私がその本を手に取ったのは高校1年生の時である。
田舎の中学から街の中心部で乗り換えるバス通学になった
今まで半年に一度しか行けなかった<新潟銀座>へ毎日行けるのだ。
急に大人になった気がした。
その本屋は銀座に相当する新潟四丁目にあった。
本屋の吹き抜けの階段には万引きを監視する
片腕のお爺さんがいた。
今思えば、戦争で腕を無くしたのかもしれない。
高校一年の私には、階段から見下ろすそのお爺さんが
気持ち悪かった。
二階に行くと文庫本の大きさで
5㎝もある異形の本があった。
「シヌエの物語」 と 金文字で書いてあった。
当時高かったと思うが、父にねだって買ったのだ
何度もの引っ越しで無くなってしまったが
私と「エジプト」の最初の出会いだった
内容はすっかり忘れたが、
タイトルだけはしっかり覚えていた。
今ネットで調べると
紀元前17世紀の世界最古の小説とある。
(写真の小説ではない)
・
先日 市立図書館に行って数冊借りた
「岩井三四ニ(みよじ)」にはまっている
なかなかの小説家である
平安から室町のだれも小説にしない
題材を取り上げている、
巻末に参考文献を20冊くらい挙げて
いるが、鎌倉時代の<東大寺番匠>
番匠=大工である。
今日はこれが本筋ではないので<脱線>は止める
図書館ではあまりいい本がないので、心は不発状態。
ふと外国文学のコーナーに迷い込む
訳本ものは 生煮えの米が入ったお茶漬けみたいだ。
~~は否定できない~ ~
などという言い回しは
日本文学ではあまり使わない。
だから読んでいて面白くないのだ。
ただタイトルが”アクエンアテンの秘宝”と
エジプトだったので手に取った。
借りてしまった。
ところがこれが奇蹟の始まり
訳が素晴らしいのである
完全に日本文にしている
訳・単語に一つ二つ間違いがあるが
専門語だから文学的には影響がない。
思わず何度も訳者名をみる
「フナヤマ睦美」という
調べれば 他にも立派な訳があるだろう
お蔭で楽しく読み始めた。
<これはホームランだ>
「砂漠に咲いたバラ 2」へと続く