「河内史跡巡り」円通寺・河内西国観音三十一番札所・JR学研都市線、放出駅から南へ七百メートル。圓通寺は森河内北端の、長瀬川沿いにあり、壽量山と号する融通念佛宗の寺院です。平野大念佛寺の末寺で、天得如来(阿弥陀如来)を本尊としています。本堂の他に地蔵堂・観音堂があり、観音堂に安置されている十一面観世音菩薩像は、聖徳太子の作と伝えられています。また当寺には鎌倉時代の絹本着色阿弥陀三尊来迎図が残されています。 来迎図にはさまざまなものがありますが、圓通寺の来迎図は正面来迎図で、静的な構図の中に厳粛な気品が漂う優れた作品です。金彩に切金を併用しての表現、切金技法が駆使された各種紋様は三十種類にも及び、製作技術の高さを示しています。切金というのは、金箔を細く切ったものを貼り付けて種々の紋様を施す技法で、金泥の技法が一般化するまではこれが主流でした。