キルトと『ラ・シルフィード』 | WITH HOPE!!

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在英14年目、イギリスの生活を愛し、楽しんでいるMiyukiです。
イギリスで細々と演奏活動をしているので、クラシック音楽の話題、日常、イギリスの姿をお伝えしたいと思います。
バレエが好きで、ロイヤルバレエの公演を主に観ているので、その感想も。

 スコットランドの民族衣装であるキルト、色合いがいろいろとあって憧れ。 

 一昨日のロイヤルバレエの公演の『ラ・シルフィード』、キルトを履いた人がたくさん出てくるのですが、ここで一つ感心したことが。 それはキルトの使い方。

 

 私はイギリス滞在1年目をケント州のホストファミリーの家で過ごしたのですが、彼らは(詳しく言えば、再婚家庭だったので、奥様と子供たち)はスコットランド人。 もちろん、家にはキルトがありました。 私はそのキルトの色合いが好きだったのですが、そこで言われたことは、キルトの柄(色)というのは、氏によって決まっているそうです。 日本の家紋のようですね。

 

 『ラ・シルフィード』、これはスコットランドに住む、ジェームスという青年がエフィーという女の子と結婚する当日、一人で暖炉のそばの椅子に座って寝ていると、シルフィード(妖精)が現れて、彼女に心を奪われる。 

 そのうちにエフィーを初めジェームスのお母さん、友達がやってきて、喜んでいるところへ、老婆が入ってくる。 彼女は手相を読むのですが、エフィーの手相を見て、彼女はジェームスとは結婚しない、と言うのです。 それを見ていたジェームスからエフィーを取り上げたい、と思っていたガーンという男の子が自分の手相を見てもらうのですが、その結果が、エフィーとガーンが結婚する、というもの。

 この後すぐにエフィーは結婚式の為に着替えに行き、みなも部屋から出て行ってジェームス一人が残っていると、再びシルフィードがやってきて、悲しみます。 ジェームスを愛するシルフィードは、『あなたはあの子と結婚するのでしょ。』それを見たジェームス、慌てて、『君の事を愛しているよ』。 全くどうにもならない男。 シルフィードはジェームスに『自分が生まれ育った森に行きましょう』とジェームスを誘います。

 

 そのうち、ガーンを初め、友達が戻ってくるので慌ててシルフィードを椅子の上に隠して、上からブランケットをかけるのですが、それを見た友達がブランケットを外すと、もうシルフィードはいない。

 結婚の衣装に着替えたエフィー。 彼女は、ジェームスとおそろいのキルトを履いています。 ここで、彼女がジェームスと結婚して、ジェームスの家のキルトを履く、ということがわかります。 

 

 ここで、皆でスコットランドの踊りかな、と思われる踊りを。 これが私は4回観てもまだ見たい位好き。 というより、民族舞踊が好きな私は踊ってみたい。 この踊りの間にも2度ほどシルフィードが現れ、ジェームスは彼女を追いかけてしまいます。

 踊りが終わって、エフィーが隅の方でヴェールをつけてもらっている時、再び、シルフィードが現れて、ジェームスも一緒に森へ行ってしまいます。

 エフィーのしたくができて、乾杯する時になって、ジェームスがいないことに気が付いた人々、慌ててジェームスを探すのですが、見つからない。 最後はエフィーはヴェールを外し、力なく泣き崩れ、その床に落ちたヴェールをガーンが拾ったところで第1幕が終わります。


 第2幕の始まりは、老婆が怪しい雰囲気の中、白いショールを大きなお鍋の中で煮ている場面から始まります。

 その後は、妖精たちの踊り。 第1幕の時からジェームスはシルフィードを捕まえたくているのですが、彼女に触れることはできません。 

 そうこうしているうちに、ガーン、エフィーなどとジェームスの友達が、ジェームスを探しに森へ来ます。 そこに現れたのが老婆。 力なく木の株に座っているエフィーの前にガーンの膝を着かせて、結婚させます。

 

 彼らが去った後、ジェームスが現れ、老婆に、『シルフィードを捕まえたいか?』と聞き、『Yes』と答えたジェームスに、例のショールを渡して、シルフィードの腕に巻きつけると、彼女を捕まえることができる、と教えます。

 言われた通りにシルフィードの腕にショールを巻きつけると、彼女はだんだんと息が怪しくなり、弱りながら背中に生えた羽を落として、死んでしまいます。

 呆然とするジェームス。 そうしているうちに、森の中を、ガーンと結婚したエフィー、ジェームスのお母さん、友達などが和やかに通り過ぎていきます。 ここで、エフィーはちゃんとガーンと同じキルトを履いていました。

 これを見てショックを受けたジェームス。 老婆が現れて、ジェームスは老婆に怒るのですが、彼女に倒されます。 無理やり起こされて、天国へと上がっていくシルフィードを見せられ、最後は(多分)ジェームスも死に、それをみて泣く老婆、ここで幕が下ります。


 一度、ちゃんとプログラムのあらすじは読んだのですが、細かいところは私が舞台のマイム(バレエの言葉)を見ての解釈です。 ちょっと間違っているところもあるかもしれませんが、大筋はあっているはず。

 結局、ジェームスは二兎を追うもの一兎も追えず。 


 白鳥の湖の王子もジェームスに近い部分があるのですが、『ラ・シルフィード』の方がもっと深刻なように思います。


 『ラ・シルフィード』がスコットランドを舞台にしている、ということにあわせてか、何人かオペラハウスにキルトを履いて着ていた人も見かけました。 その一人が私のホストファミリーと同じものだったので、思わず名前を呼んでみたくなりましたが、やめておきました。