<王家の谷・ハトシェプスト女王葬祭殿>
軽快なエンジン音で目覚めた
船の丸窓から覗くと 岸の緑の茂み
とその後ろの赤い砂漠が目に入る。
今日はデンデラ神殿に上陸するのだ。
午前八時 朝食に行く
昨日と同じテーブルに親子が座っている
クリス(私が勝っに名づけた)に思い切って
挨拶する、
タイミングを逃すと又 口を利けなく
なってしまう。
「グーテン モルゲン」 (おはよう)
両親も私をみる
「グーテンモルゲン」
何とも言えない美しい声だ
「どこから いらしたのですか」
「ドイツのフランクフルトよ」
「あなたは 」
「日本の東京です」
新潟なんていっても わからない
「今日は何処へ行くんですか」
「王家の谷です」
「僕も行こうかな」
私の予定はデンデラだったけど
急に変えたのだ
ツアーガイドに
「俺だけ 別行動してもいいか?」と聞いた。
船は夕方出航するんで それまでに帰ってくればいいですよ
という。
朝食の豆の煮ものが 美味しく感じられた。
出発は九時、 同行の日本人仲間から
冷やかされたけど
「あなただけ どこいくの!」
「ドイツの旅さ」
「今晩 仮装パーティがあるんだよ」
「早く帰ってきな」
ドイツ人グループ20人に付いて行く事になった。
ガイドはドイツ語を喋るエジプト人
さすがにチンプンカンプン
彼女の喋る<アケナト~ン>と鼻に抜ける
発音が耳に残っている。
第18王朝の頃の説明をしているんだ
想像力を働かせて 聞いていた
。
「日本人と話すのは初めて
あなたの 名前は」
「〇〇〇〇というんだよ」
「あなたは?」
「ゲルトルーデ・ツッヒマイスター です」
(つづく)