人口減少解決のカギは家にあり?
-現状と将来についてを「統計」で考えよう。

人が住むのはどこかというと「町」ではありません、「家」なのです。
人口問題を考えると、町全体のことを考えがちですが、各々の住宅こそが市民に密接に関係しているのです。

前回の記事、河内長野市は新築住居の減少によって、転入数が減り続けている構造があると書きました。実際に統計を見ると以下の通りです。(括弧)の数値は、社会増減数の府内順位の推移です(2010→2014年)。
新築持家の年別購入数河内長野市の最新年の新築購入数は「990戸」でした。このグラフの中では、かなり少ない部類です。なぜ新築が少ないのかというと、人気がないからというより、もう市内にはほとんど建てる場所がないことが要因にあるように思えます。
他市と比較してみると、新築数の少ない自治体ほど、2010年の転入数(括弧の左値)が少ないという相関がほぼ表れています。

では、新築数が増やすしかないのか?
そのようなことはありません。実際、大阪狭山市はさほど新築数は多くないのに、かなりよい順位を得ています。話は脱線しますが、大阪狭山市がなぜいい成績を収めているのかを考えてみましょう。

〇大阪狭山市は、住民本位の政策が中心
 どこかの市みたいに「ゴルフ場をつくろう」「高速道路をつくろう」なんて馬鹿な議員さんはいません。今ないものを作るのではなく、あるものを生かし、住民が必要としているものを真剣に考えていました。狭山市には大きな道路はありませんが、特に社会増減に影響はないようです。
〇大阪狭山市は、身の丈に合わないことはしない
 どこかの市みたいに「ハコモノ」政策はあまり行っていません。市役所はボロ、図書館もボロボロですが、市民に不満はありません。むしろ、駅前周辺や生活道路の改修など、より住民の身近なところを重点的にやっているようです。

だんだん、河内長野市の議員さんが腹立たしく感じてきました。優先順位をはき違えた政策を自信満々に言ってみせたり、選挙前に具体性のない理想論で市民をだましたり、散々ですよ。
・・・まとめると、新築数が少なくても、ちゃんと市民の考えに沿った政策をするなどの外的要因で、なんなくカバーできるということですね!

以上脱線しましたが、統計の話に戻して、「空家」について考えたいと思います。

新築がないけど中古はいっぱいある
新築を無理に増やさずとも、中古住宅を活用すれば、河内長野市も活路を見出すことができます。イギリスなど諸外国では、中古住宅を何世代もがリフォームしながら住むのが一般的で、日本もそれを見習うべきとされています。そんな中古が2010年現在に、どれぐらいあるのかというと、以下の通りです。
大阪府の空家数

河内長野市は、他市に比べ人口の割に空家が多くあります。さてその内訳なのですが、別荘・賃貸・売却用については、特に問題はありません。用途のない「その他」の空家は、近年問題になっている「放置された空家」です。
河内長野市の場合、不幸中の幸いなのが、老朽化(破損有)している空家はかなり少ないことです。つまり、人が住めないような空家ではない、優良な物件が多いのです。
今対処すれば、十分活用できる価値ある資産ですが、逆に、これがあと数十年後も空家のままでは、利用価値のないものになってしまうとも言えます。
こういった使える空家を売り出すことで、河内長野市の転入数の増加、人口減少の改善につなげると考えられます。

なんで放置された空家が多いの?
空家は主に、親が亡くなった等で相続されたものの使い道がなく、放置されたものが多いことが報告されています。リフォームしないと入居は難しいものなどは、特にそういう傾向にあります。そういった場合、解体して更地にすればいいと思うかもしれませんが、そうすると固定資産税の軽減措置が適用されなくなり、6倍の課税を受けることになるのです。
よって、手入れもせず放置され、将来的には老朽化した空家が増える構造ができあがっています。河内長野市の場合、そういった危機に瀕するのは十数年後と予想されます

「その他」の空家を活用しよう!
空家は数年経っただけで老朽化し住めなくなるものです。なるべく早いうちに未然に対処することが重要になります。そのため河内長野市では「空き家バンク」と呼ばれる、市が空家の売却・賃貸の仲介をするサービスあります。これは非常に有効な政策であることは評価しますが、中身はなっていません。
2014年8月現在の物件登録数はたったの4件で、ほとんど機能していません。加えて、ホームページでの紹介も雑で、いちいちPDFを見なければならないという適当さです。不動産のホームページを見習ったらどうでしょうか?見る人の気持ちになってみれば、すぐにわかる話です。なお、いい例としては綾部市の「定住サポート」というサイトは、魅力的だと思いました(検索は少し使いづらかったですが)。

そして、一旦空家になってしまうと、所有者はそれをどうこうする機会を失ってしまいます。市としては、積極的に所有者に働きかけ、市がバックアップすることを説明していく必要があります。うまく循環するように、不動産の流動化を促すことが大切でしょう。すれば、強制撤去のような無駄な税金を投入する必要もなくなるはずです。

