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宇宙エレベーターの作り方―「2兆円でできる」
「宇宙エレベーター」をご存じでしょうか?
静止衛星軌道上まで届くエレベーターのことで、
これを利用すると、ロケットを使わなくても、
赤道の高度3万6,000キロ上空にある静止衛星軌道上まで物資を運搬できるというのです。
ほとんどSFの世界ですが、近年「実際に造れるのでは?」といわれています。
『一般社団法人 宇宙エレベーター協会』顧問の皆神龍太郎さんにお話を伺いました。
■宇宙エレベーターは実現可能なアイディア!
――宇宙エレベーターというとSF小説の中にしか存在しないものだと思っていましたが……。
皆神さん
有名なのはアーサー・C・クラークのSF小説『楽園の泉』です。
この中には「軌道エレベーター」(=宇宙エレベーター)が登場します。
ですが、クラーク以前に、
宇宙エレベーターのアイディアは、ロシアのユーリ・アルターノフという技術者が、
1960年に『プラウダ』日曜版で発表した論考が初めてだと言われています。
実現可能なアイディアとして知られていたわけです。
――宇宙エレベーターはどのようにすれば造れるのでしょうか?
皆神さん
いろいろな造り方があるのですが、最も有力視されている方法は以下のようなものです。
■宇宙エレベーターの建造方法
1.赤道の静止軌道上に静止衛星を打ち上げ、宇宙エレベーター建設用の場所を確保する。
2.静止衛星から、エレーベーターのケーブルを地上へ下ろしていく。
3.赤道上の土地にケーブルがついたらそれを固定する。
4.ケーブルをつかんで上っていく「クライマー」を製作。
5.クライマーをケーブルに取り付けて出来上がり。
――なんだか実現困難なことがさらっと書いてあるような気がするのですが……。
まず、なぜ赤道上なのですか?
皆神さん
静止軌道というのは、赤道の上空にしかないからですよ。
また赤道上は、台風を発生させる地球の回転の力(コリオリ力)がないので、
熱帯低気圧などが発生しないのです。
ですからメンテ上もいい場所なのです。
――上からケーブルを垂らすというのは?
皆神さん
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」みたいですよね(笑)。
静止軌道って、3万6,000キロもの上空にありますから、
そこまで下から積み上げていったら、えらいこっちゃです。
重力を利用して下に向けてロープを下ろす方がはるかに楽です。
垂らすだけですから。
――なるほど。このケーブルがエレベーターのケーブルになるわけですね。
強度は大丈夫なのですか? プツンと切れたらどうするんだという気がしますが……。
皆神さん
そうですね(笑)。ケーブルの強度が一番の問題なんです。
いままで宇宙エレベーターができないとされてきたのは、
どんな材料を使っても自重で途中で切れてしまうことがわかっていたからです。
しかし、近年開発された単結晶のカーボンナノチューブを用いれば
建設可能といわれるようになりました。
非常に強度が強く、また軽い繊維なんです。
――でもそんなに長いケーブルを衛星に載せて打ち上げることは可能なのですか?
重量は大丈夫なのですか?
皆神さん
単結晶炭素繊維は非常に軽いので、一応大丈夫ということになっています。
――地面に向かってケーブルを下ろしていくのは難しくないのですか?
皆神さん
ただ単に地表に向けてケーブルを下ろしてしまうと、
その引力に負けて、静止衛星自体が引っ張られて地上に落ちてきかねません。
ですので、地面と反対方向の宇宙に、同じだけのカウンターウェイトを伸ばすことによって、
釣り合いを取ってやる必要があります。
――それは同じようにケーブルで行うのでしょうか。
皆神さん
基本的には、カウンターウェイトもケーブルで行います。
静止軌道より上にケーブルを伸ばしていっても、
そんな高い上空では重力はかなり弱くなっているので、
下に下ろすケーブルと同じ長さでは足りません。
おそらく、静止衛星の反対方向には、
長さ10万km近いケーブルを伸ばさないと釣り合わないでしょう。
――できるのですか?
皆神さん
ですから、カウンターウェイトは全部ケーブルでバランスを取るのではなく、
先っぽに重りを付けることで代用することになるのではないでしょうか。
■建造費は意外に安価!?
――単結晶炭素繊維の強度は足りているのですか? 実現可能な強度なのでしょうか?
皆神さん
そこが最大の問題です。
一番力がかかるのは、静止衛星とケーブルの結節点になります。
この部分の強度が持てば大丈夫だといわれています。また、おそらく大丈夫だろう、と(笑)。
――では、既存の技術で建造可能なのですか?
