格下げでも安心なのが日本国債 | 朝倉新哉の研究室

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全ては日本を強くするために…

格付け会社のフィッチ・レーティングスが、日本国債の格付けを引き下げました。

昨年8月には、アメリカのムーディーズが日本国債を格下げしています。

これについての記事が

http://www.asahi.com/business/topics/economy/TKY201108250171.html?ref=reca

に、ありました。

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日本国債、格下げでも「まだ安心」

政府が借金のために発行している「日本国債」が24日(昨年の8月24日のこと)、
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスによって格下げされた。
ところが、国債や円はさほど売られなかった。
米欧経済の先行きのほうがもっと心配で、日本の国債や円はまだ安心だからだ。

日本国債は「Aa3」に格下げされ、先進国で単独最下位になった。
財政不安が強まっているイタリアやスペインより一つ下の格付け。
両国は一時、国債が売り浴びせられ、価値が下がった分、金利が急騰した。

しかし、24日の日本国債は売られなかった。
逆に金利(新発10年物国債の流通利回り)は
前日より0.005%幅低い年1.010%に下げた。
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国債のような債券の場合、金利が高い=値段が安い です。

ですから、金利が低い日本国債は値段が高いというわけです。


>財政不安が強まっているイタリアやスペイン

ということですが、日本も財政はよくありません。

しかし、イタリア、スペイン国債は金利急騰(=価格の急落)、

日本国債は金利低下(=価格上昇)。

ということは、

”国の借金”が多ければ国債は売られて金利が上がる、

というのは間違いだということです。


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なぜ、投資家は不安にならないのか。

日本国債の9割が国内で保有され、売り急ぐ投資家がいないからだ。
多くを国内金融機関が持っており、もとをたどれば国民の預金や保険が買い支えている。
その個人金融資産は約1500兆円に達する。
また、日本は企業が海外でもうけるなどして、
海外での貯蓄(対外純資産)も約250兆円と、世界で最も多い。
これに対し、イタリアとスペインの国債は半分を外国人投資家が持ち、対外純資産は赤字だ。

強固な資金基盤と経済力が日本国債の信用を高めている。
第一生命経済研究所の永浜利広氏は
「日本国債には安心感があり、世界経済が不透明な時は買われる」という。
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三橋貴明さんが著書でさんざん訴えてきたことがそのまま書かれているような感じです。

「ほお、マスコミも少しはわかってきたか」

と、ちょっと感慨にひたりたくなります。

しかし、このあとが問題です。

>ただ、格下げが象徴するように、市場が将来に懸念を抱いていることも事実だ。
>日本政府の借金(国債の発行など)は猛烈な勢いで増え、約900兆円になっている。

やはり、借金が増えることに対して不安感をもっています。

”国の借金”について、やはり誤解をしているのです。

”借金だから、いつか必ず全額返済してゼロにしなければならない”

と思っているのでしょう。

それは個人や民間企業がする借金の場合です。

中央政府がする借金は、そうではないのです。

廣宮孝信さんのブログに、

明治5年から平成14年までの日本政府の負債のグラフが掲載されていました。

国家戦略研究
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-411.htmlより転載

このように、日本政府が負債を全額返済してゼロになったことは一度もありません。

政府の負債を全額返済してゼロにする必要などないのです。

ここを誤解しているから、

”国の借金”が○○円もある!大変だ!破綻する!

