日韓国交正常化50周年を最悪期に迎えようとは、国交正常化を推し進めた当時の韓国の大統領だった故・朴正煕氏も予測だにしていなかったに違いない。しかもその元凶の1つが自分の娘によるとは。


関係改善の動きは韓国側の事情から
 それはともかく一昨日の22日、その50周年を迎えた。当日は、韓国大使館が都内で開いた式典に安倍首相が、同じく日本大使館がソウル市内で開いた式典に朴槿恵大統領が出席して、50周年を祝賀した。安倍首相は、直前まで式典参加を決めていなかったが、ここで
 またそれより前、韓国の 韓国の尹炳世外相が約4年ぶりに訪日し、東京で日韓外相会談を開いた。対日強硬派で鳴らす尹外相が日本にやって来て、難癖をつけていた『明治日本の産業革命遺産』世界遺産登録に協力を表明するなど、昨年までなら考えられもしなかった。
 このことからうかがえるように、日韓雪解けを探り始めたのは、韓国側の事情である。


韓国経済に悪影響を及ぼしつつある関係険悪化
 MERS騒動で揺れる(MERS自体は、さほど怖い病気ではない。6月8日付日記:「韓国をパニックに陥れているMERS(中東呼吸器症候群)は危険か」を参照)韓国は、今、ウォン高もあって中国人観光客がガタ減りしている。7~8月の書き入れ時に、前年比82%減、という厳しい予測が出ている。
 それ以上に、朴政権が主導した対日関係険悪化の影響が、韓国経済にジワリと影を落としつつある。
 昨年の日本人観光客の数は、前年に続いて2年連続の前年割れで17%減だったし、貿易額も9%減だ。
 韓国経済に関係悪化が影響を与えているのは、確かだ。


李明博が竹島上陸で関係悪化の引き金を引いたが、朴槿恵が火に油注ぐ
 また日韓首脳会談前に、安倍首相が習近平と短時間だが2度までも会談したことから、韓国には孤立化懸念が強まっている。
 アメリカの対韓感も、日韓関係の悪化の主因は韓国にあるとの見方が主流になりつつある。
 確かに今日の対日関係の悪化の始まりは、バラマキスト民主党政権の外交不在を突いて、退任間際でレームダック化していた当時の大統領の李明博が、12年8月10日に我が国の領土で韓国に不法占拠されている竹島に上陸してからだが(写真)、日韓国交正常化の立役者だった朴正煕大統領の娘の朴槿恵が、大統領になってまさかの反日強硬姿勢を示したことも決定的だった。


竹島に上陸した李明博

竹島


問題蒸し返しの過去を忘れるなかれ
 朴槿恵は、いわゆる「従軍慰安婦」問題など歴史問題をたてに、日本との関係改善に努めるどころか、かえってさらに悪化させた。安倍首相との首脳会談にも、「従軍慰安婦」問題などのでの謝罪を前提条件にしているほどだ。
 これなど、安倍首相ならずとも、妥協できない。また韓国側は、いったん合意したことでも、政権が変わり、韓国メディアが騒げば、また問題を蒸し返してきた過去がある。そのたびに、謝罪と代償を要求され、しかもそのハードルがどんどん吊り上げられているのだ。
 そうした袋小路に陥った朴槿恵政権の方に、弱みがたまってきた。
 ここで日本側の安易な妥協は、過去の繰り返しとなる。
 歴史的事実に反した従軍慰安婦などで、世界に日本の信用を棄損してきたことへの韓国側の謝罪の方が先だろう。ここは、対韓外交姿勢を緩めずに、原理・原則に従った行動をとりたい。


昨年の今日の日記:「日本の誇る世界最高技術『石炭ガス化複合発電』火力発電所は、環境ただ乗りの中国を増長させる?」