御用ジャーナリストの「村中璃子」氏が相変わらずのトンデモ記事を、
これまた製薬会社御用達の WEDGE に掲載しました。
「エビデンス弱い」と厚労省を一蹴したWHOの子宮頸がんワクチン安全声明
http://blogos.com/article/151189/
彼女は、不思議な経歴をお持ちですが、
WHOの感染症の仕事をした経緯もあり、ワクチン業界とはズブズブの仲と思われます。
(追記:Yukariさんブログより ペンネームであったようです、医師かどうかもわかりません)
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/561e635d6d74cef129e72f8723fd1b61
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/a82be59d6bb8ad9c6c181716ade5eb00
ご存知の方も多いと思いますが、WHOは製薬業界の寄付で成り立ち、
主要メンバーは製薬業界と深い関連も持つ者がほとんどです。
いわゆる、製薬会社の宣伝機関となっています。
さて、記事の内容ですが、HPVワクチンの副作用について、
フランスの200万人の調査で、有意差があったのは、
ギランバレー症候群だけであったので安全だとするWHO見解を、
そのまま日本でも受け入れ、ただちにワクチン接種を再開せよという趣旨です。
「有意差のあったギランバレー症候群の発症率上昇リスクも10万例に1例程度と大変小さい」
とリスクを過小に誤解させようとする数字が記載されています。
「10万人に1人」 とても小さいリスクと思われるかもしれませんね。
実は、若い20-30代の日本女性の子宮頸がんの年間死亡率は
10万人に1人程度です。
さらに、有意差がなかったというのは、統計を知っている方はご存じのように、
差がないことが証明されたことと同義ではありません。
副作用が多かったのだけど、サイコロで言えば、
2回振って10以上の目が出る程度の確率で起きる、
10%程度の偶然かもしれないというのが正確な解釈です。
(5%未満の偶然と言えれば有意差あり というのがおよそ一般的なルール)
この記事は、素人をごまかそうとする明確な意図が読み取れます。
原文に当たってみたのですが、いかんせんフランス語で翻訳ソフトでも読み取るのが厳しいです。
200万人調査とありますが、正確には、合計2,256,716で、
ワクチン接種者は842,120人です。残りが1,414,596人が非接種者のようです。
http://www.who.int/vaccine_safety/committee/GACVS_HPV_statement_17Dec2015.pdf
実際にどれくらいの自己免疫疾患が発生するのかですが、
実は自己免疫疾患自体の頻度は多くないので、
各疾患では、10万人年当たり、0.3-20人程度。
イベント(疾患発生)の頻度が非常に少ないので、そもそも検出感度が低く、
差があっても有意差が認められない可能性があるのです。
結果では、自己免疫疾患合計で、単変量解析では、
10万人年当たり 66,8 vs 71,6 ハザード比 1,08 (1,00ー1,17)P=0,05でしたが、
多変量解析で解析し直すと、
1.07(0,99-1,16) P=0,10 と有意差なしとされています。
実数でみると、10万人当たり、5人増えたけど、
解析法によっては、ぎりぎり有意差がなかった(P=0.10)ということです。
しかし、この数字ならば、ワクチン接種群で多い傾向があったが、
分析数が少なく、有意差が確認できなかったかもしれない
というのが一般的な解釈と思います。
さらに、どの疾患までを調査対象と選択するかで結果も左右されます。
差が出にくいような指標を選択した可能性も否定できません。
薬の有効性(介入利益)は有意差を重視すべきですが、
副作用、それも重篤な副作用の解釈について、
統計的有意差で一律に判断するのは間違っています。
論文について、これ以上の検討はさすがに私の能力を超えるのですが、
データを都合の良いように言い換えているのは間違いないでしょう。
一方で、日本やその他の国でも重篤な被害者が多数いることに対して、
(因果関係を証明した)エビデンスが弱いと切り捨てています。
過去の薬害や公害において、
原因究明が遅れて被害が拡大した例はたくさんあります。
これまでの日本の公式調査では、
副作用の届出を無視(過小報告)という暴挙もありました。
詳細なメカニズムはわからなくても、ワクチン接種後に重篤な体調不良となり、
しかも、接種者で頻度が高いのは日本の被害者情報を見ても明らかでしょう。
さて、以上の考察は不利益データについてですが、
ワクチンの利益(ベネフィット)はエビデンスがあるのでしょうか??
現時点で明らかになっているのは、接種後の数年間について、
HPV感染やHPV感染に伴う異形成が減少するとのデータだけです。
子宮頸がんで死亡するのは、ほとんどが60歳以降。
つまり、今の接種者について、結果が出るのは50-70年後。
「がん死」を防ぐデータはどこにもないのです。
将来もおそらくデータは得られないでしょう。
では、もし無駄だった場合、無駄との証明はできるのでしょうか?
HPVワクチンの無効性の証明は、悪魔の証明です。
おそらく数十万人単位で、50年以上RCTを行う必要があるでしょうが、
そんな試験は最初から不可能なのです。
疫学での推定はある程度可能かもしれませんが、
それでも効かなかったことの証明はほとんど不可能でしょう。
要するに、効果は証明できないし、
50年後にもし無駄だとす疑われる疫学データが出ても、証明までは不可能、
誰も責任を追及できないし、誰も責任を取らないということです。
次に、ワクチンの利益が実際にあったとした場合、どの程度の恩恵があるのでしょう?
未接種の場合、日本の子宮頸がんの累積死亡リスクを調べると、
がん情報より
40歳 0.02%、50歳 0.06% 60歳 0.12% 70歳 0.18 80歳 0.23% 生涯で0.29%
さて、最大限の効果を想定して、
60歳までに子宮頸がんで死なないことが保証されたとしましょう。
(50年間の免疫保持と、HPVが子宮頸がんの原因と仮定)
その恩恵にあずかるのは、10000人中最大12人ですが、
別の型のHPVやその他の影響もあり、8人救えれば良いほうでしょう。
一方で他の死因で、60歳までに1万人中420人以上死亡します。
(簡易生命表より)
救えるかもしれない8名も、他の死因の誤差に紛れてしまうでしょう。
次に、免疫効果が25年持つ場合はどうでしょう。
40歳以下の死亡2名のうち1名は救えるかもしれませんが、
大多数の高齢者の子宮頸がんの死亡は減らせません。
ほとんどワクチンの利益はなく、害のほうが多いといえるでしょう。
もし、免疫が十数年で切れるレベルであったら、
死亡数低下の利益はないといってもいいでしょう。
私なら、絶対にこんなワクチンを打ちません。
当たりのない宝くじです。
しかも、とんでもない罰ゲーム付き。
HPVワクチンは、WHOや製薬業界、産婦人科学会、小児科医の一部の利権のために作られた、
税金と市民のお金を巻き上げるための戦略以外の何物でもありません。
最後に、利権がらみの本については、
- 新薬の罠 子宮頸がん、認知症…10兆円の闇/文藝春秋
- ¥1,728
- Amazon.co.jp
鳥集 徹さん(文藝春秋)をお勧めします。
第4回(2015年度) 日本医学ジャーナリスト協会賞
書籍部門で大賞を受賞したようです。
遅くなりましたが、おめでとうございます。
私もamazon書評を書いていますので、一読いただけるとありがたいです。