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今回はツイッターにも載せたこちらの局面から。
【南2局 下家が親 点数は画像の通り】
ルールは一般的なフリールールです。
こういうのをリーチかダマかって言うのは強者でも意見が割れることが多々ありますよね。
そういう問題っていうのはツイッター上で盛り上がったりするので、とても面白いです。
しかし雀力向上という観点から見ると、強者でも意見が割れる問題の結論はどうでも良いのです。
なぜなら麻雀においては真逆の意見でもスコア期待値が同じになるものも存在するからです。
例えば『ベタオリor全ツ?』
という問題があったとして、麻雀初心者はついつい『どっちが正解かな?』とばかり考えてしまいます。
しかし実際にはその2択の答えに価値は無い物も多く、それ以上に強者の思考を辿ることが雀力向上に繋がります。
麻雀で強くなる事で大切なのは『強者がしない打牌をしない』ことです。
強者も迷う問題はそのどちらかを選択できればそれで良いのです。
では、今回は麻雀の強者がぶつかる事の分析をしていきたいと思います。
どちらも鉄板強者のAさんとBさんが今回の問題でリーチとダマで意見が割れていたとします。
Aさん
『これはダマだね。もう南入しているし親に振らなければトップだよ?しかも今回は唯一まくられる可能性のありそうな2着目が親。リーチすると脇二人が降りて親との1対1。9sが深くに眠っていたら親のリーチに放銃するだけだからね。ここでリーチするなんてありえないよ。』
Bさん
『Aさんの言う事はわかるけど、この点数からでも麻雀は何があるかわからない。そもそもこの早い巡目にリーチして上がれずに親に追っかけられて、なおかつ自分が当たり牌を掴む可能性はどれくらいか知ってる?脇二人が降りるというのも確定事項ではないし。ここで手を抜くのはぬるい。』
両者の主張はぶつかりました。
ではなぜこのような事が起こるのでしょうか?
ここには心理学の用語で確証バイアスというものが当てはまるかと思います。
(確証バイアス(かくしょうバイアス、英: confirmation bias)とは、認知心理学や社会心理学における用語で、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと。 認知バイアスの一種。)
占いを信じている人などに多い傾向です。例えを挙げましょう。
Cさんは毎朝のテレビの占いを信じています。毎回ものすごく当たると信じ切っています。
はたから見ると当たっている日も当たっていない日もあるのにCさんは毎回当たると言うんですね。
これは確証バイアスによる可能性がとても高いです。
Cさんが『ラッキーカラーは赤・アンラッキーカラーは黒』という情報を得たとしましょう。
するとCさんはその日に起こった出来事で赤と黒に注目して情報を処理してしまいます。
もし誰かに親切にされてその人が赤い服を着ていたら、『あぁ、この人は赤い服を着ている。あの占いの通りだ!』そんな感じですね。
しかし実はその人は黒いズボンだったのですがそれには気が付きませんでした。
逆に同じ服装の人から嫌な目にあっていたらおそらくCさんは『黒いズボンを履いている人に・・・』と情報処理していたでしょう。
このように人間は自分の思考を『正しいと思いたい』生き物なのです。
これは何も悪い事ばかりでは無くて、経験則への自信の肉付けみたいなものでしょう。
いちいち細かい物事に『ほんとうにこれは正しいかな?』なんて思っていたら前に進めませんからね。
そもそも人生において”必ず正しい事”というものなんてありません。
時には自分の思考に自信をもって進んでいくことも大切です。
AさんとBさんの意見の相違を分析すると固定観念によるものが原因となっている場合も多いです。
当然Aさんはいつもこの局面では自信のある待ちになるまでリーチしません。
『それはダマが正しいと思っているから』です。
そしてBさんはいつもリーチします。
『リーチが正しいと思っているから』です。
では、その後起こる事へのそれぞれの思考の違いを見ていきます。
(ダマにして誰かが9sか4pを切った)
Aさん『ダマにしたから出たんだろうね、リーチしていなかったら出てないからこれはアガリ逃しではない』
Bさん『リーチしていても出ていたっぽいなあ、上がれてたらほぼトップ確定だったのにもったいない事をした・・・』
(ダマにしたら親が追っかけリーチした)
Aさん『ほら、リーチが入った。この時のためにダマにしていたんだ。親に振らなければまだトップは堅いしここはベタオリだね』
Bさん『親リーは厳しいけど麻雀だしこういう事もある。追っかけられたとしても自分が放銃する可能性は30%以下だし振ったら事故』
(親が追っかけリーチして6000オールツモった)
Aさん『これはかなりレアケース。こういう事は仕方がない』
Bさん『リスクを負ってでもリーチしておかなければいけなかった。親の6000オールツモなんて赤ありならよくあることなんだから。この点数だからってヒヨリ過ぎたためにトップを逃してしまうかもしれない』
このように普段の自分の打牌を正当化した思考をするのは実は強者でも割とある事なのです。
それはなぜでしょうか??
それは2人ともが結果を残しているために、
Aさんは『これをダマにしてきたから俺は勝ってきているんだよ。』
Bさんは『これをリーチしてきたから俺は勝ってきているんだよ。』
となるんですね。
そして、Aさんはこれを強者になった時からずっとダマにしているのでリーチした未来はもう何年も見ていません。
この手がリーチしてもすぐに上がれる事もいくらでもあるのに、(リーチをしたって4pが出ることだっていくらでもあるのに、)それはリーチをしていないのでわからないのです。
Bさんは逆ですね。
まとめ
誰しも自分の今までの価値観を否定されるのはとても怖いですし、ずっとしてきた事が間違いだったなんて考えたくもありません。
しかし超上級者になろうと思ったら常にこのAさんとBさんの2つの思考(または中立の思考)をもって情報を処理していかなくてはなりません。