3年ぶりの投稿になります。

 

新型コロナの情報について危険性を軽視したデマが流れているので、インフルエンザとの対比で説明します。

 

東京都医師会の「重症度は、通常のインフルエンザなどと同程度と予想されます」という情報は明らかに誤りです。

https://www.tokyo.med.or.jp/wp-content/uploads/application/pdf/covid-19.pdf

 

 

2018年の日本のインフルエンザによる死亡数は3325人でした。毎年1000万人がインフルエンザにかかると推定されており、致死率は3325÷10,000,000=0.00033=0.033% となります。

 

新型コロナの中国の死亡率について、およそ4万人の患者について、平均で15日間のフォローをした結果、致死率は2.3%でした。

http://weekly.chinacdc.cn/en/article/id/e53946e2-c6c4-41e9-9a9b-fea8db1a8f51

(中国の調査論文リンク  以下 論文の表1を転載します)

 

観察期間や患者の年齢分布の補正をせずに単純に比較すると、新型コロナウイルスの致死率は、2.3÷0.033=70倍です。

 

なお、この論文のデータは、44672人のデータを用いているものの、1月21日~31日に診断された人が全体の59.2%、2月1日以降に診断された人が26.9%含まれ、2月11日時点に把握している情報に基づいて分析しているので、86%の人は2週間程度しかフォローしていません。診断されたばかりの患者の割合が多いと致死率は見かけ上低くなります。重篤患者は亡くなった人以外に2.4%、重症患者も13.8%おり、この集団を今後もフォローすると致死率は上昇するので、この集団での致死率は3%を超えることが推定されます。

 

なお、30日以上フォローできている患者の致死率は15%程度です。

 

次に、年齢別の死亡率について検討すると、10代~30代のコロナの致死率が0.2%という数字は決して低い値ではありません。同世代の日本のインフルエンザの致死率は0.001%以下です。

 

 

毎年流行するようなインフルエンザと同等の感染症で、都市を閉鎖し、渡航禁止し、企業活動を停止しますか?

 

なお、こちらの解説記事もわかりやすいので見てください。

【識者の眼】「新型コロナウイルス感染症はSARSに類似(2)─インフルエンザに比べはるかに重い疾患」菅谷憲夫

 

 

<インフルエンザについての過去記事>

自称EBMをバリバリ学んだ岩田健太郎氏のエビデンスに基づかないタミフルと漢方のインフルエンザ治療

(岩田氏のクルーズ船の告発については指摘内容は妥当だと思いますが、彼も当初はコロナのリスクを軽視した発言を行っていました。多くの医師がそうであるように、二枚舌であることには注意が必要です)