大人の階段に興味のある、中2の長女が、

「ノンアルコール飲料を飲んでみたい」

と、ものすごく、しつこく言い出した。


しぶしぶカクテル味のものをスーパーで

一本買って、母子で家で飲んでみた。


「甘くて美味しいから、また買って」と

長女は嬉しそうだった。


正直なところ、複雑な心境になる。


以前どこかで聞いた話では、

煙草に興味のなかった人が

ニコチンのない煙草を吸い始め、結局、

本当の煙草を吸うようになったとか。


それと同じように、

ジュースとお酒の間にあったものすごく高い壁が、

中間にあるノンアルコール飲料によって

未成年が壁を乗り越えやすくなるのでは?

と、私は勝手に危惧している。


その危険性を長女に話したら、

「大丈夫。ママが買ってこなければ、

 私は未成年だから本物は買えないんだよ。」

などと笑っているので、

「は?私次第なのか?自分で考えろよー。

 自分で買えたら、アルコールを飲む気かよ?」

と、ちょっと心の中でイライラした。

(もちろん、大人になったら

 本人の責任の取れる範囲で好きにさせるけども。)


長女を妊娠してから、ほとんど酒を飲まなくなった私。

酒は好きな方だったので、

禁酒当初は、飲めないのがちょっとつらかった。

けれど、そのうち、飲まなくても平気になってきた。

今は、誘いがあったときにだけ飲む程度。


そんな私が今回、

初めてノンアルコール飲料を飲んでみたが、

アルコールが無ければ、ただの甘い水に思えた。


もともと辛口派であるので、甘味が欲しいわけじゃない。

それでも、かつて、カクテルが好きだったのは、

アルコール成分のみを欲していたのだろう。

甘みはアルコールを

飲みやすくするための補助だったのだなあと気づいた。


その要のアルコール成分ですら、

今の私にとっては必要不可欠ではないので、

「酒を買うくらいなら、本を買うし。」と

自分の中の優先順位をもう一度確認した。


人によっては、カクテルの中の、

アルコール成分ではなく、甘み成分を

より好んでいるという場合もあるだろう。

その人には、ノンアルコール飲料は良いかもね。


ところで、うっかり長女の前で、

「ノンアルコールより、本物が美味いな~、やっぱ。」

などと、大人目線で格好つけて口走ってしまったら、

長女が壁を易々と乗り越えることは目に見えるので、

今回ノンアルコール飲料を試した際、

「うまい」や「まずい」の評価も、一緒に飲み込んだ。


「甘いんだね。炭酸が少し飲みたかっただけだから、

 この一口で私は十分だ。ごちそうさま~」

とだけ感想を述べておいた。


大人は、子どもの前でどういう発言をするかにも、

気を配らないといけないんだなあ・・・と、

またちょっぴり大人になった、みにもるだった。