『歴史古代豆知識』52・部曲(ぶきょく)中国,秦,漢代では「部」「曲」の語はともに軍隊の構成単位。やがて「部曲」と連ねて部隊,兵士,部下という意味に使われるようになった。六朝では私兵を部曲と称することや,佃客 (でんきゃく) ,衣食客など私家に属する上級賤民をさすことも生じ,六朝から隋,唐にかけての法制上の部曲は,独立の戸籍をもたなかったが,奴婢とは違い売買されることはなく,生産したものをいくらかは自己の所有とすることができた。宋代以降,部曲の身分層は後退の趨勢にあった。なお,日本の律令は唐法の部曲を家人と改めている。『日本書紀』にみられるように部曲の文字が広く豪族私有民の意味に使用されていたからであろう。