★ 教師時代から続けてきた100題計算。
これは、どの教室でも、どの学年でも取り組める、私の中では算数の時間での大きな「計算の柱」でした。
算数の時間のはじめの5分を使ってやっていました。
係りの子がプリントを配り、ストップウォッチを用意して、「用意はいいですか。」「はい!」「用意スタート!」で始めます。
教室内は、鉛筆のはしる音だけがコツコツとするだけ・・・。
ストップウォッチのピピピ・・・で終了。
すぐに班で集めて、提出。そして、その日の授業に入っていきました。
毎日毎回、題数を記録して、上がった子にはハナ丸をつけてほめ、下がった子には一言添えて励ましていました。
小さな学年のほうが、毎日「昨日よりあがること」をめざして、意欲的だったように覚えています。
高学年だと、自分の題数がなかなかあがってこないこともあって、自分の能力を決めてしまっているような感じがしましたね。
でも、そのことで、呼び出しては、その子と一対一で話す機会をつくるきっかけにもなり、生徒指導としても役立つことがありました。
減ったり、増えたりの激しい子は、やはりそれだけ気持ちも落ち着いていない証拠で、後で聞いてみると何か出来事が他でおこっていた・・・ということもありました。
2年生の子で、くり下がりの引き算がなかなかできず、題数が上がらない子には、帰りに「うちでもやってごらん」とプリントを渡し励ましたりしていたら、半年くらいかけて100題達成した子もいたりしました。
これは感動でしたね。
やっぱり「子どもはできる!」と教えてくれた子でした。
がんばり塾を始めて同じようにやっていますが、これがまたいろんなことがわかってきました。
学級でやるのとはまた違った効果が、一対一だと目の前で確かめることができ、大きな驚きとともに新しい子どもの姿を感じることができました。
その効果について書き綴った「応援団」NO.26でした。
このことは、半年たった今も感じることができます。
「一対一」の効果の大きさを・・・。
応援団NO.26 <100題計算の効用について・・・ >
がんばり塾でやっている100題計算。以前にもその意義と効用についてお話しましたが、さらに私が子どもといっしょにやっていて最近気がついたことをお話しましょう。
今現在、1年生から5年生までのお友達が、がんばり塾に来てくれているおかげで、100題計算の種類もずいぶんと増えました。
その種類は、
①「その子の今現在の力に合うように」と、
②「続けていくことでゆくゆく期待できる計算力を養うために」の二つのねらいがあるからです。
これは、子ども達のそれぞれの計算力を見ていて、「今この子にはどのプリントがよいか」を考えて作っているからです。
それが不思議なことに実際5分やっているのを見ているときに思いつきます。
子どもの姿から教えられます。
今、下記のように100題計算は作ってあります。
ファイルでありますから、必要ならコピーしますよ!
(フロッピーでもプリントでも!)遠慮なく!
・ たしざんのはじめ →数のしくみをいれた順番にたしていくことができるためのもの
・ たしざんのはじめ、バラバラ →上の式がばらばらに並んでいるもの
・ たしざん(くりあがりあり) →すべてくりあがりのもの
・ ひきざんのはじめ →数のしくみをいれた順番にひいていくことができるもの
・ ひきざんのはじめ、バラバラ →上の式がばらばらに並んでいるもの
・ ひきざん(くりさがりあり) →すべてくりさがりのもの
・ かけざんのはじめ →かけざんの仕組みがたしざんから成り立っていることがわかるもの(順番に並んでいる)
・ かけざん
・ わりざん(筆算までの基礎) →暗算でできるものの基礎
・ わりざん(わりきれる)
・ わりざん(あまりのあるもの)
基本的に上から下へ難しくなっています。
始めは、四則(しそく)(たしざん、ひきざん、かけざん、わりざん)の4種類でしたが、みんなのおかげでこんなに増えました。
できるだけ、その子にあったプリントを用意したいと思ってどんどん作っていったら、こんなにも増えました。
私が、教師になって4年目の夏に市の教育研究発表会で学校代表で提案することになったとき、県外の研修へ行かせてもらってヒントをもらい私の100題計算は生まれました。
今から少し前「陰山教育」というのがはやりましたよね。
それのひと昔前のことです。
その100題計算は、マスめ式の100題でした。
私はマスめ式はあまり好きではありません。
計算するほうも目があっちこっちします。
やりかたを覚えるまでにいやになってしまいます。
答えあわせをするほうも結構大変です。(というか、私自身が苦手です)
・・・ということで「普通の式」で「答えを考え書くことだけに集中できる」今の100題を考えました。
この100題には、すべて考えられる答えが、それぞれの種類のプリント一枚に盛り込まれています。
ですから、もれのない問題+αで100題になっています。
たとえばかけざんでしたら、九九81題+19題で100題。
くりさがりのひきざんも11-2から18-9までの問題とあと間違いやすい問題で100題、という具合です。
陰山教育にもありましたけどね。
事実は、それよりももっと以前に岸本裕史という先生が提唱していました。
私はそれを参考にしました。
作るだけでは話しになりません。実践です。
「毎日学校で100題、家で200題」というのが当時の提案でしたが、今の子ども達の実態から「家で200題」というのは酷なことでした。
それで、「せめて学校で毎日100題」をかかげ、算数の時間の始まりの5分を毎日のように使ってやり続けました。
ひとつずつ答えあわせをしていては、どれだけ時間があっても足りません。
だから、私は、「題数」だけにこだわり、合っているか違っているかは同じプリントを30枚見ていたら、「あれ?」と気がつくものです。(ここがプロ!)
