東大2017年物理第2問の定性的解法 | 受験で実力を得点に変えよう(家庭教師の心がけ)

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家庭教師歴約25年。医学部東大など難関大学受験生中心に教えてきました。ちょっとした工夫でケアレスミスを防ぎ実力が点数に反映させる実践的方法や受験生の質問の多かったポイントや過去問などのブログにする予定です。ご連絡あればkatekyo424-public@yahoo.co.jpまで。

今年度の東大の問題は物理も化学もかなり解きやすくなっていました。理系が苦手で英語が得意な生徒は、基礎力と頻出ポイントの応用だけである程度拾えば合格点に最小限の努力で届く戦略がある程度有効だったのですが、この感じが続くとすれば修正を迫られそうです。


理系科目全体的に点差が段階的につく問題になったので、ある程度の力がないと勝負にならなそうですね。ミスの影響もより結果に影響しそうです。最初は簡単になったなーと思ったのですが、よく考えれば良い傾向なのかもしれません。簡単になったとはいえ、めちゃくちゃ問題のクオリティーが高いのはさすがです。


今回は東大の今年の物理の2番をとりあげてみます。これは単振動に空気抵抗といった抵抗力を加えて振動を減衰させる減衰振動、減衰振動に外力を与えて振動させる強制振動といったものを大学でやるのですが、

単振動→単振り子
空気抵抗→抵抗
強制振動外力→交流電源

に置き換えたモデルにして、問題文で現象を巧みに固定し、簡単に考えられるようにすることで、面倒な微分方程式を解かずにエネルギー保存の視点から考えられるように作ってあります。


この難しいテーマで、物理の基礎力で大半が解ける問題を作るあたり「さすがだなー」と思いましたが、減衰振動は抵抗力が大きすぎると振動できなくなるとか、問題文によって同じ角振動数の強制振動を与えているあたりとか背景を知らないと、問題文のクドさが気になったかもしれません。


この問題の悩むポイントはおそらくIの(3)とIIIの(3)で、定性的な考察のポイントをどこに絞るか判断するのが難しい問題だったように思います。特に最後の問題はちゃんと考えても定性的な説明可能領域の限界を超えている気がします。。。完璧に定性的な理解で解くという条件下では超難問で、定量的にやると時間がかかる問題だったように思います(定量的解法でやると、ブランコの周期に対する抵抗の効果を考慮しないことが振幅への影響を考える上ですごい大事なのですが、ここを定性的にどう表現するかが悩んでいるポイントです)


実際の試験時間中は深く考えられないので勘で当てた人も多かったかもしれません。抵抗をR→2Rに変更した時に、何が変わっていないのかを初見でどう判断していくかが大変ですね。


僕はIの(3)は時間の情報が欲しい→電力に着目する→電圧と電流のどちらが一定になるか考える(ここでん?となる)→それぞれの抵抗の現象から同じθ=0の状況を想像するという流れで考えました。


IIIの(3)の方は問題文の誘導からi=0であると判断し、十分に時間が経った時にi=0からジュール熱は発生せず、交流電源の仕事の増減によって単振り子の位置エネルギーを増減させているととらえさせるのが出題者の想定だと考えています(違うかも)。


IIIの(3)の方の問題の初見では、微分方程式の組み立てから定量的に考えないとわかりませんでした。電流が流れていない中、交流電源の仕事が単振り子に伝わることを定性的に説明するのは無理があるので、どうするべきか今も悩み中です。これは定量的な物理の理解がなければ、「抵抗からジュール熱が発生しないので、交流電源のする仕事は、全て位置エネルギーに反映せざるを得ない」といった感じの消去法でごまかすしかないのかなー?


また時間ある時に、ある程度微分方程式理解している人用に、この問題のI(3)とIII(3)の僕が実際やった定量的な解析も清書してアップします。普段単振動を微分で理解している人にはそちらの方がわかりやすいはずです。


問題は予備校のサイトにあります。全体的には超良問だと思います!


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