Egypt205741

<王家の谷・ハトシェプスト女王葬祭殿>



軽快なエンジン音で目覚めた

船の丸窓から覗くと 岸の緑の茂み

とその後ろの赤い砂漠が目に入る。

今日はデンデラ神殿に上陸するのだ。


午前八時 朝食に行く

昨日と同じテーブルに親子が座っている

クリス(私が勝っに名づけた)に思い切って

挨拶する、 

タイミングを逃すと又 口を利けなく

なってしまう。


「グーテン モルゲン」 (おはよう)


両親も私をみる

「グーテンモルゲン」


何とも言えない美しい声だ

「どこから いらしたのですか」

「ドイツのフランクフルトよ」

「あなたは 」

「日本の東京です」


新潟なんていっても わからない


「今日は何処へ行くんですか」

「王家の谷です」


「僕も行こうかな」


私の予定はデンデラだったけど

急に変えたのだ

ツアーガイドに

「俺だけ 別行動してもいいか?」と聞いた。

船は夕方出航するんで それまでに帰ってくればいいですよ

という。


朝食の豆の煮ものが 美味しく感じられた。

出発は九時、 同行の日本人仲間から

冷やかされたけど 


「あなただけ どこいくの!」

「ドイツの旅さ」


「今晩 仮装パーティがあるんだよ」

「早く帰ってきな」


ドイツ人グループ20人に付いて行く事になった。

ガイドはドイツ語を喋るエジプト人

さすがにチンプンカンプン


彼女の喋る<アケナト~ン>と鼻に抜ける

発音が耳に残っている。


第18王朝の頃の説明をしているんだ

想像力を働かせて 聞いていた

「日本人と話すのは初めて

あなたの 名前は」


「〇〇〇〇というんだよ」


「あなたは?」


「ゲルトルーデ・ツッヒマイスター です」

   (つづく)