「二十二社巡り」大原野神社・西山連峰の南に位置する大原野神社は『延喜式』神名帳には式外社であるが、二二社に列せられている。当社の創建については延暦三年(784)長岡京遷都の際に藤原氏出身の桓武天皇の后、藤原乙牟漏が、氏神の春日社への参詣が容易になくなり、この地に春日明神を勧請したことに始まる。平安遷都後に嘉祥三年(850)左大臣藤原冬嗣が社殿を造営して、地名をとって大原野神社と称した。その後藤原順子が行啓、円融天皇が行幸と共に摂関家をはじめとする崇敬が高まり繁栄をした。寛弘二年(1005)一条天皇の中宮彰子の行啓は有名で、父藤原道長を始め、紫式部らが供奉し、華やかな行列に目を見張らせた。境内の長い参道を行くと右手に奈良の猿沢の池に似せた鯉沢池があって両側に深い樹林の奥に赤い本殿が見える。訪れる人もまばらで静寂が辺りを包んでいる。</font>