住宅を売りやすい買いやすい街へ
更地にすることで課税が6倍になることが、空家の対処を躊躇わせていると述べました。この問題を解決するためには、空家の状態のままにすると1年ごとに住宅の税軽減措置を弱めていったり解体費を補助したりする制度など考えられる方法はいろいろあると思います。売りやすい・貸しやすい環境にしていくことが必要でしょう。
また、買いやすい環境も大切です。住宅を売却、購入時にリフォームを行う場合にかかる費用を補助するなど、河内長野市の住宅を買いたくなる政策をもっと進めていくべきでしょう。

特に車が必要な郊外ニュータウンに住む高齢者は、運転ができなくなると途端に不便になります。それを見越して50代後半から市街地に移り住むケースも近年多く見られます。
とすれば、家を若い人に貸出して、自身はマンション等にダウンサイジングしたいと思う人も決して少なくないのではないでしょうか。そういう多様な手段を用意し、サポートするぐらいの柔軟さがあってもいいと思います。

まとめ
今重要な選択が迫られている河内長野市ですが、人の気持ちになって考えれば、改善していくことができるはずです。そして、次回は買い手の気持ちになって、町全体を見てみたいと思います。

最後に、河内長野市と箕面市の引越し関連のWebページを見比べました。
ーどっちに住みたいと思いますか?
河内長野&箕面HP
なぜ河内長野市の人口は減り続けるのか?
-現状と将来についてを「統計」で考えよう。

以前、河内長野市の人口問題について取り上げましたが、推測の話が多く、曖昧になってしまいました。よって今回は、しっかり考察しながら「統計」でお話ししようと思います。


2014年6月現在の河内長野市の人口は、108,541人(43市町村中 20位)。南河内地域では比較的多い部類です。
しかし、ここ数年の間に、急激な人口減少が続いています。2010年の国勢調査によると減少率は、府内ワースト4位とトップクラス、市部では最下位です。(ワースト3は、能勢町・豊能町・千早赤阪)

そうして、「人口の減る町」のレッテルが張られてから、これまでの4年間は、さらに加速的に人口が減少しました。となると、思うことはひとつです。
・・・河内長野市はこのままで大丈夫なのか?

河内長野市の将来
市内では、人口が減っていることに対する危機感は、ほとんどないように見えます。実際、現時点ではサービスも充実していて、国道沿いには店が賑っていて、車さえあれば不便しません。
持ち家率78.7%ということもあり、比較的裕福な市民が多いのです。

しかし、このまま人口が減り続けるとどうなるのしょうか。総務省が発表した「人口予想」によると以下のグラフになります。

河内長野市の人口予想

2040年には最盛期の半分近くにまで減少すると予想されています。

しかし、問題は2010~14年の確定値が、若干予想値よりも早いペースで減少していることです。これを延長すると点線のような傾きで減少が進むこととなります。

これでお分かりいただけたでしょうか。
河内長野市の人口減少問題が待ったなしであるということ。

人口増減の中身のほうが大切
ただし、「人口が減っている→悪い」というのは安直な考えです。その裏に潜んでいる人口増減の特徴を知ることが大切です。
ここでは特に「出生数」と「社会増減数」について、考えてみたいと思います。

以下が大阪府内の市町村を比較した、出生・社会増減の評価表になります。
出生数は、生まれた子どもの数 【出生%=出生/人口×100】。
社会増減数は、引越し(転出・転入)した人の数 【社会増減%=社会増減数/人口×100】。
評価は、あくまで目安【評価(合計値)=出生%順位+社会増減%順位】。

河内長野市はまたしても市部最下位です。ですが出生数は他市と比べて、それほど低くはありません。
つまり、色々なところで言われている「河内長野市は子どもが激減している」というのは、むしろ大阪府全体の傾向であることが分かります。

では、社会増減はどうなのかというと、これはヒドイ。その内訳のデータがないので、判断しずらいですが、以下のグラフから大体推察できます。

社会増減%が「-2.31」になったのは、上左図より「転入(引っ越してくる人)数が減っていること」とが原因と読み取れます。転出(引っ越していく人)数は増えているのかというと、そんなことはなく、ほぼ横ばい(やや改善傾向)のようです。
また、上右図より「転出数の多い年齢層は、20~35歳」と推定されます。

つまり、ニュータウンを実家にしていた20~35歳の独り立ちによって、転出数は常に一定数ある。それに対して、新築住居の減少によって、転入数が減り続けている構造が悪さをしていると考えられます。
そして、よく聞く「人口流出が進んでいる」という言葉には誤りがあり、正確には「引っ越してくる人が減っている」と表現されるべきでしょう。それを正しく認識することに、社会増減%の改善につながる重要なポイントがあると思います(次回詳しく取り上げます)。

