今年も今日を含め、あと3日。世界で数多くの出来事があった。中には歴史に残るものもある。2016年がどのような年だったかを回顧するために、私見に基づき今年の10大ニュースを選んでみた。

 

①アメリカ大統領選挙で大番狂わせ、トランプ氏、まさかの大逆転勝利;11月8日――あらゆる事前世論調査、メディア・評論家の予想を覆して、圧倒的優勢のヒラリー・クリントン氏を破る(写真=ニューヨークで勝利を宣言するトランプ氏)。ヒラリー氏は、アメリカ史最初の女性大統領を逸した。

 


 この大番狂わせによって1人の男が大脚光を浴びたことで、世界のマーケットのトレンドが一変した。世界大の債券相場は下落、株式相場、原油相場は上昇、為替市場ではドルの独歩高となった。

 

②重力波、初めて検出の発表;2月11日――1916年に、一般相対性理論に基づいてアインシュタインによってその存在が予言された重力波が、99年後の2015年9月14日、アメリカ、米カリフォルニア工科大とマサチューセッツ工科大などの研究チームにより巨大観測装置LIGO(写真)で初めて検出、慎重なチェックを経て、その成果が発表された(16年2月16日付日記:「重力波天文学の夜明け;アインシュタインの予言、アメリカの施設で100年目の実証」を参照)。来年度のノーベル物理学賞の受賞は、まず当確。

 

 

③日銀マイナス金利へ;1月29日――日本銀行がマイナス金利政策の採用を発表。民間銀行の日銀当座預金にある超過準備に対して史上初め0.1%のマイナス金利を課すもので、2月16日から実行された。これにより、一時は10年物国債など長期金利までマイナスに沈んだ。

 

④イギリス、国民投票で予想外のEU離脱選択;6月23日――当初は世論調査結果から残留濃厚と見られていた国民投票で、まさかのブレグジット可決。先進国で開いていた大市場である日本の株と為替は、大暴落と円の1ドル=99円台の急騰を演じた。国民投票を決めた残留賛成派のキャメロン首相は辞任し、7月、同じ保守党の女性下院議員メイ氏が首相就任、ブレグジットに進む。11月のトランプ氏の大番狂わせ大統領当選とともに、世界でポピュリズム台頭と言われた。

 

⑤ハーグの国際仲裁裁判所がフィリピンが提訴していたスターリニスト中国の南シナ海の埋立てなどで判決;7月12日――常設仲裁裁判所は、スターリニスト中国主張の九段線とその囲まれた海域に対する歴史的権利について、「国際法上の法的根拠がなく、国際法に違反する」とする初判断。中国は全面敗訴。その後、スターリニスト中国は、アキノ政権に代わったドゥテルテ政権の取り込みに動き、事実上、判決の棚上げを図る。

 

⑥TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、ニュージーランド、オークランドで参加12カ国により調印;2月4日――関税の撤廃・削減の他、投資、政府調達、知的財産など幅広い分野で共通ルールを取り決め、世界の経済連携協定のモデルとなるとされたTPPだが、日本は年末12月の臨時国会で承認したものの、TPP離脱を明言していたトランプ氏が11月のアメリカ大統領選挙で当選し、当面の発効は望めなくなる。

 

⑦スターリニスト中国発の世界同時株安;1月4日――前年末のアメリカFRBによる9年半ぶりの利上げの余波で、スターリニスト中国で上海総合指数が約7.7%も急落。4日の昼休み直後に約5%ほど下落したところでサーキットブレーカーが初の発動、取引が一時中断されたが、15分後の取引再開後さらに下落し、この日の取引は打ち切りになった。さらに対ドル相場で人民元安も5年ぶりの水準に暴落。
 中国発の暴落は、世界に飛び火し、日本も株価と為替市場が影響を受け、円は年初の1ドル=120円台から6月には1ドル=99円台にまで円高となる。株安と円高は、11月のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が当選を決めるまで続いた。

 

⑧ヨーロッパ各地でテロ相次ぐ――12月19日に、ドイツの首都ベルリンのクリスマス市場に、ISIL支持のモロッコ人テロリストが大型トラックが突っ込み、12人(他にトラックの運転手のポーランド人1人)が死亡(写真)。

 

 3月にはベルギー、ブリュッセルの地下鉄・空港で同じISIL系のムスリム・テロリストによる同時テロで32人が死亡、また7月には、フランス、ニースでムスリム・テロリストの運転のトラックが突っ込み、80人超が死亡した。ドイツでは、この他、7月にミュンヘンのショッピングセンターで銃乱射テロで9人が死亡している。中東の経済「難民」を積極的に受け入れてきたドイツのメルケル首相に批判が高まっている。
 一方、シリアとイラクでは、一時、広大な地域を占領していたISILが相次ぎ支配地域を失い、劣勢になっている。

 

⑨地球に最も似た系外惑星プロキシマ・ケンタウリb発見;8月24日――4.2光年と地球に最も近い赤色矮星プロキシマ・ケンタウリのハビタブルゾーンに存在する地球型の太陽系外惑星が初めて確認された。これまで発見されている系外惑星は3000個以上に達するが、ケンタウリbは環境条件が最も地球に似た系外惑星だ。さっそく「スターショット計画」の標的候補となる(16年10月11日付日記:「地球に最も近い系外惑星プロキシマbへの探査目指す『スターショット計画』;宇宙に溢れる惑星系」を参照)。

 

⑩台湾総統選・立法院選で媚中的で大陸との統一志向の国民党が大敗、対中接近慎重派の民進党の蔡英文氏が圧勝;1月16日――同時に行われた立法院選でも、蔡英文氏の率いる民進党は過半数の68議席を得て、台湾の民意は共産党政権との統一への拒否をはっきりと示した。2014年3月に台湾経済をスターリニスト中国に従属させかねない「中台サービス協定」批准阻止を目指して立法院を占拠した「ひまわり学生運動」の流れを汲む「時代力量」が5議席を得て第3党に躍進。若者主体の同党は民進党よりはっきりと台湾独立の意思を明確化している。
 この流れを受け、9月4日の香港立法会選挙でも「雨傘革命」を主導した若者の「本土派」が躍進したが、スターリニスト中国の牛耳る立法会の議席を相次いで剥奪されている。

 

 この他、消費税の10%増税を2年半再延期(6月1日)、初の18歳選挙権実施による参院選で、自民、公明の与党が圧勝(7月10日)、舛添要一氏の東京都知事辞任に伴う知事選に無所属の小池百合子氏のぶっちぎりの大勝(7月31日)、天皇陛下退位の意向(8月8日)、2016年度ノーベル生理学・医学賞に「オートファジーのメカニズムの発見」で東京工業大学栄誉教授の大隅良典氏が受賞(10月3日)、韓国の朴槿恵大統領へ弾劾議決(12月9日)などがあった。
 以上は10数番目にはランクされるだろうが、10大ニュースには入らないというのがリブパブリの私見である。読者諸賢のご意見はいかに。

 

昨年の今日の日記:「フィンランド(超短期)紀行5;大聖堂前の道でヘルシンキの歴史を記す下水溝の蓋」