とか、格下げだとかいうことになるのです。

(格付け会社も誤解しているから格下げするのでしょう)


引用記事では、日本政府の借金が誰から借りたものかは、書いてありますが、

どの通貨建てなのかは書いていません。

日本国債は100%日本円建てです。

100%自国通貨建てである日本国債は、

いざとなったら、通貨を発行して返済してしまうこともできます。

(法律を改正しないといけないでしょうが、主権国家がもつ権利として
 そういうことが可能だということです)

共通通貨ユーロを使っているイタリアやスペインは、

自国の都合で勝手に発行することはできません。

EUがひとつの国、ユーロがその通貨だとすると、

イタリアやスペインやギリシャは、地方自治体のようなものです。

財政危機に陥っても勝手に通貨を発行できません。

破綻した夕張市と似た立場にあるのです。

夕張市は勝手に通貨を発行できません。



借金が多い、という点は同じでも、

どの通貨建てで借りているのかが違うので、

イタリア、スペインと日本は、市場の反応が全く違うのです。

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国民が国債を買い支える余力がなくなった時に国債への安心感は崩れ、
価格が暴落(金利が急騰)する恐れがある。

余力は、政府の借金の総額を個人金融資産がどれだけ上回っているかで計れる。
今は約600兆円多い。
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”国の借金”が個人金融資産を上回ったら破綻する、

という論理です。

”国の借金”=中央政府の負債は、国民にとっての資産です。

つまり、政府の借金の総額が増えたら、個人金融資産は増えるのです。

このグラフを見てください。
国家戦略研究
『図解 三橋貴明の「日本経済」の真実がよくわかる本』 三橋貴明 PHPより転載

政府の負債が増えれば、家計の資産つまり個人金融資産が増えているのが一目瞭然です。


>国民が国債を買い支える余力がなくなった時に…

と書いてありますが、お金の流れが全くわかってませんね。


国民の預金で国債を買う

すると預金がなくなる

預金がなくなったあと国債を発行しても買う資金はない

と思っているのでしょう。

確かに、国債を買えば、その分預金は一時的に減ります。

しかし、減りっぱなしではありません。

お金は我々の銀行口座から政府に移動しただけです。

この世から消えたわけではありません。

政府が国債を売って得たお金をそのままにしておくなら、

ある意味”消えた”ことになります。

しかし、そんなバカなことはありません。

何かに使いたいから、国債を発行して、お金を調達するのです。

政府がお金を使うということは、大抵の場合、企業に仕事を発注することになるので、

企業の売上が増えます。

企業の売上が増えれば、従業員の給料も上がります。

その給料の一部は貯蓄に回ります。

国債を買って減った預金は、またもどってくるわけです。

国債購入(個人の預金減)→政府が支出→企業の売上増→従業員の給料アップ→個人の預金

という流れになっています。

>国民が国債を買い支える余力がなくなった時に…

と言ってますが、余力はなくなりようがないのです。

国債を買う余力を、

”政府の借金の総額を個人金融資産がどれだけ上回っているかで計る”

というのも、おかしな話です。

政府の借金が増えれば、個人金融資産も増えるのですから、

常に上回っているのです。

”余力”というのもおかしいし、それを”計る”のもおかしいのです。


>だが、高齢化が進めば貯蓄は減っていくのに対し、
>政府が借金削減を打ち出さなければ、借金総額は今後も増え続けていく。

”国の借金”が増えること自体を危険視しているからそんなことを言うのでしょう。

”国の借金”=中央政府の負債は国民の資産ですから、

借金総額が増えるのは、国民の資産が増えることなのだから歓迎すべきことです。

政府が借金を減らしたら、国民の資産は減りますよ。

引用文の言い方は、「政府は国民の資産を減らせ」

と言っているのと同じです。



”国の借金”に問題がないことがわかれば、

復興資金、

対内諜報の資金(中国が仕掛ける思想謀略を阻止するための活動資金)、

対外謀略の資金(親日回廊工作のための資金)

を調達することができます。

そのほかにも、国産戦闘機開発など国のために必要なことにお金を使えます。


”国の借金”を問題視する、日本の国債を危険視する、

これは、日本弱体化のための”経済謀略”ではないかと私は勘ぐっています。

日本経済再生のためには、”国の借金”に対する誤解を解くことがキモなのです。


モノを買う場合、日本製品を買えば、日本企業の売上が増え、

雇用の安定、景気回復にも役立つのです。
国家戦略研究


国家戦略研究


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