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 金融危機・実体経済大不振のまっ最中、ラスベガスの賑わいに意外感を隠せずに帰国したのだが、実際、往復の飛行機便でも、バカ高い燃油サーチャージの影響力をほとんど感じない混雑をも体験した。

意外! ユナイテッド機往復とも準満席
 往復とも、利用したのはユナイテッド航空だった。
 機内は、シーズンオフにもかかわらず8割以上の混雑だった。燃油サーチャージャーが往復で4万円ほどもとられたのに、往復ともこんな状況だった。幸いにも私は3列席の真ん中座席は免れたが、半分近い列は、3人掛けに3人座っていた。
 日本の電機、自動車関係のメーカーは、この1-3月期、それこそグランド・キャニオンの断崖から転落するような販売減に見舞われたので、海外出張は禁止に近い状態になっていた。すると乗客は、ほとんど高額燃油サーチャージをものともしない観光客ばかりだったのか(私のように)。
 おそらく各航空会社とも、IT化の深化で、ある程度の推定乗客数をかなり前から絞りこんで把握できるようになっており、それに見合った機材を投入して燃料を節約しているのだろう。
 がらがらの座席で肘掛けをあげて、横になって長時間飛行をしのいだ時代は、もう昔話になってしまった感がある。

トータル2時間の行列でヘトヘト
 成田では、テロにも縁遠いということもあっても、さほど並ばなかったが、ラスベガスからの帰国便で疲れ果てるほどに並んだ。
 ラスベガスのマッカラン国際空港は、早朝(6時台)の便だったのに、すでにごった返していた。搭乗ゲート前は、日光のいろは坂さながらに、10数重に折れつながった長い列が出来ていた。余裕を見て、1時間半前に空港に着いたからまだよかったが、国内線だからと甘く見て、1時間を切る時間で到着した場合、間に合わなかった可能性がある。
 ソ連時代の買い物行列もかくやと思う列が進み、エックス線透視ゲートを通過するまで、実に30分以上もかかったのである。
 ロスに着いたら着いたで、また行列だ。荷物を預けてあったのでまだよかったが、いったん外に出て、あらためて国際線乗り場に並ぶ。これが、1時間以上にも及んだ。乗り継ぎ時間に余裕のない旅行者は、別の列から早めに進んでいったけれども、待ち合わせ時間がたっぷりある当方は、情け容赦もなく進まない列に並ばされた。ラスベガスで並んだ時間も合わせると、トータルで2時間に達したと思う。
 テロの脅威に怯えるアメリカは、もう航空をサービス業とみなす余裕を失っているのだろう。そして恐慌に近い大不況にもかかわらず、衰えない航空需要の多さ。これもまた、事前の読みと大いに違ったことであった。
 ゲートを通り抜けて、搭乗口の椅子にたどり着いた時は、4時半起きということもあって、すっかりヘトヘトになっていた。ラスベガス-ロサンゼルス間の1時間余を眠っていればよかったのだが、幸か不幸か、やや翼にかかる位置ではあったものの窓際の座席に座れた。

砂漠に円形の緑の大農場
 しかも往きの便(サンフランシスコからラスベガス)と違って晴天で、下界がよく見えたのだ。おかげで眠るのがもったいなく、ずっと外を見ていた。
 見えたのは、離陸直後に雪をいただいた赤い山(写真上)以外は、どこまでも続く砂漠の景観だった。赤い山は山頂に雪をいただき、朝日を浴びて美しかった。名前が分からないのが残念だ(ご存知の方、教えてください)。
 途中、昔に見覚えのある緑の円形が見えた。地下水を汲み上げ、巨大な散水器をゆっくりと回転させて、作物を栽培する農場である(写真中)。砂漠では、この方法でしか農業はできないが、高度1万メートル近くの上から見えたのだから、1円玉程度にしか見えない円形農場も、さぞかし広大なのだろう。これが、砂漠にわずかなアクセントを与えていた。
 そして再び予想する。この広大な砂漠が太陽電池パネルで覆われた時のアメリカの強さを。その時、もうアメリカは二酸化炭素排出量を劇的に削減していて、低炭素社会のリーダーになっているに違いない、と。
 砂漠も、また潜在的的な「資源」なのである。
 写真下は着陸間際のロサンゼルスの市街地。遠くにダウンタウンの高層ビルが見える。