<永遠のクリス>
美人モデルはいっぱいいる
彼女等は肩をいからせ、自己主張の激しい目をしている
一方 カウフマンの目は憂いをみせ
瞳は「物語」を含んでいる。
*
船の階段は広く,
絨毯が敷きつめてある。
彼女はロングドレスを着て足を運んでいた。
なんて優雅なんだろう
父は定年退職者であろうか
見栄えの良い銀髪をしていた
母も太っていず、面長な品の良い
歳の取り方をしていた。
彼女は東洋人の私の思いを
知る由もなく、親子三人の会話に
夢中である。
大食堂はいっぱいだった
もっとも船の定員と椅子の数は
決まっていたのだろうけど。
わたしは「あっちの方に座ろうよ」
と日本人グループを誘導した。
それは「ドイツの三人」の隣りの席だった。
彼女は隣りの正面に座った。
スープが運ばれてくる
スプーンを口に運ぶのを利用して彼女を見た
彼女と目が合った。
あわてて、スープ皿に目を伏せる
次のスプーンを口に持って行くときに
また彼女を見た
彼女が見ていた。!!
これは<偶然じゃない>
クリスティーネ・カウフマンが
俺を見たのだ。
<今 このブログを描きながら
胸が苦しい>
ひょっとして東洋人の変な(奴)が
見ていると思ったのかも・・・
私の「弱気のマント」が全身を包む
私は土産物屋で買った純白のエジプトガウンを
着て、エジプト人気分でいたのは確かだ。
ツアー主催社の6日間の「自己解放セミナー」を受け
恥ずかしいものは無くなったはずだった。
でもクリスティーネの前ですっかり元に戻っていた。
食事が終わって客は階段に向っていた
突然、彼女が私の隣りに立っていた
彼女が言った
「グッナイト」
えッ 俺のあたっま は パニクッた。
・・
「グーテン ナハット」 (おやすみ)
ドイツ語で返すと思わなかったのだろう
彼女はにっこり笑ったのだ
<俺は天に昇った>
(続く)