「新西国観音三十三所巡り」酒見寺“新西国二十九番札所”は兵庫県加西市にある高野山真言宗仏教寺院聖武天皇勅願寺。山号は泉生山(せんしょうざん)、本尊は十一面観世音菩薩、開基は行基とされる。天平十七年(745年)、酒見明神(住吉神社)の神託を受けた行基が聖武天皇に奏上し、寺号を酒見寺として開創したと伝わる。平安時代から毎年勅使の参詣が行われていた名刹は、二度全山を焼失している。平治の乱での全山焼失(1159年)の際は二條院の勅により再建、天正年間(1573~92年)にも兵火で全山が焼失した。その後、江戸時代に入り、姫路城主となった池田輝政姫路城の守護寺に定めて援助を行い、池田家の転封後は本多忠政の援助を受け、寛永年間(1624~43年)に幕府の命を受けた実相院降恵が再興した。さらに江戸幕府三代将軍徳川家光朱印寺と定め、代々将軍から朱印状を下附されて隆盛するなど、これまで天皇や幕府、藩により厚く保護されてきた。北条町の街中にあり、住吉神社と隣接する。間には小さながあり、石橋でつながっている。南端に楼門があり、そこから北に延びる参道の左右に地蔵堂、多宝塔、新観音堂、常行堂が建つ。参道の突き当たりに本堂が建ち、東側に鐘楼 、裏手には御影堂と、土塀に囲まれて庫裏と護摩堂、位牌堂が建つ。