今日からいよいよFP試験攻略に役立つ連載を始めます。この連載は、主にFP技能検定2級および3級向けですが、扱うテーマは、1級やCFP受験者も再確認しておいた方がよいことばかりですので、ぜひご覧いただきたいと思います。1級やCFPの問題も、2級や3級の知識の土台があって、初めて解けるわけですから!

さて、記念すべき第1回は、「ライフプランニングと資金計画」の分野から、6つの係数の覚え方をお送りいたします。この講座で取り扱う「覚え方」というのは、丸暗記のことではありません。ブログを始めた頃の記事でも申し上げましたが、私の覚え方の基本は、「理解して覚える」です。覚える事柄の意味や成り立ち、しくみなどを知り、それを理解することで覚える方法です。この方法なら、覚えやすいですし、忘れにくくなります。また、忘れたとしても、ちょっとしたきっかけがあれば、思い出せる場合が多いのです。

まさに、丸暗記とは対極にある覚え方です。丸暗記は、覚えづらい、覚えてもすぐに忘れてしまいやすい、忘れたら思い出しにくいというデメリットばかり。中には、丸暗記した方が早い事柄もありますが、それは最終手段。基本は理解して覚える方法で、この講座も進めていきたいと思います。

さて、本題に戻りましょう。6つの係数は、2級では必出事項でしたが、最近では3級でも出題されているようです。決して難しいものではないので、しっかりと身につけて、確実に得点してほしいところです。

6つの係数とは、「現価係数」、「終価係数」、「減債基金係数」、「年金終価係数」、「資本回収係数」、「年金現価係数」です。これらを身につけるポイントは、

①その字づらから、意味を推測・理解しやすい係数を、まずは覚える

②残りの係数は、①との関係から覚える

以上の2点です。では、具体的に見ていきましょう。

①字づらから、意味を理解して覚える係数

現価係数…「現価」は、「現在の価値」のことだと考えると、これは「現在の価値を知るための係数」、つまり、将来の価値=最終的な価値がわかっていて、その現在の価値を知りたいときに使う係数だと理解できます。

具体的には、複利計算における現在の金額=元金を知るときに使います。

終価係数…もうこれは簡単ですね。「終価」を、「最終的な価値=将来の価値」と考えると、「将来の価値を知るための係数」、つまり、現在の価値がわかっていて、最終的な価値=将来の価値を知りたいときに使う係数だと理解できます。

具体的には、複利計算における将来の金額を知るときに使います。

年金終価係数…「年金」とついているので、「年金」がどんなものかをイメージしてみましょう。「年金」は、毎月保険料を積み立てていって、将来、積み立てた額から少しずつ受け取ってていくものというイメージですよね?(公的年金はちょっと違いますが…)その「終価」、つまり最終的な価値=将来の価値を知る係数ということですから、「1回に積み立てる金額がわかっていて、最終的に合計でいくら積み立てられるのかを知るときに使う係数」ということになります。

具体的には、1回の積み立て額から将来の積み立て合計額を求めるときに使います。

資本回収係数…「資本回収」とあるように、「もともとあったお金を回収していく際の、その一回ごとの回収額を知るための係数」とイメージしましょう。

具体的には、住宅ローンにおける毎月返済額を求めるときなどに使うのですが、これは銀行からすると、もともとあったお金(=資本=融資額)を回収する際の、毎回の受け取り額を求めることに等しいですね。だから、「資本を回収する際の1回の回収額を知るための係数」と言えるわけです。

また、年金の原資(=資本)があって、1回に受け取れる年金額を知りたいときなどにも使われます。

これでもう4つ覚えられましたね? 言葉の意味をちゃんと押さえていれば、忘れることも、混乱することもないはずです。

② ①で覚えた係数との関係から覚える

残りは、「減債基金係数」と「年金現価係数」です。この2つは、字づらからは説明しにくいので、①で覚えた係数との関係から覚えます(ここは丸暗記に近いですね)。

減債基金係数…これは、年金終価係数と対になる係数です。つまり、「最終的にこれだけ積み立てたいという目標額があって、そのためには、1回に積み立てる金額はいくらにすればよいかを知るときに使う係数」というわけです。

年金現価係数…これは、資本回収係数と対になる係数です。つまり、「1回の回収額がわかっていて、最終的にいくら回収できるのかを知りたいときに使う係数」です。

具体的には、毎年これだけの年金を受け取りたいという額があって、そのためには年金原資(=資本)がどれだけの額あればよいか知りたいときに使ったり、住宅ローンにおいて、毎月の返済はこれだけにしたいという額があって、その返済額だといくら借りることができるのかを知るときに使ったりします。

「年金」とついているので、年金終価係数と対にしたくなるところですが、違います。ここが、6つの係数の1番のポイントでしょう。

いかがでしたか? 6つの係数があやふやだった人も、これでバッチリ覚えられたのではないでしょうか?

次回も、お楽しみに!