ラリベラ岩窟教会群第2グループの地獄への道からやっと抜け出て(写真)、ようやくたどり着いたのが聖メルクリウス教会だが、これはラリベラで2番目に大きい教会、とされる。

 

 

 

12世紀の壁画、損傷激しくほとんど見えない
 元々は、教会ではなく刑務所だったという説もある。屋根や壁がかつての征服者イタリア軍により破壊されたが、後になって修復して教会として再使用されるようになった。
 かなり痛みが激しいが、12世紀に描かれた三賢人と十二使徒と思われる12世紀の壁画やフレスコ画が残る。
 しかし中に入って見ると、壁画の損傷は激しく、ほとんど残っていない(写真)。

 

 

 空調設備を整え、出入り人数を制限しない限り、800年などもたない。辛うじてわずかに痕跡が見られる程度だ。

 

◎ライオンとヒョウを従えた高身長のキリストの聖画
 しかし祭壇のある部屋には、その後に描かれた聖画が見られる。地面にまで達する白髯を垂らしたイエス像は、8頭身以上もある高身長の人物で、これはエチオピア正教では珍しい。そしてこれも珍しいことに、ライオンとヒョウを何頭も従えている(写真)。

 


 現代のエチオピアには、ライオンは絶滅したか絶滅寸前だと思われ、ましてそれより個体数の少ないヒョウは絶滅しただろう。描かれた時代はよく分からないが(16世紀のものという説もあるらしい)、少なくともその頃にはライオンもヒョウも普通に見られたのであろう。
 ライオンもヒョウも、表情はどこか愛らしく、獰猛さはない。

 

◎黒いウマにまたがった聖メルクリウス
 その横には、黒いウマにまたがった聖メルクリウスの描かれた聖画がある(写真)。これまでエチオピア正教の聖画には聖ゲオルギウス(セント・ジョージ)が主に描かれていたが、聖ゲオルギウスの乗るのは白馬、と決まっている。漆黒のウマは、聖メルクリウスなのである。

 


 この絵は、タナ湖上の小さな島にあるウラ・キダネミレット修道院でも観た。エチオピア正教では聖人として尊崇されているのだ。
 聖メルクリウスは日本では馴染みが薄いが、商人、職人の守護聖人、とされている。
 この絵は、ローマの王キング・ウラノスを殺している絵なのだそうだ。

 

追記 トランプ次期政権、国家通商会議を創設、トップに対中強硬派
 アメリカのトランプ次期大統領は21日、ホワイトハウス内に貿易政策を統括する「国家通商会議」を新設し、トップに対中強硬派のピーター・ナバロ・カリフォルニア大教授を起用すると発表した。ホワイトハウス内に通商政策の統括組織を置かれるのは、初めてだ。
 同会議は貿易政策の助言だけでなく、国家安全保障会議と組んで国防と通商政策を連携させた外交戦略も立案するという。
 トップに就くナバロ氏は、米中通商政策の専門家。「中国は補助金や通貨安誘導で対米輸出を不当に膨らませている」と批判してきた。鉄鋼製品の不当廉売などをめぐって米中の通商摩擦が一段と強まりそうだ。
 ナバロ氏はまた、南シナ海でサンゴ礁の埋め立てと軍事拠点化を進める赤色帝国主義中国の軍事戦略も強く批判している。
 トランプ氏が発表した声明文では、国家通商会議は安保面でも大統領に助言するとしているので、ナバロ氏は次期政権の米中外交に強い影響力を持ちそうだ。
 スターリニスト中国は、媚中派オバマの黙認でやりたい放題に振る舞ってきた軍事誇示の対外覇権外交を根本から転換せざるをえないだろう。

 

昨年の今日の日記:「フィンランド(超短期)紀行2;トラムに乗ってヘルシンキ旧市街を観望」