ロイヤルバレエ、ミックス・ビル | WITH HOPE!!

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在英14年目、イギリスの生活を愛し、楽しんでいるMiyukiです。
イギリスで細々と演奏活動をしているので、クラシック音楽の話題、日常、イギリスの姿をお伝えしたいと思います。
バレエが好きで、ロイヤルバレエの公演を主に観ているので、その感想も。

夏時間も残すところあとわずか。 日曜日からは、今よりも1時間日が短くなるので、つらい冬が目の前です。 一昨日は夜中に足が冷たくて起きてしまったから、昨日はホットウォーターボトルの出番でした。 昨夜といえば、夜11時頃だったと思いますが、2時間近く、我が家一帯が停電。 直ったと思ったら、再び停電でした。


 今日は一週間ぶりのオペラハウスでした。 2週間前から続いているミックス・ビルです。 このビルも今日を入れて残すところあと2回。


 『ラ・ヴァルス』 アシュトン振付、ラヴェル作曲


 フランチェスカ・フィルピ、ベネット・ガートサイド

 クリスティン・マクナリー、ヨハネス・ステパネク

 ディアードル・チャップマン、トーマス・ホワイトヘッド


 他


 相変わらず、幕が上がる瞬間、どきどきして、目の前の光景に目が吸い込まれます。

 この作品は、今日が一番そろっていなかったかも・・・ たいていは、回を重ねるごとによくなるのですが。 群舞の男性には、3人くらいはスクール生が入っていた模様。 特に、エリック・アンダーウッドの代わりに今日踊っていたロイヤルバレエスクールのブランドン、彼は夏のスクール・パフォーマンスで目を惹きましたが、今日も、団員の中に混ざっていても、華があるダンサーで、足もきれいですし、目を惹きました。


 プリンシパル・ダンサーが1人も出ていない舞台ですが、それでも、あれだけのものをつくりあげる。

 残りあと1回、何度観ても飽きません。



『Invitus Invitam』 キム・ブランドストラップ振付、 クープラン作曲


 リヤーン・ベンジャミン、エドワード・ワトソン

 クリスティーナ・アレスティス、ギャリー・エイヴィス


 未だに何が何だかわからないながらも、リヤーンとエドの踊り、表情は毎回面白みが増しています。

 


『Winter Dreams(三人姉妹)』 マクミラン振付、チャイコフスキー作曲(編曲)


 オルガ: イッツィアー・メンディザバル

 マーシャ: タマーラ・ロホ

 イリーナ: ラウラ・モレーラ

 クリーギン(マーシャの夫で、学校の先生): ジョナサン・コープ

 ヴェルシーニン: ネーマイア・キッシュ


 ツーゼンバッハ(イリーナを愛している): ヴァレリー・フリストフ 

キャプテン・ソルヨニー(イリーナを愛している): セルゲイ・ポルーニン


 他


 

 この作品については、周りをみると、好き嫌いがはっきりしていますが、私は大好きです。 やはり、私が大好きなチャイコフスキーの曲で、多くをピアノソロで踊る、というところもあるのかもしれません。


 このキャストについての分はここには書いていませんが、10月16日に踊ったキャスト。

 このキャストの三人姉妹は、全員スペイン人。 オルガを踊った、今年からロイヤルバレエに移ってきたイッツィアー、メリハリがあるダンサー。 見ていて気持ちがよい踊りをします。

 

 マーシャのタマーラ、前回に比べて、今日のほうが好みです。 ただ、足音がやたらとうるさくて気になるのだけが残念。 彼女が作るマーシャは、最初は夫のクリーギンに悪いな、と思っている。 でも、徐々にヴェルシーニンしかみえなくなってくるのです。 

 最後のロマンス、ヘ長調+歌曲編曲でのパ・ド・ドゥは圧巻。 ネーマイアもだいぶ表情を出すようになってきたので、タマーラに導かれて、段々パッショネイトになってきました。 それでも彼は、今のところ表情はあるものの、そこまでではないので、5月にマリアネラと『マノン』でデビューする際、きっとマリアネラが彼のことを引っ張って、表情も増えるのでは?と期待しています。踊り自体はきれいなダンサーですから。

 

 そして、感慨深い、というか驚くのは、セルゲイ。 夏にプリンシパルに上がって、今までのひょろひょろとしたイメージからだいぶしっかりとしたイメージになってきました。 まだ、20歳くらいですし、男の子はまだ体ができあがっていなかったのかもしれません。

 演技もよくなってきたし、今までハラハラしながら観ることが多かったパートナリングも安定してきました。 


 

『テーマとヴァリエーション』 バランシン振付、チャイコフスキー作曲(組曲第3番より)


 セーラ・ラム、 スティーブン・マクレー


 ユフィ・チョイ、 蔵健太

 高田茜、 ヨハネス・ステパネク

 イッツィアー・メンディザバル、 ベネット・ガートサイド

 サマンサ・レイン、 ヴァレリー・フリストフ


 他


 ダンサー同士を比べることは好きではありませんが、先週、あのきらきらとしたマリアネラの舞台を観た後なので、何かが物足りない。

 夏前よりも更に痩せたセーラ。 16日に彼女をこの作品で観た時には、トウシューズにきちんと体重が乗っていないし、ジャンプもできないし、ということで心配しましたが、今日はそれは解消されていてほっとしました。

 

 スティーブンは、この作品がとても似合います。 ソロの最後、ザン・レール(ジャンプして、空中で回る)2回転+地上でピルエット(回転)1回転、というのを続けて8セット繰り返すのですが(最後はピルエット無し)、これが圧巻。 8回、全てが体力衰えることなく行われます。 でも、今日はこの部分、かなり音楽のテンポを上げていました。 音楽的におかしいほどだったので、これはスティーブンの要望であのテンポになったのかな?と思いました。 18日には、ネーマイアが途中で止まるか?という感じだったので、テンポ的には、これくらいの速さがちょうどよいのだと思いますが、音楽的なことを考えるとどうだか・・・ だからといって、全体的に音楽を速くすることはできません。 これ、やはり難しい問題だと思います。


 それにしても、スティーブンはやはり昨年都さんと組んで踊ってから、パートナリングが以前にも増してたくみになりました。 セーラとスティーブン、身長的にはかなり厳しいと思うのですが、それを感じさせないパートナリングです。 


 この1週間、頭の中にこの音楽が鳴り響き、目を閉じると、先週のマリアネラの舞台が浮かび上がっていました。 あの時、マリアネラは彼女自身が音楽でしたから。 とってもとっても素敵な作品です。 2月だったか、3月だったか、アメリカン・バレエ・シアターがサドラーズ・ウェルズ劇場でこの作品を上演するので、他のバレエ団でこの作品を観るのがそれはそれで楽しみです。