その中の一冊が宮部みゆきの楽園。
宮部みゆきは読みやすいし女性目線で優しいオチをつけてくれるから、ついつい手に取ってしまうのです。
今回のは、バカ売れした長編小説模倣犯のスピンオフ作品。
模倣犯とは中学生のころ出会って、瞬きも出来ないほどめまぐるしく展開する物語に、寝食忘れるほど夢中になって一気読みした記憶がある。
卓越した人物描写に中学生ながら舌を巻きましたわ。
楽園も様々な事件人物が複雑に入り組んでるんだけど、「シックスセンス」的要素が物語の重要なキーとなっていて、模倣犯とは一風変わった内容でした。
でもそれも短絡的でなくて納得出来る。
で。私があまりに共鳴し過ぎて痛く突き刺さったのは、土井崎茜をはじめとする女の抱える孤独。
なんだろね、ある種の(あくまである種の)女には生まれ育ち関係なく、魂の呪いと思えるような「寂しさ」がこびりついている、というか遺伝子として持って生まれてきてしまったとしか言いようがないほどに人の愛を求めている。
でも底なしの渇きを潤してくれる存在は宗教でも入らない限り現実にいないわけで、折り合いをつけて生きていかなきゃいけないんだよね。
茜みたく泣き叫んで暴れてももしくは男にすがりついても、はたまた一人でじっと耐えてみても、私たちの寂しさはちっとも消えてくれない。
私は茜の思春期の歳をとっくに超えたのにこの寂しさという厄介な感情に折り合いをつけられず、持て余して生きている。
そういう心の穴を、改めて突きつけられた小説だった。
でも宮部みゆきさんらしく最後は暖かいプレゼントで締めてくださったので、読後はきっと笑顔になれます。