明日は明日の風が吹く | 朝倉新哉の研究室

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洋上建設進む風力発電所 福島沖に世界最大級の風車建設予定

原発停止から2年半、原子力に代わるエネルギーは、各地に巨大な建造物を出現させている。
そうした巨大施設のひとつが、洋上風力発電基地「ふくしま未来」(福島県・広野沖)だ。

曳航する船と見比べても分かるようにその大きさはケタ違い。
プロペラの長さは40メートル、水面からの高さは106メートル。
現在、福島沖に建設中の洋上風力発電所だ。
発電能力は2メガワットを誇り、近くには浮体式の変電所も併設される。

天候に左右されやすい不安定な電力といわれる風力発電の弱点を補うため、
安定した風が得られる洋上での建設が進む。
今後、世界最大級の7メガワットの風車も造られる予定で福島沖に巨大な風車が建ち並ぶ予定だ。
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http://news.ameba.jp/20130831-232/から引用。

$国家戦略研究
http://blogs.yahoo.co.jp/takashi_tsuda/38270040.htmlより転載

これ、実物見ました。

小名浜港に2~3週間ぐらい留め置かれていたので、

「あれ?原発の沖に持っていくんじゃなかったのか?
 ここ(小名浜港)で発電することにしたのか?」

と、思ってしまいました。

天候が悪いから、なかなか持っていけなかったとか、そういう事情だったんでしょう。

この風車1基で、2メガワット。

2メガワットとは、2000キロワットです。

次の引用記事にも出てきますので、覚えておいてください。

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4月22日の朝日新聞に、夢のような見出しが躍った。

〈風力なら原発40基分の発電可能 環境省試算〉

記事によれば、日本全体で風力発電を導入すると、
約2400万~1億4000万kWの出力になり、稼働率を24%としても、
原発7~40基分に相当するというのである。
検証してみよう。

日本で発電可能な風が吹く時間は年間約2000時間とされるから、
「稼働率24%」は妥当といえる。

日本で導入されている大規模風力発電で使われる
2000kWクラスの風車で考えるならば、
原発1基(100万kW)を代替するには、およそ1770基が必要になる
(原発の稼働率を実績から85%と仮定し、風力の稼働率を24%と仮定)。

互いに干渉しないためには風車を最低でも100mずつ離す必要があるから、
直線に並べれば177kmになる。ざっと東京~いわき間の距離だ。

40基分となると、この40倍だから7000km以上。
北海道の稚内から鹿児島の指宿を結ぶJR線の距離が約3000kmなので、
風車が列島を南北に1往復する計算になる。
これが現実的でないことは、もはや言葉を要しない。

“大朝日”が、なぜこんな大間違いを書いたのか。
記事は環境省試算を根拠にしているが、その同省が所掌する
「地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ検討会」の委員である
安井至・東京大学名誉教授はこう苦笑する。

「委員で風力だけが代替エネルギーとして有力だという人は一人もいません。
 朝日の記事にある試算とは、可能な場所をすべて風力発電で利用し尽くした場合の
 『ポテンシャル』の数字であり、現実的なものではありません。
 ポテンシャルについては風力だけでなく地熱、水力、太陽光なども発表していますが、
 朝日はその一部の数字から独自の計算をして『原発40基分』などと書いたのでしょう。
 昔から反原発派の人々は『風力推進派』が多く、
 そうした思想が背景にあるのかもしれません」

風力発電は、ヨーロッパなどでは大規模な導入実績や計画があるが、
日本には当てはまらないという。

安井名誉教授が続ける。

「大陸の西端にあるヨーロッパでは、一定して西風(偏西風)が吹きますが、
 東端の日本は風向も風力も安定しません。
 また、ヨーロッパの海は遠浅で洋上風車が建設しやすいが、
 日本はその点で不利なうえ、台風や落雷が多く、実際に被害も起きています。
 日本は風況の良い場所が少ないうえ、僻地になってしまう。
 北海道の稚内は有力地ですが、そこで発電して、
 どうやって東京まで電気を持ってくるかは難題なのです」

日本の「風況」が安定しないことはよく知られており、
最も適した北海道でも、2009年の例で、利用率データのある38の風力発電所のうち、
計画された発電量を5%以上上回ったのは1か所。
逆に5%以上下回るものが21か所あり、平均で26.3%の稼働率だった
(「北海道における風力発電の現状と課題」北海道産業保安監督部=2010年)。

これが「国内最適地」に開発された風力発電所の実績であり、
この面でも朝日の机上の空論は明らかだ。
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http://www.news-postseven.com/archives/20110511_19969.htmlから引用。
(青字強調は筆者による)