(追記2014/7/30)ちゃんと以下のようなデータがありました。これを見ると、先述の推定は正しかったようです。
意外な点としては、小学生になる6歳あたりで転出が多いこと、85歳以上の転入者が多いことでしょう。
5-9歳の転出者が多いということは好ましくありません。まるで暗に「河内長野市の小学校には行かせない」と言っているようなものです。まあそのぶん転入者も多いのですが、もっとよく考えてみる必要がありそうです。
85歳以上の転入者が多い理由には、介護等の理由で引っ越してきたと考えるのが妥当でしょう。将来的に増減するのかは気になるところです。
全体的にあまりよくない数字が出ていますが、0-4歳は転入のほうが多いことは唯一の救いです。もっと子育てにやさしい市にしていきたいところですね。
河内長野市の社会動態

人口減少より少子高齢化が問題。
人口が全年齢で均等に減少すれば問題はありません。それより、高齢者が増えて、若い人が減るケースが最悪です。福祉で多額の支出・税収は減る一方では財政破綻です。
では将来の大阪府はどうなっているのでしょう?2040年にタイムスリップして、先ほどの人口予想を、もう少し紐解きましょう。

以下は、少子高齢・人口減少別に分類した、2010年()と2040年()の「年齢別人口比」です。
大阪府の年齢別人口予想(2010-2040)財政破綻する危険度は、左から右に向かって低くなります。河内長野市は、かなり危険な位置にあります。人口は全体的に減るのに加え、際立った少子高齢社会になっています。
特に他市に比べて40-50代が少ないため、他市より早く財政危機に陥る可能性があります。やはり、河内長野市にもっと転入者が来るような努力をしないと、市が成り立たなくなってしまうようです。

まとめ「やっぱり危機的な状況に変わりはない」
何が危機的な状況なのかというと、市役所や市議会、市民までがこの現状を見て見ぬふりをしていることでしょう。どうも「なるようになるでしょ」と思っている人が多いように感じます。このままだとなるようになりますよ、総務省の予想通りに

では、どうすればいいのかというとを次回に、「人口減少解決のカギは家にあり?」で取り上げたいと思います。

(2014/7/28追記)「人口増減の中身のほうが大切」の社会増減の考察において、関係のない死亡数(自然増減)の記述があったため、訂正しました。申し訳ありませんでした。
今回取り上げるのは、前々回に予告した「独自の計画道路」案です。前回は唐突に「人口の話」で予告を無視してすみませんでした。緊急性の高い話題でしたので、よければそちらも覗いてみてください。

で、独自の計画道路案ですが、簡単に言うと「個人的にあったらいいなー」と思う道路ですね。私的極まりない妄想道路とも言えますw
ですが、ここで提案する「河内長野市の問題点」は、妄想などではありません。これらの課題について、みなさんも一緒に考えてもらえればと思います。

長野三日市線 (独自計画道)長野三日市線
路線:右図の緑線。
目的:長野と三日市を結ぶ道路を天見川沿いに設置する。
現状:
 ①長野と三日市間をつなぐ道路は、R371旧道と大師町・日東町を通り抜ける市道のみである。よって、R371旧道は渋滞が頻発しているほか、大師町・日東町の住宅地内を抜け道として多数の車両が進入している。
 ②また、長野-喜多町間は、駅近隣であるにも関わらず、1.0車線の狭小路しかない。これを拡幅しようにも、住宅が密集しており、かつ高野街道の歴史ある街並みが損なわれるため、実現性が低い。
 ③長野公園入り口から清教学園までの歩道は、白樫の径として通学路に指定されているが、大雨等で崩落するなどの危険性があり、改修することが求められている。
対策案:
 以上の問題点を解決するため、右図の緑線のルートを設定した。ほとんどが現在の空き地を転用している。ただ、法面やガード下、堤の整備と1ヶ所架橋が必要になるため、コストは低くない。天見川ショートカット工事による未使用部も利用している。

(独自計画道)新長野商店街通り
新長野商店街通り路線:水色のエリア付近
目的:現在の長野商店街に代わる新商店街通りを設置する。
現状:
 現在の長野商店街は、南西-北東の向きになっているが、そのルート(黒線)は駅利用者にとって、遠回りにしかならず、非常に利用しずらい
 これは、昭和中期に既存の街並みをR310・R170が斜めに縦断するように工事され、通りを複雑にしたことに起因している。その後も区画再整備は行われず、商店街は実質行き止まり道のようになっている。よって、人通りは少なくシャッター街化し、年々店舗は取り壊される一方である。
対策案:
 R170と並行に新商店街通り(青線)を設置しする。これによって駅からラブリーホール方面に向かう歩行者が通行するようになり、通りは活性化すると考えられる。また、駅の北側階段を降りるとノバティ裏側から直接つながっているので、アクセス性が大幅に向上する
 これを実現するには、大規模な再開発が必要であり、少なくとも水色エリアがこの計画に影響すると考えられる。ただし、現状の商店街の通りでは、いかなる対策をもっても活性化は見込めないため、このような抜本的な改革が必要なことに変わりはない。


ほかにも、独自提案があるのですが、文章に起こすほどでもないので、「都市計画道路図」でご覧いただけたらと思います。