【柳澤健】1964年のジャイアント馬場~閉じた世界と外側の世界。 | 華麗の空~小難しい本のナルホド書評

【柳澤健】1964年のジャイアント馬場~閉じた世界と外側の世界。

ここ最近で文句なく面白いオススメの一冊、柳澤健「1964年のジャイアント馬場」。

序章で、まず驚かされる。
戦後日本のスーパースター力道山の死で始まるのだが、ポイントはそこではない。

当時アメリカのマット界にいた馬場に、(力道山の後を継いだ)日本プロレスの幹部より帰国してくれとの話が来る。

「日本プロレスは私に、どんな条件が出せますか?」

これが、馬場の答えである。
「条件次第では帰国して日本マット界に立ってもいいぞ」という、答え。
完全に、上から目線ではないか。

一体全体、馬場はどんな存在だったのだろうか?
絶対的なスター力道山、その跡を継ぐ馬場、猪木という構図ではなかったのか?

1964年のジャイアント馬場
柳澤 健
双葉社
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結局話は単純である。
大スター亡き後の日本プロレスに戻ること以上の価値が、アメリカにあった。
その価値とは、いわゆる夢や希望の詰まったアメリカという意味ではなく、馬場自身の市場価値である。
つまり、ショーヘイ・ババは、その当時既にアメリカのメインストリートで大成功していたのである。それは、力道山とは比較にならないほどの、成功である。

力道山は、戦後日本のスーパースターであった。
しかし馬場は、その外側の世界を知った。プロレスの本家であるアメリカ。そのマット界で、実力で、一躍大人気となった。本家では、力道山は無名の存在であることを知る。馬場は、力道山を超えてしまったのだ。

これが、冒頭の答えである。
馬場は、力道山の後継者として馳せ参じたのではなく、つまるところ、条件を比較検討して帰国したのであった。


本書はプロレスファンでなくとも、戦後日本を知るにもいいし、何よりも、ショービジネスとは何か?その本質が描かれている傑作であり、いろんな人にオススメの一冊である。


最後までお読み頂きありがとうございました。
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