日銀による黒田バズーカ第2弾で、株式市場と為替市場が大きく動いた。株式市場は一時、1万7500円を回復し、円も1ドル=118円台となった。いずれも7年ぶりの株高・ドル高である。株の買い、円の売りの建玉を建てていた人たちは大いに儲かったはずだ。


REITも高値更新
 日経新聞によると、日経平均連動の仕組み債を買っていた人たちも株高で、仕組み債が相次いで早期償還になっているという。この人たちには、早期償還で2.5%ほどの金利が得られなくなったので、やや恨めしい株高となったかもしれない。
 あまり話題にならないが、この陰で高値を更新しているものに、REIT(不動産投資信託=「リート」と読む)がある。東証に上場している不動産投資信託である。東証REIT指数は、21日、1790.39をつけ6年10カ月ぶりの高値を更新した。
 REITも、なぜ高値なのか? 市場が超金融緩和が今後も数年は続く、と見ているからだ。超金融緩和となれば、金利は上がらない。不動産市況は、低金利の恩恵を最も受ける。すなわち不動産に投資するREITも、また恩恵を受けるのだ。
 現在、40数銘柄が上場されている。投資信託だが、上場されているので、東証の開いている時には、証券会社を通じていつでも売買できる。
 その点、株式と似ているが、REITの特徴は、「ミドルリスク・ミドルリターン」という点だ。


不動産の区分所有権を買うようなもの
 株式なら1年で時には10倍も値上がりし、逆に一挙に10分の1に暴落することもある。REITも値上がり・値下がりはするが、10倍になることも10分の1になることも決してない。不動産が裏付けとなっているからだ。
 株式と似ているということでは、半年に1度の決算(株式は1年に1度)で、運用する投資法人が投資した不動産の賃貸収入からの分配金(株式の配当金に相当する)が支払われる点がある(写真=半年の決算ごとに送られてくる報告書)。


REITの決算報告書

 投資法人が投資する不動産は、その投資法人によっていろいろ特化しているが、広いオフィスビル、豪華マンション、広大な物流施設、高級ホテルといったものだ。つまり投資家は、投資法人の運営するREITを通じて、これら不動産の区分所有権を買ったようなものだ。


半年のに1回の決算で分配金
 ただ純粋な不動産投資とも異なる。
 今や中古ワンルームマンションでも都区内であれば2000万円程度もするが、REITなら銘柄にもよるが1口10万~20万円程度から小口投資できる。また前述のように東証の開いている平日の時間帯であれば、いつでも売却して換金できるし、購入もできる。不動産投資のように、何日もかかり、複雑な手続きを踏み、巨額の資金を用意する手間はかからない。
 REIT投資の最大のメリットは、3月期決算が大部分の株式会社の発行する株式と異なり、半年決算の決算日がばらけていることだ。したがって決算月の異なるREITを6銘柄保有していれば、毎月、配当に相当する分配金が得られる。
 リブパブリはそれをシコシコと貯金し、ある程度たまったら次のREITの再投資に回している。


毎月分配の外貨建て投資信託とは似て非なるもの
 なお似て非なるものに、毎月分配型の外貨建て投資信託がある。これは、証券会社・銀行で高利回りとしてよく勧められるが、高利回りに見せるために運用益の他に、元本を取り崩して分配金に回していることが多い。そのため毎月分配金を得るが、元本に相当する基準価格は少しずつ下がっていく。
 タコが自分の足を食うのに似る仕組みで、しかも販売する証券会社や銀行が多額の手数料と信託報酬を得る設計なので(だから必ず勧めるのだ)、バカバカしくてリブパブリは1本も持っていない。
 一方、REITは投資信託でありながら上場投信なので、ETF(上場投資信託)と同じように信託報酬は安く、ネット証券で購入すれば手数料も安い。分配金は、組み入れた不動産の賃貸収入がほぼ100%還元される仕組みなので、株の配当金より高い。


価格上昇で利回りは低下したが、それでも年3%前後
 リブパブリがREITに投資を始めた時はバラマキスト民主党政権末期のデフレ真っ最中だったので、価格は安く、利回りは年5~6%もあった。
 ところが安倍政権の登場で市場環境が劇的に代わると、REIT価格も上昇し、したがって利回りは低下し、最近では3%前後にまで低下している。
 利回りが低下したということは、価格が上昇したということだから、おかげでリブパブリの投資したREITは、大きな含み益も持っている。
 利回りは低下しても、それでも年0.025%という銀行定期預金やゆうちょ銀行の定額貯金の超低金利よりはかるかに高利回りである。
 ミドルリスクに着目して少しでも運用益を得たい地方銀行などが主な購入主体だが、個人も活発に買っている。


スポンサーの見極めが肝要
 個人がREITに投資するポイントは、上場しているREITの中でもスポンサーが三井不動産や三菱地所など大手不動産会社、大手商社、大手証券会社のものを選ぶことだ。
 かつてリーマンショック後の不況の時、中小不動産会社系REITが何本か破綻しそうになり、大手に救済合併されたことがあったが、この時、価格は大きく下がり、投資家は大損を被ったことがあるからだ。
 上場されているREITの中には、逆風が吹いた時に大きく値下がりしそうな銘柄もあるので、見極めが肝心だ。
 そして購入手数料を節約するために、証券会社はネット証券を選ぶか、大手証券会社の店頭で購入するなら、新規公開(IPО)か既上場のREIT銘柄の公募増資に応じるか、がキモである。新規公開と公募増資なら手数料はかからないからだ。


長期金利のウォッチは欠かせない
 一般投資家なら、新規公開の割り当てを受けるのはかなり難しい(ネット証券なら抽選が多い)から、公募増資に応じるのが良いかもしれない。しかも公募増資でも、割り当て価格基準日の終値からだいたい2.5%ディスカウントされるので、それだけ安く買える。
 不動産投資信託だから、不動産不況が来たり、金利が上がると、REIT価格は下がって、損失を被るリスクがある。前述のように3%前後という高利回りで買われているので、10年物国債の利回りが1%以上に乗せると、利回り差が縮まり、REITは売られ、価格が下落する可能性がある。
 つまり長期金利を常にウォッチしている必要がある。


むこう数年は安泰
 しかし現状は、日銀の黒田バズーカ第2弾により、10年物国債の利回りは0.4%台と歴史的な低金利になっている。さらに第2弾により、日銀は従来からのREIT購入量を一挙に3倍化して、年900億円の購入枠を設けている。REIT価格が下がれば、すかさず買ってくるだろう。
 また不動産市況は、安倍政権登場後、徐々に回復し、オフィス投資型を中心にREITに追い風が吹いている。
 あと数年はREITの投資環境は順風だと考えられる。したがってリブパブリは、懇意にしている証券会社から声がかかり、資金があれば、小口でせっせとREITのIPОと公募増資に応じている。向こう側もリブパブリの金融知識のほどを承知しているので、変なものは勧めてこない。
 ミドルリスクであっても、勉強が必要なことは当然なのだ。


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