況など、係争案件の課題はいくらでも出てくる)には、関わりたくはないのだろう。

和解勧告は必然的な流れだった。







ご存知のように、アスベスト石綿被害は、集団訴訟で報じられる
住宅建築業界や大阪阪南エリアの石綿工場やクボタ事件、造船業界などは、知られるが、


ブレーキパッドなどに長年使用してきた「自動車とアスベスト」の深い関係は、ほとんど世間には知られていない。










そこには、自動車産業が国民の548万人(8.8%)が関与する最大規模の国策産業であり、自動車ドライバー8000万人という、あまりに巨大な人口が、アスベスト被害の対象になるかもしれないという潜在的恐怖が横たわっているのだと感じる。






結局報道できたのは、サイゾー、選択、週刊金曜日、ライブドア、ヤフーニュース、そして記者会見を生中継してくれた岩上安身が率いるネットジャーナルのIMJくらいだった。

実は、一番最初に「スクープさせてください」と動いていた週刊朝日が311で降りて行ったあと、フライデーが準備していたが、発売直前に、よくあるテレビドラマじゃないが、「上からのあれで・・」と突然の中止・・・をなげつけられている(笑・マンガかよ!)。


「わりゃー!タマキンつけとんのか、ゴラー!」(谷岡ヤスジ風に)

といいたいが、前の日記でも書いたように、
僕も今現在、5回目のサーバーダウン現象があり、ミステリアスなパソコン本体へのウイルス混入(特定キーワードを書くとカーソルが暴走し、ソフトのソースが露出し仕事ができなくなる)もあったので、当面、911、311などの陰謀論系のアプローチは自粛することにしたので、人のことはいえない・・(笑)







三菱で11名死亡、自動車業界全体では100名以上がアスベストで死亡しているのに、新聞テレビ報道はゼロでいまだに自動車メーカーは因果関係と企業責任を否認している。

この事実が世間に知られていない背景には、
1600億円という自動車業界の巨額の広告予算と三菱グループの圧力がある
というのは、いうまでもないだろう。







「半沢直樹」で有名になった池井戸潤(元三菱銀行から直木賞作家に)の04年の小説「空飛ぶタイヤ」で有名な三菱の事故隠し事件。

当時、外資が抜けた後の株価急落を受けて、三菱銀行、商事、重工は2000億円規模の資本金増資で倒産を防いだことはよく知られている。立て直しのため、商事の海外担当から自動車再建に送り込まれた現社長や広報は、トップ交代を迫る非主流派のために本件が活用されかねない恐れもあり、短期解決のために「真摯に対応しよう」としていたと、ある筋からは聞いた。




ちなみに、マツダは30数名が労災死亡しているのに、あのトヨタは労災死亡が0名だったりする。(おそらく労災死亡認定の前になんらかの補償を内々でしているか、製造ラインの関係で外部に被害者が存在しているのかもしれない)


マスコミと労組が労災死亡事故を隠ぺいしたままなので、世間的にはアスベストは過去の公害というイメージがあるが、実は逆で、発病のピークは2030年頃といわれている。


ところで、国内のアスベスト被害者の規模は、どれくらいだと思われるだろうか?

・・・年間40名? 400名?



実は、国民的予防告知をほとんど国もマスコミしてこなかったということもあるのか、現在国内では、実に中皮腫年間4000名(肺がん死亡8000名を加えると12000名)が死亡しているといわれる(!)

これは驚くべき数量であり、毎日10名以上が中皮腫で亡くなっている計算になる。


もちろん、史上最悪の国民的公害事件であり(最終的には死亡者10万人規模と予測)
近く、年間自動車事故死亡数を超えるだろう。



ちなみに04年以前の国産車はブレーキでアスベストを使用しているので、すべての国民に健康被害の可能性はある。海外ならリコール対象になってもおかしくはない。(最近でも中国車がアスベスト使用車を豪州で全面回収をしている)

アスベストと喫煙で、肺がんリスクは50倍になる。


幹線道路沿い住民で肺がんの人は、セカンドピニオンで塵肺や石綿からのがんを疑い、早めに労働基準監督署か保健所を訪問し、アスベスト検診について相談すべきだろう。原因がそうであれば、勤務経験はなくても、労災に加入していなくても、単に市民生活を送っているだけでも、1000万円相当の補償金を政府が受給するというアスベスト法がすでに施行されているのだ。








闘病中でも国が治療代・見舞い金をだすし、死亡補償年金は1000万以上。
加害企業が特定できれば補償標準は@1000~4000万円規模なのだ。



●最近は集団住民訴訟による国家賠償もほぼ勝訴しており、主務官庁の厚生労働省が塩崎大臣になってからどうも方針転換してるようだが、将来的な補償総額は2兆円を超えるといわれている。どこからその財源を捻出するのか? いつまでも逃げていては、米国のように関連企業の倒産、保険会社の破綻につながりかねない。

この問題は、今後急増する関連医療、補償金をどう抑制していくかという財務問題
でもあるので、厚労省だけでなく、ガイドライン法務をもつ環境省、さらに自動車業界管轄の経産省、国土交通省としては、なにがあっても「自動車、交通という聖域」にアスベストだけは侵食させたくないのだろう。


しかし、アスベストは、潜在期間が15~40年と長く、発病から平均1年で死亡する不治の病である。

シビアな話だが、長期の生存率はゼロなのだ。
しかも、その最後は呼吸困難という、凄まじい苦難が待ち構えている




戦後の高度経済成長時代の自動車産業をささえてきた父たち。






かって零戦を製作していた三菱重工のラインで、
戦後は自動車の設計、開発製造に勤しんだ父の職場の同僚や後輩の方たちが、今現在、まさにアスベストが原因の病気に苦しんでいるという現実がある。

しかし、その事実は「アスベストによる不治の病」
という医療診断があって初めて分かることであり、多くは、患者、家族、医師、企業の無知により、結核や通常の肺がんとして措置されることが多いのだ。






企業も被害者情報を公表しないので、退職した元社員が同じ病に苦しんでいても、お互いを知らないし、ましてや家族、遺族がそのことを知る方法は今のところない。

労組もアスベスト被害については、経営側によるケースが多く、
アスベスト発病への危険情報は収集、統括されていない。


たとえば、この写真のように、当時の職場の同僚、その家族、遺族に
ネットで呼びかけ、探し出し、「命の危機」が迫っていることを呼びかける
ことくらいしか思いつかない。






アスベストに肺を犯されながら、経済成長期の子供たちや家族を育ててきた父親たち。


そういう世代に育てられた息子としては、
いくら法的に三菱自動車とは「和解」したとはいえ、この事実を世間に知らしめたいという思いは捨てきれない。


アスベストの加害企業は、1970年代に活動していたあらゆる業種の企業2000社以上に及んでいるのだから、被害の全容は、まだまだ解明されていないといっていいだろう。

(*例えば、朝日新聞社といったマスコミも労災死亡の加害企業のひとつである)



政府、企業、労組、担当医師、マスコミは、
財政的にも、「自動車とアスベストの危険な関係」を認め、少なくとも発病を抑えるための予防広報を強化すべきだろう。