皆神さん
と、いわれています。
私個人的には単結晶炭素繊維の強度をもう少し検証しないといけないとは思いますが。
あとはやっぱり登っていく「クライマー」ですよね。
何せ誰も造ったことがない乗り物ですから。ここにも不安はあるでしょう。
――いったいいくらぐらいでできるのでしょうか?
皆神さん
そうですね。全部で1-2兆円ぐらいと試算されています。
――えっ、思ったよりも安価ですね。
英仏海峡トンネルの建設費が1兆8,000億円といわれていますから、
それと同額ぐらいということですよ!
皆神さん
そうなんですよ。夢もありますしね。造った方がいいとは思うんですけどねえ(笑)。
赤道上の国はどこか手を挙げないですかね。
それで宇宙への交通料をとった方がもうかると思いますよ。
いかがだったでしょうか。
もちろんメンテナンスはどうするんだとか、いろいろ問題はあるでしょうが、
夢もあって2兆円ポッキリ! どこかお金持ちの国が実現に乗り出さないものでしょうか?
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↑
http://news.ameba.jp/20131017-377/から引用。
(青字強調は筆者による)
宇宙エレベーター想像図(http://meshiuma.org/archives/34109829.htmlより転載)
>どこかお金持ちの国が実現に乗り出さないものでしょうか?
なんでこんな他力本願なことを言うんですかね。
青字にした
>近年開発された単結晶のカーボンナノチューブ
を、開発したのは日本人です。
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1991年に日本のNECの飯島博士が
CNT;カーボンナノチューブを発見したことで状況が変わってきました。
CNTは理論上、宇宙エレベーターを 建設するのに必要な軽さと強さを持っているのです。
もちろんまだ強度のあるCNTの量産は、
世界中の研究機関で研究され始めたばかりなのですが、
2007年現在、既に必要な強度の3分の1ほどのものを大量に生産する技術が現れ始めています。
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↑
http://www.jsea.jp/about-se/what-is-spaceelevator-02.htmlから引用。
宇宙エレベーター実現のキモであるカーボンナノチューブを開発したのですから、
これをもっと進めて、日本主導で宇宙エレベーターを実現すべきです。
”お金持ちの国が…”と、まるで日本にお金がないかのように言っていますが、
むしろ、お金は余っている状態です。
全国銀行協会によると、今年6月末時点の預金超過額は、182兆8570億円です。
単純に考えて、この金額まで、国債を買う余力が、銀行にはあるということです。
たった2兆円の建設費を賄えないなどということはありません。
ただし、まだまだ克服しなければならないハードルがあるので、
そちらの研究開発に、資金が必要だと思います。
とは言っても、その研究開発に投入したお金は無駄になるわけではなく、
経済波及効果をもたらすので、景気対策としても効果があります。
技術に投資すると、経済波及効果以外に、”技術の波及効果”もあります。
ある分野で開発された技術から、違う分野で役立つ技術が生まれることがあるのです。
これが”技術の波及効果”です。
http://www.pref.aichi.jp/cmsfiles/contents/0000016/16133/shiryou3.pdf
に、
航空宇宙分野から自動車分野への技術波及として、
・CFRP(炭素繊維強化プラスチック)
・カーナビゲーションシステム
・ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)
・5軸加工機
・3次元CADシステム
・燃料電池
・モノコックボディ
が挙げられており、
航空宇宙分野から民生分野への技術波及として、
・サーモライト衣料素材
・逆浸透膜浄水器
・食品安全管理システムHACCP(ハサップ)
自動車分野から航空機分野への技術波及として、
・ムービング・ライン
・ショットピーニング加工
・衝撃解析シミュレーションシステム
が挙げられています。
技術に投資することは、
経済波及効果と技術の波及効果の2つの波及効果をもたらすのです。
”カネがないから、宇宙開発なんかできない”
などと、間違った思い込みをしていると、
景気もよくならないし、技術も発達しないのです。
その間、他国が技術に投資を続けていれば、日本はどんどん追い抜かれてしまいます。
せっかく日本が先鞭をつけたカーボンナノチューブも、
「日本にはカネがないから」と投資を怠っていると、
他国が量産に成功してしまうかもしれません。
技術への投資は、一石二鳥の経済政策なのです。
技術への投資で経済成長と技術の発達を達成する。
技術大国ニッポンにふさわしい道じゃないですか?
消費税増税は景気に対してマイナスに作用します。
そのマイナスを打ち消す対策として、国土強靭化以外に、
宇宙開発予算の大幅増額をすべきです。
宇宙開発予算を増やして経済成長と技術の発達を促せ!
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