29連勝を達成、佐藤康光日本将棋連盟会長(左)と会見に臨む藤井聡太四段=26日午後、東京都渋谷区の将棋会館(桐山弘太撮影)

 まだあどけなさの残る14歳の中学生が、30年間破られなかった将棋界の記録を塗り替えた。26日に行われた竜王戦決勝トーナメント1回戦で、歴代最多連勝新記録となる29連勝を飾った最年少プロ棋士、藤井聡太四段。昨年12月のデビュー以来、公式戦無敗のまま成し遂げた前人未到の快挙に日本列島がわいた。

 歴史的な瞬間が訪れたのは、午前10時の対局開始から11時間余りが過ぎた午後9時24分だった。

 相手の増田康宏四段(19)が投了し藤井四段の勝ちが決まると、報道陣が一斉に対局室になだれこんだ。カメラのフラッシュを浴びた藤井四段は「途中苦しくしてしまった。最後まで分からなかった」と表情を崩さず、静かに一局を振り返った。

 大記録がかかった大一番には朝から約100人の報道陣が集まった。相手の増田四段は昨年の新人王戦で優勝した実力者。10代対決の序盤は互角の熱戦に。藤井四段が将棋盤に覆いかぶさるような姿勢で盤上に視線を注いで「長考」する場面もたびたび。しかし終盤に激しく攻めて優位に立った藤井四段が粘る増田四段を押し切った。

 増田四段は「(藤井四段の)中・終盤の攻めがかなり強かった」と完敗を認めた。

 藤井四段はその後、対局のあった東京・千駄ケ谷の将棋会館で記者会見に臨んだ。