誰もが考えもしなかった「2つの中国」という視点に目覚めさせられた。
 トランプ次期大統領の対スターリニスト中国観の一端が明らかになり、鱗がかぶった目が晴れたのだ。所与のものとして疑ってもいなかった「1つの中国」など、実はスターリニストどものプロパガンダに過ぎなかったのではないか。

米中国交回復以来の「1つの中国」論への疑問提起
 トランプ次期大統領は11日、保守系「FOXテレビ」での番組で、「我々はなぜ『1つの中国』政策に縛られなければならないのか分からない」と述べたのだ。
 前段に「貿易などで中国との合意を得られなければ」という条件付きではあるが、実際、1979年に当時のカーター大統領(民主党)がスターリニスト中国と国交を結び、「1つの中国」の方針の下に台湾と国交断絶してから(日本政府も直ちに追随した)、日本も含め世界は、中国は1つしかなく、台湾はその一部で、そこを統治する政府は不法政権だというドグマに縛られ、それに誰も疑うことを知らなかったのだ
 それに、トランプ次期大統領は初めて疑義を呈したのである。

 

 

 


現オバマ政権の「暗黙の了解」でやりたい放題のスターリニスト中国だった
 これより前の2日、トランプ次期大統領は台湾の蔡英文総統と、これも国交断絶以来、初めて電話会談を行っている。まだ大統領就任前だが、実に37年ぶりの米台「首脳」対話だった。
 これに、スターリニスト中国は非公式に抗議した。するとトランプ氏は、「私は中国の指図を受けない」とはねつけた。
 スターリニスト中国の南シナ海・東シナ海と人権問題へのやりたい放題に何らアクションを起こさず、事実上、「暗黙の了解」を与えていた現オバマ政権と大きな違いである。
 その「暗黙の了解」で、南シナ海の岩礁はスターリニスト中国の思うままに埋め立てられ、滑走路・軍港まで建設されてしまった。

習近平は対米通商政策で大きな譲歩が必要
 トランプ氏は、「我々は中国の通貨切り下げ政策、重い関税、南シナ海の真ん中の巨大な要塞の建設のためにひどい損害を被っている」とも述べている。
 このトランプ発言が地のままであるとすると、習近平が今の対外政策を進めていけば、間違いなく米中関係は悪化・緊張し、南シナ海の滑走路・軍港などへのアメリカ軍の空爆も現実味を帯びる。そしてトランプ政権は、台湾承認・国交回復にまで行くかもしれない。
 習近平がそれを防ぐには、通商政策で大きな譲歩が必要だろう。
 だが習近平に、それは可能か?
 人民元安誘導をやめ、集中豪雨的な輸出を自主規制するとすれば、それでなくとも下降トレンドを描いている対米輸出は急降下し、停滞する経済はゼロ%近辺にまで急落しかねない。そのような劇薬を、習近平が飲めるかどうか。

自由で民主的な台湾の政権こそ正当性
 僕は、自由な言論と民主主義のもとで、スターリニスト中国の干渉をはねつけて断固として民主的な政権を打ち立てた蔡英文総統のもとの台湾を支持する。
 一国二制度のイギリスとの約束を破り、本土派立法会議員を議会から追放し、不法に出版人を大陸に拉致し、香港の民主的な制度を破壊し、国内にあってはあらゆる異論派市民を弾圧している共産政権などと国交など持ちたくない。
 民主台湾は、独立した政権であり、日本は民主台湾と共通の理念を共有しているのだから、交流を深め、いずれは国交回復へと進むべきだ、と僕は考える。
 写真は、台北中心部の日本統治時代の建築を残す台湾総統府と自由広場。

昨年の今日の日記:「公明党の圧力に屈して不正の拡大の余地を許した消費税、軽減税率導入の不透明きわまりない決着」