それより同じプリント同じ計算で毎日やれば増えるに決まっています。必ず。さぼらない限り。
だって同じ問題が同じように並んでいるんですから。
この「同じ問題が並んでいる」というのに意義を感じない先生が多かったですね。確かにそうかもしれません。でも、「ねらい」が違うと私は思っていました。
それで、
「昨日の自分の題数よりも一題でも増えるようにがんばろう!」
「お友達と比べるんじゃなく昨日の自分と競争しよう!」
と唱え、励まし、続けました。
私は、題数を記録し変化の大きい子には声をかけたり、一題でも増えた子には「いつかできるようになるからね!」と言って励ましました。
これは退職まで担任した学級で毎日取り組みました。
実際「実践」というまでたどりつけたのは2年生での「くりさがりのひきざん」と6年生での「あまりのあるわりざん」でした。
「5分間」といいますが、今の子ども達、本やゲーム以外で一日のうちに「5分間」集中して何かに取り組むことがあるでしょうか。
「この100題計算は、集中力や根気強さ、ひらめき、瞬発力など、計算力以外についてくる、伸びてくる力があるんだよ」
と教室では話し、これまでの実践で私はその効用を実感してきています。
自信をもってそれが言えちゃうんです。
この100題計算で、ぐんと伸びて、自信をつけ、他の教科への取り組み、成績も伸びてきた子を私は多く知っています。
「じゃあ、学校全体でやればいいのに。」と思いますが、そこは悲しいかな、学年・学校での研修とかに縛られて思うようにいかないものなんですよねぇ、これが。
私の力不足としか言い訳がみつかりません。
でも今は、がんばり塾の子達といっしょに、少しずつ歩めていけていることがとても幸せです。
その伸びが目の前でみることができるのですから!
夏休みもがんばります!
「今やっている100題、おうちでもやりたい!」
という子はいつでもわけてあげますよ!
おうちでも続けてみよう!
★ 実際今、4年生でかけざん九九をがんばっている子がいます。
半年続けてきて、やっと5分で70題できるようになってきました。
この事実を、どう受け取るかです。
「4年生で九九とは、どういうこと?」
と言ってしまうことは言ってられません。
その子は一生、九九を使うことなく、計算は苦手と思って過ごしていくことになります。
そのことがわかっているのですから、ほっておくことはできません。
学校では、もっと難しい授業を聞いて?耐えているのだと思います。
学校という多人数の場所では、なかなか「一対一」で取り出して指導することが難しいのは、私はよく知っています。
だから、今、その子は、自分のめあてを「かけざん100題達成」めざしてがんばっています。何年生なんて関係ないですよね。「その子」のめあてなのですから。
私は、それでいいと思っています。
私は、そうやってして、「その子」ひとりひとりに合った課題をみつけ、教材を作り、いっしょに考えながら見守りながら、目標に向かっていきたいなと思っています。
そして、いつか、きっと、いっしょに笑顔で喜べる日が必ずくると思っています。
そんな気持ちを忘れず、この「がんばり塾」を続けていきたいと思っています。
「がんばり塾」で、
宿題のあと、練習している「100題計算」。
その子その子にあわせて、
たしざん、ひきざん、かけざん、わりざん・・・
一番取り組みやすいもの、
その子の課題に合ったものを選んで
毎回続けています。
週一回でも、子どもたちは
かぶりつくように5分間、
息つく間もなく解いていきます。
その集中力には感心します・・・。
きっと私にはそこまでできないだろうな~と
いつも思っています。
やっぱり、子どもって、すごい!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
(2007年11月9日の記事です)
応援団NO.26・100題計算の効用について・・・
応援団長より
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この前、中学へ進学した
以前の塾生の子がお手伝いにきてくれました。
「久しぶりに、いっしょにやってみる?」
と言って、100題わりざん(あまりあり)を渡してあげました。
その子は計算も得意で
塾に来ていた6年生のときは
100題のプリントは、5分で二百何題かできる
優秀な子でした。
やりだしてから、
「あれ、おかしいな?」
「ぼくって、こんなにできやんかったかな・・・?」
とぶつぶつ言っていました。
結局100題までもいけなくて
「あれ~?」
と不思議そうにしていたので、
「それはね、算数と数学の違いだよ。
しばらくやってなかったことと
もう数学の思考のほうに慣れてきているからだよ。
だから心配することないよ」
と声をかけてあげました。
「そっか~、そうかもしれんな~」
と納得していました。
私もその違いに少々びっくりしましたが、
でも、やっぱり算数と数学の違いに
あらためて考えさせられたひとコマでした・・・。
100題、おそるべし!
継続は力なり・・・!
・・・ですね!
(o^-')b