こんばんは。
漫画家のかつしかぐれです。
漫画を描くことが好きで、創作が大好きです。
昼間。書店の仕事もしておりますが。
書店の仕事もとても好きです。
三月になりましたね。
十年前の三月。
私は新人の書店員として店頭でいろんなことを教えて頂いておりました。
そのことを、ふと。思い出します。
書店の仕事というのは、どちらかといえば大変な方で。
けしてお給料がめちゃくちゃいいというわけでもない。
どちらかといえばブラックに近い部分も強く。
苦しいこともあります。
好きだから続けているけれど。
好きだから苦しいこともある。
「今日、退職届をもって、あとは上司にいうだけだ」
「いまだったら別の職種を探せる。もっといい職場はある」
そう思うこともありますし。
実際、そうしたほうが良い時もあります。
好きだから続けているけれど。
好きだからなんでも耐えられるわけではない。
苦しい時はさることだって大切です。
けれど。
退職届をもって。出勤して。
最後の仕事のつもりで朝の入荷段ボールを開ける。
そこに。
「これ、仕掛けてみたい」
「この本、面白そう」
「これ、お客様が好きそう」と。
思ってしまったら、もう最悪です。最後です。
そのまま普通に仕事して発注して本をならべて接客して。
また、明日も本を並べるつもりになってしまうことがあるのです。
やめたいのにやめたくない。やめられない。
やめたいけれど、ここに本があるからやめたくないやめられない。
本をしかけたい、と。涙を流すことがあります。
そういうときに絶望にも似た気持ちを抱きますが。その気持ちでぎりぎり本屋を続けたくなってしまうのです。
好きだから、本屋にいます。
(反対に、そう感じられなくなった場合はやめた方が良い時だと思っております)
誰かの作った本が。
誰かの作ったお話が。
やめられない、理由でもあります。
本屋はけして楽しい仕事場ではない、という時もありますが。
それを辞められずにいる人たちの中には。
誰かの作る本があるからなのです。
創作をすることを悩む方や、本を出す方。
たった一冊の本の売り上げは利益として低く、ちっともつかめないものだと思いますが。
たった一冊の本があるから。
頑張れるときも、あります。
自分も創作を頑張ろうと思いますし。
創作を頑張る方に。
いつもありがとうと思います。