平均26.3%の稼働率というのは、陸地でのことなので、

洋上の場合、稼働率はもっと上がるでしょう。

稼働率50%とすると、3500km以上に渡って

風車をずらりと並べないといけないわけです。

船の航路のことを考えれば、全ての風車の間隔を100mにするわけにはいきませんから、

ところどころ、100mよりも間隔を開けなければなりません。

それにしても、原発を全廃して洋上風力で代替する、

というのは、現実的ではないと思いますね。

それだったら、当ブログで再三、推奨しているトリウム熔融塩炉のほうがずっと現実的です。

なにしろ、発電するだけでなく、放射性物質を消滅させることもできるのですから、

一石二鳥です。

今、騒がれている汚染水問題も、水から放射性物質を取り出せば、

トリウム炉の中で消滅させることができるのですから、それで解決です。

海に流出した放射性物質も、海底の窪みにたまっているものは、

すくいとって”炉”の中に入れれば、消滅させられます。

除染で出た土なども同様です。

汚染問題の大部分は解決可能なのです。

なぜ、このトリウム熔融塩炉を推さないのか、理解できません。

トリウム熔融塩炉のもう1つの長所として、安全だという点があげられます。

原発の爆発の原因となった水素は、ジルコニウムと水が反応して発生しました。

図1 (クリックして拡大してご覧ください)
国家戦略研究
『平和のエネルギー トリウム原子力Ⅱ』亀井敬史 雅粒社 より転載

原発で使われている軽水炉は、燃料が固体なので、燃料を被覆管で覆わなければなりません。

図2 (クリックして拡大してご覧ください)
国家戦略研究
『平和のエネルギー トリウム原子力Ⅱ』亀井敬史 雅粒社 より転載

被覆管に最も適しているのがジルコニウムなのです。

固体燃料を使う限り、ジルコニウムを使わざるをえず、

冷却ができなくなると水素が発生し、爆発の可能性が出てくるわけです。

トリウム熔融塩炉は、液体燃料を使うので、被覆管を使う必要がなく、

ジルコニウムも使いません。

それに、トリウム熔融塩炉では、冷却は水ではなく、熔融塩で行います。

水素は、ジルコニウムと水が反応して発生するのです。

トリウム熔融塩炉は、ジルコニウムも水も使わないのです。

水素など発生しようがないのです。

図3 (クリックして拡大してご覧ください)
国家戦略研究
『平和のエネルギー トリウム原子力Ⅱ』亀井敬史 雅粒社 より転載

上の図のように、何らかのトラブルで冷却ができなくなった場合、

フリーズバルブが溶けて、熔融塩はタンクに落下します。

このタンクには、黒鉛減速材がないので、核分裂反応は進みません。

核分裂反応が進まないので、熔融塩は徐々に冷えていきます。

図4 (クリックして拡大してご覧ください)
国家戦略研究
『平和のエネルギー トリウム原子力Ⅱ』亀井敬史 雅粒社 より転載

450度以下になると、ガラス状に固まります。

放射性物質は、熔融塩の中にあるので、熔融塩が固まれば、

その中に閉じ込められます。

原発(軽水炉)の場合は、

放射性物質は、風にのって広範囲に拡散します。

図5 (クリックして拡大してご覧ください)
国家戦略研究
『平和のエネルギー トリウム原子力Ⅱ』亀井敬史 雅粒社 より転載

このように、トリウム熔融塩炉の場合、万が一事故が起こっても、

原発(軽水炉)のように、広範囲に汚染が広がることは原理的にありえないわけです。

せいぜい発電所の敷地内か、その周辺のごく近いところですむでしょう。


安全性の他にも長所があります。

燃料に使うトリウムは、レアアースを採掘したときの副産物として採れるのです。

レアアース鉱山で副産物として出るトリウムは、

現在は、廃液の貯留池にためられています。

捨てられているに等しいのです。

トリウム熔融塩炉は、これをエネルギー源として活用できるのです。


洋上風力発電も実験の意味があると思います。

陸地より安定して風が吹くというが、どのくらい吹いて、どのくらい発電できるのか、

試してみる、ということだと思います。

だったら、いろいろな長所をもつトリウム熔融塩炉も試してみるべきだと思います。

デフレギャップは100兆円もある、という説もあります。

100兆円使わないとデフレから脱却できないということです。

復興や災害対策(国土強靭化)、防衛力の強化、諜報能力の強化、

そういうことにお金を使っていって、なおデフレから脱却できないなら、

トリウム熔融塩炉も作ってみましょうよ、と言いたいわけです。

放射性物質を消滅させることができるのですから、

復興事業に含めてもいいくらいだと思います。


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