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     <永遠のクリス>


美人モデルはいっぱいいる

彼女等は肩をいからせ、自己主張の激しい目をしている

一方 カウフマンの目は憂いをみせ

瞳は「物語」を含んでいる。



船の階段は広く,

絨毯が敷きつめてある。

彼女はロングドレスを着て足を運んでいた。


なんて優雅なんだろう


父は定年退職者であろうか

見栄えの良い銀髪をしていた

母も太っていず、面長な品の良い

歳の取り方をしていた。


彼女は東洋人の私の思いを

知る由もなく、親子三人の会話に

夢中である。


大食堂はいっぱいだった

もっとも船の定員と椅子の数は

決まっていたのだろうけど。


わたしは「あっちの方に座ろうよ」

と日本人グループを誘導した。

それは「ドイツの三人」の隣りの席だった。

彼女は隣りの正面に座った。


スープが運ばれてくる

スプーンを口に運ぶのを利用して彼女を見た


彼女と目が合った。


あわてて、スープ皿に目を伏せる


次のスプーンを口に持って行くときに

また彼女を見た


彼女が見ていた。!!



これは<偶然じゃない>


クリスティーネ・カウフマンが

俺を見たのだ。


<今 このブログを描きながら

 胸が苦しい>


ひょっとして東洋人の変な(奴)が

見ていると思ったのかも・・・


私の「弱気のマント」が全身を包む


私は土産物屋で買った純白のエジプトガウンを

着て、エジプト人気分でいたのは確かだ。


ツアー主催社の6日間の「自己解放セミナー」を受け

恥ずかしいものは無くなったはずだった。


でもクリスティーネの前ですっかり元に戻っていた。

食事が終わって客は階段に向っていた


突然、彼女が私の隣りに立っていた

彼女が言った


「グッナイト」


えッ 俺のあたっま は パニクッた。

・・

「グーテン ナハット」 (おやすみ)


ドイツ語で返すと思わなかったのだろう


彼女はにっこり笑ったのだ


<俺は天に昇った>


      (続く)